読み込み中...
読み込み中...
住宅ローン選びは、「いくら借りるか」「何年で返すか」「金利タイプ」「どこで借りるか」「誰の名義で借りるか」「団信をどこまで付けるか」の6つを、この順番で決めていく作業です。順番が決まっているのは、後ろの決定ほど前の決定に縛られるからです。
この記事でわかること
2026年6月、日本銀行が政策金利を1.00%へ引き上げました。8月時点の変動金利はメガバンク平均で1.082%、フラット35は3.290%です。9月17日・18日の金融政策決定会合では、さらに1.25%への利上げが決まるとの見方を市場が約8割織り込んでいます(2026年8月23日時点)。金利が動く局面では、「どの銀行が一番安いか」を探すより先に、自分の借り方そのものを設計しておくことが効いてきます。
この記事は、住宅ローンを6つの決定に分解し、それぞれが総返済額にいくらの重さを持つのかを当サイトの試算で比べたうえで、決める順番を示すものです。各テーマの詳細は個別記事に譲りますが、判断に必要な答えはこの記事のなかで出します。用語から確認したい場合は変動・固定・団信・元利均等といった基礎用語の意味を先に読んでおくと、この先が読みやすくなります。

住宅ローン選びが難しく感じられるのは、決めることが多いからではありません。決定どうしが互いに依存していて、順番を間違えると前に戻ってやり直しになるからです。まず全体の地図を持ちましょう。
毎月いくら返すかを決めているのは、借入額・金利・返済期間の3つだけです。この3つが決まれば返済額は機械的に決まります。返し方には、毎月の返済額が一定の元利均等返済と、元金部分が一定の元金均等返済がありますが、日本の住宅ローンでは前者が主流です。この記事の試算もすべて前者で計算しています。
たとえば借入3,000万円・35年・変動1.082%なら、毎月の返済額は85,837円、35年間の総返済額は36,051,543円、うち利息は6,051,543円です。この数字を出発点に、条件を1つずつ動かすとどう変わるのかを後半で比べていきます。
住宅ローンで決めるべきことは、次の6つに整理できます。左から順に決めていくのが基本です。
順番 | 決めること | 主な選択肢 | これを決めると、後から縛られること |
|---|---|---|---|
1 | いくら借りるか | 物件価格・頭金・親からの援助の組み合わせ | 月々の返済額と総返済額のほぼすべて。以降5つの決定の前提になる |
2 | 何年で返すか | 20年/25年/30年/35年/40年以上 | 完済時の年齢。審査上の借入可能額(短くすると上限が下がる) |
3 | 金利タイプ | 変動/固定期間選択/全期間固定 | 選べる金融機関の範囲。将来の返済額が動くかどうか |
4 | どこで借りるか | 都市銀行/ネット銀行/地銀・信金/フラット35の取扱機関 | 費用の方式。団信の標準保障。審査の通りやすさ |
5 | 誰の名義で借りるか | 単独/ペアローン/収入合算 | 住宅ローン控除の枠。団信の対象者。離婚・死亡時の扱い |
6 | 団信をどこまで付けるか | 一般団信/がん保障/全疾病保障など | 適用金利(上乗せぶん)。既に入っている生命保険との重複 |
この順番には理由があります。1と2で毎月の返済額の骨格が決まり、3で金利水準の幅が決まり、4で実際の適用条件が確定する、という依存関係になっているからです。
実際によくある3つの手戻りです。
なお、住宅ローンは家探しと並行して進むものです。物件の契約から引き渡しまでの流れ全体は購入の8ステップと必要書類をまとめた記事で確認できます。この記事はそのうち「資金調達の部分」を深掘りするものだと考えてください。

6つのうち、総返済額への影響が最も大きいのがこの決定です。金利タイプをどれだけ吟味しても、借入額の差は埋められません。だから最初に決めます。
金融機関が提示する借入可能額は、年収に占める年間返済額の割合(返済負担率)で決まります。このとき使われるのは、実際に適用される金利ではなく、それより高い水準に設定された審査金利です。将来の金利上昇に耐えられるかを見るためで、変動金利で借りる場合でも3%前後の金利で計算されるのが一般的です。実際に貸し出されている金利の水準は、日本銀行が公表する貸出約定平均金利で確認できます。
つまり提示される上限額は、「この条件なら貸せる」という金融機関側の限界であって、あなたが無理なく返せる額ではありません。年収別の借入可能額を具体的な数字で確認したい場合は、年収ごとの上限額と返済負担率の早見表にまとめてあります。
実際に購入した世帯が年収の何倍を借りているかは、国土交通省の住宅市場動向調査で確認できます。実務でよく使われるのは、返済負担率を額面年収ではなく手取り年収で計算し直す方法です。額面年収600万円の手取りは概ね470万円前後ですから、額面基準で35%まで借りると、手取り基準では44%を返済に充てることになります。手取りの25%以内に収まっているかを一度確認しておくと、教育費や車の買い替えが重なる時期にも耐えやすくなります。
もうひとつ、返済額は35年間ずっと同じ重さではありません。子どもの教育費が最も重くなる時期と、返済が続く時期は多くの場合重なります。借入額を決める前に、教育費のピークが何年後に来るかを家計表で押さえておくと判断がぶれません。
借入額を下げる手段は3つあります。物件価格を下げる、頭金を増やす、贈与を受ける、です。
このうち贈与は制度上の後押しがあります。父母や祖父母から住宅取得のための資金を受け取る場合、一定額まで贈与税がかからない特例があり、最大1,110万円まで非課税にできる条件と手続きを満たせば、その分そのまま借入額を減らせます。
頭金については注意点があります。手元資金を頭金に回すと借入額は減りますが、その100万円を支出しているので、正味の得は減った利息のぶんだけです。頭金をいくら入れるかは、支出とセットで評価する必要があります。判断材料は頭金の平均額と、ゼロで組む場合の損得にまとめました。

返済期間は、月々の負担と総返済額を交換する仕組みだと考えると分かりやすくなります。短くすれば総額は減りますが、月々は増えます。
借入3,000万円・変動1.082%で計算すると、35年を30年に短縮した場合、総返済額は906,186円減りますが、毎月の返済額は11,789円増えます。逆に40年に延ばすと、月々は8,812円軽くなる代わりに総返済額は920,605円増えます。
ここで見落とされやすいのは、5年短縮して減る総額(約91万円)は、後で見る「借入額を100万円減らす効果(約120万円)」より小さいということです。月々の負担を大きく増やしてまで期間を短くするより、借入額そのものを見直すほうが効率がよい場面は少なくありません。
期間ごとの詳しい比較や、40年・50年といった超長期を選ぶ場合の注意点は返済期間別の月々・総返済額をシミュレーションした記事で扱っています。
期間には、決定1に跳ね返るという性質があります。返済期間を短くすると、年間の返済額が増えるため、返済負担率の計算上、借入できる上限額が下がるのです。「25年で組もう」と決めた瞬間に、狙っていた物件に必要な額が借りられなくなることがあります。
もうひとつの制約が完済時年齢です。多くの金融機関で完済時の上限年齢は80歳未満に設定されており、45歳で35年ローンを組むと完済は80歳です。実際には定年後も返済が続く設計になるため、退職金や繰り上げ返済をどう織り込むかを最初に決めておく必要があります。

金利タイプは3つ目に決めます。3番目なのは、同じ「変動」でも金融機関によって0.2%以上の差があり、決定4とセットでなければ実際の金利が決まらないからです。
タイプ | 2026年8月の水準 | 返済額が動くか | 向いている人 |
|---|---|---|---|
変動 | 0.9〜1.2%台(メガバンク平均1.082%) | 半年ごとに見直され、上がりうる | 収入や貯蓄に余裕があり、上昇分を家計で吸収できる人 |
固定期間選択 | 10年固定で3%台後半 | 期間中は動かないが、明けた後に大きく上がりうる | 教育費など支出が読みにくい時期だけ固定したい人 |
全期間固定 | フラット35で3.290% | 完済まで動かない | 返済額を確定させて家計を組み立てたい人 |
差は小さくありません。借入3,000万円・35年で変動1.082%とフラット35の3.290%を比べると、毎月の返済額の差は34,528円、総返済額では14,501,676円の開きになります。もっとも、変動は「いまの金利」であり、35年間この水準が続く保証はありません。
住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)によると、利用された金利タイプは変動型が75.0%、固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%でした。注目すべきは変化の向きで、変動型は前回調査から4.0ポイント減り、固定期間選択型は2.7ポイント、全期間固定型は1.3ポイント増えています。金利が上がる局面で、実際に固定への移動が始まっているということです。
変動を選ぶ場合、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が据え置かれ、見直し時の増加幅も1.25倍までに抑えられる仕組みが多くの商品に付いています。ただしこれは支払いを先送りしているだけで、利息が免除されるわけではありません。仕組みと注意点は5年ルール・125%ルールと未払利息のリスクで詳しく扱っています。
変動金利の基準になっているのは短期プライムレートです。2026年8月3日に2.375%へ引き上げられ、9月1日から適用されます。一方、固定金利は長期金利(10年国債利回り)に連動し、こちらは8月17日に一時2.915%と30年ぶりの高さをつけました。どちらが自分に効くのかを理解するには、政策金利が住宅ローンに伝わる2つの経路と、長期金利の上昇が固定金利にいつ反映されるかを押さえておくと判断が早くなります。
変動と固定のどちらが得かをシミュレーションで詰めたい場合は総返済額で比較した記事を、フラット35を検討するならフラット35の仕組みと35Sの優遇を、最新の金利は毎月更新しているフラット35の金利推移を参照してください。なお9月17日・18日の日銀会合については、市場が1.25%への利上げを約8割織り込んでいる状況です(9月利上げの織り込みと変動金利への波及)。

ここからがこの記事の中心です。6つの決定を、総返済額という同じ物差しに乗せて比べます。結論を先に言うと、金利0.1%の価値は借入額にしておよそ50万円、費用の方式の違いは金利換算で0.102%、そして借入額を500万円減らす効果は金利をほぼゼロまで下げるのと同じ大きさです。
借入3,000万円・35年・元利均等・変動1.082%を基準に、条件を1つずつ動かした結果が次の表です。
動かす条件 | 月々の変化 | 総返済額の変化 | 別の条件に換算すると |
|---|---|---|---|
金利 +0.1% | +1,417円 | +595,175円 | 借入額が495,270円(+1.65%)増えるのと等しい |
金利 +0.25%(利上げ1回ぶん) | +3,570円 | +1,499,204円 | 借入額が1,247,551円増えるのと等しい |
金利 +0.5% | +7,228円 | +3,035,802円 | 借入額が2,526,218円増えるのと等しい |
事務手数料が定率2.2%(660,000円)か定額型(55,000円)か | — | 605,000円 | 金利換算で0.102% |
借入額 −100万円 | −2,861円 | −1,201,718円 | 金利換算で−0.205% |
借入額 −300万円 | −8,584円 | −3,605,154円 | 金利換算で−0.629% |
借入額 −500万円 | −14,306円 | −6,008,590円 | 金利換算で−1.074%(金利をほぼゼロにするのと同じ) |
返済期間 35年→30年 | +11,789円 | −906,186円 | 月々と総額の交換なので金利換算にはなじまない |
返済期間 35年→40年 | −8,812円 | +920,605円 | 同上 |
団信の特約付帯(金利 +0.2%) | +2,848円 | +1,196,362円 | 35年ぶんの保険料としていくらか、で評価する |
変動1.082%→フラット35 3.290% | +34,528円 | +14,501,676円 | 金利タイプの変更だけ桁が違う |
※当サイト独自試算。借入3,000万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし、変動金利1.082%(2026年8月のメガバンク平均の適用金利)で計算し、金利は全期間一定と仮定しています。諸費用は借入額に含めていません。実際の返済額は金融機関や借入条件により異なります。
この表の使い方はこうです。「金利が0.1%低い銀行を探す」という行為は、「物件価格を約50万円値引きしてもらう」のと同じ価値を持ちます。どちらに労力をかけるかは、実現しやすいほうを選べばよいということになります。
見落とされやすいのが4行目です。事務手数料が定率型(借入額×2.2%)か定額型(数万円)かで、初期費用に605,000円の差が出ます。これは金利換算で0.102%にあたります。つまり「表示金利が0.1%低い銀行」を見つけても、そこが定率型なら差はちょうど打ち消されるということです。金利だけを並べた比較表では、この打ち消しが見えません。
借入額が変われば金利0.1%の重みも変わります。
借入額 | 金利0.1%で増える総返済額 | 借入額に換算すると |
|---|---|---|
2,000万円 | 396,783円 | 330,180円 |
3,000万円 | 595,175円 | 495,270円 |
4,000万円 | 793,566円 | 660,360円 |
5,000万円 | 991,958円 | 825,450円 |
※当サイト独自試算。返済期間35年・毎月同額を返す方式・変動1.082%を基準に、金利が0.1%上昇した場合の差額を算出(2026年8月時点)。

並べてみると、順位ははっきりしています。借入額を300万円減らす効果(361万円)が突出して大きく、金利0.25%の上昇(150万円)がそれに次ぎ、期間の5年短縮(91万円)や費用方式の違い(61万円)は同じ桁のなかに収まります。決定1(いくら借りるか)を最初に置く理由は、ここにあります。
ひとつ補足があります。この表の「借入額−100万円」は、物件価格が安かった、あるいは贈与を受けたなど、支出を伴わずに借入額が小さくなる場合の効果です。手元の100万円を頭金に回す場合は、その100万円を支出しているので、正味の得は減った利息のぶん(約20万円)だけになります。頭金を積むかどうかの判断は今買うか1年待つかを金額で比べた記事で、支出を含めた形で試算しています。同じ100万円でも評価の軸が違う点に注意してください。

4つ目の決定です。「表示金利が最も低い銀行」と「総額が最も安い銀行」は、必ずしも一致しません。金利・事務手数料・保証料・団信の4つを合計して初めて比べられます。
借入先はおおまかに4つに分かれます。メガバンクとネット銀行、地方銀行・信用金庫では、金利の水準だけでなく費用の方式も審査の考え方も違います。フラット35の取扱機関はさらに性格が異なります。
類型 | 金利の傾向 | 費用の方式 | 審査・その他の特徴 |
|---|---|---|---|
都市銀行 | 中位。2026年8月は4行とも据え置き | 保証料型と手数料型を選べることが多い | つなぎ融資や住み替えなど複雑な案件に対応しやすい |
ネット銀行 | 最低水準だが、2026年は先行して引き上げる動きも | 事務手数料は定率型(借入額×2.2%)が中心 | 団信の保障が手厚い商品が多い。手続きは原則オンライン |
地方銀行・信用金庫 | やや高めだが、取引状況による引き下げ余地がある | 保証料型が中心。外枠・内枠を選べる場合がある | 地域の物件事情に詳しい。対面で相談しながら進められる |
フラット35の取扱機関 | 全期間固定。2026年8月は3.290% | 取扱窓口ごとに事務手数料が定率型か定額型か異なる | 物件の技術基準を満たす必要がある。自営業でも申し込みやすい |
ここで重要なのは、同じ「フラット35」でも窓口によって事務手数料の方式が違うという点です。金利は同じでも総額が変わります。取扱窓口の一覧は住宅金融支援機構のサイトで確認できます。
借入3,000万円・35年で、実務でよくある3つの組み合わせを比べました。
パターン | 適用金利 | 月々の返済額 | 利息の総額 | 借入時の初期費用 | 実質の総コスト |
|---|---|---|---|---|---|
A:表示0.945%/事務手数料は定率2.2%/保証料なし | 0.945% | 83,919円 | 5,245,945円 | 660,000円 | 5,905,945円 |
B:表示1.082%/事務手数料は定額/保証料は金利に0.2%上乗せ | 1.282% | 88,685円 | 7,247,905円 | 55,000円 | 7,302,905円 |
C:表示1.200%/事務手数料は定額/保証料は一括前払い(借入額×2%) | 1.200% | 87,511円 | 6,754,488円 | 655,000円 | 7,409,488円 |
※当サイト独自試算。借入3,000万円・返済期間35年・毎月同額を返す方式・ボーナス返済なし。金利は2026年8月の変動金利の実勢レンジ(0.9〜1.2%台)から設定し、全期間一定と仮定。団信は一般団信(上乗せなし)とし、登記費用など金融機関以外に支払う費用は含めていません。

読み取れることは2つあります。ひとつは、表示金利の安い順(A→B→C)と実質の総コストの安い順が一致していること。表示金利は嘘をつきません。もうひとつは、初期費用の安い順は B→C→A と完全に逆転していることです。借入時に55,000円しか払わなくていいBは、35年では最も安いAより1,396,959円多く払うことになります。窓口で「初期費用が抑えられます」と説明される選択肢が、35年後には約140万円高くつくという構図です。
ただしこれは35年で借りる場合の話です。同じ3パターンを返済期間だけ変えて計算すると、分かれ目は返済期間およそ11.4年にあります。それより短ければ初期費用の軽いBが有利で、長ければ表示金利の低いAが有利です。期間が短いほど利息の総額が小さくなるため、初期費用の差のほうが相対的に効いてくるからです。
この性質は借り換えを考えるときにも効いてきます。借り換えでは残りの期間が短いことが多いため、借り換えの損益分岐を計算した記事では定額型が有利になりやすいと結論しています。新規で35年借りる本記事の結論と逆に見えますが、どちらも同じ試算から出た答えで、違いは「残りの期間の長さ」だけです。
費用の比較は次の3ステップで進めると漏れがありません。
なお、注文住宅や建て替えでは、建物の完成前に土地代や着工金の支払いが発生します。この時期をつなぐのがつなぎ融資で、扱っていない金融機関もあるため、決定4の段階で確認が必要です。仕組みと費用は住み替えの資金繰りを解説した記事で触れています。住宅ローン以外にかかる費用の全体像は購入時の諸費用の内訳にまとめました。
2026年8月の動きには特徴があります。メガバンク4行が変動金利を据え置いた一方で、ネット銀行では引き上げが相次ぎました。ある事業者は0.250%、別の事業者は0.043%の引き上げです。地方銀行や信用金庫も含めた業態間の比較で見ると、これまで「常に最も安い」とされてきたネット銀行の優位が、必ずしも保証されなくなっているということです。ネット銀行と地方銀行・信用金庫の比較では、金利差が縮まるほど費用の方式や団信の内容が効いてきます。
背景には、6月の日銀利上げが短期プライムレートに反映されるタイミングの差があります。8月3日に引き上げられた短期プライムレートは9月1日から適用されるため、都市銀行の基準金利にもこれから順次反映されていきます。二極化の構図はネット銀行の先行利上げを扱った記事で詳しく追っています。いま比較した金利が来月も同じとは限らないため、申し込み直前にもう一度確認してください。

共働き世帯では、誰の名義で借りるかによって借入額も税制上の扱いも変わります。
方式 | 契約の形 | 減税の適用 | 団信の対象 | 諸費用 |
|---|---|---|---|---|
単独 | 1人が借りる | 1人ぶん | 借りた本人 | 1件ぶん |
ペアローン | 夫婦それぞれが契約する(2本) | 2人ぶん使える | 2人とも対象 | 2件ぶん(事務手数料も2倍) |
収入合算 | 1本の契約に2人で関わる | 連帯債務型は2人ぶん、それ以外は1人ぶん | 原則、主たる債務者のみ | 1件ぶん |
2人で借りれば借入可能額は増えますが、増えるのは返済義務も同じです。片方が働けなくなったときに、残った側だけで返しきれる設計になっているかを必ず確認してください。育休・産休で収入が一時的に落ちる時期をどう乗り切るか、離婚したときに何が起きるかは共働き世帯の住宅購入と育休リスク対策で詳しく扱っています。
6つの決定のなかで、名義だけは順番の扱いが特殊です。5番目に置いていますが、実際には決定1(いくら借りるか)と決定6(団信)の両方を規定するため、方向性だけは最初に確認しておく必要があります。2人で借りるつもりなら借入可能額も減税の枠も変わり、単独なら団信の対象は1人だけになるからです。
選択肢としては、月々の返済を抑える残価設定型という商品もあります。住宅の将来価値をあらかじめ据え置いて、その部分を毎月の返済対象から外す仕組みです。ただし据え置いた分は最後に精算が必要で、対象物件も限られます。残価設定型の仕組みと注意点を確認したうえで検討してください。

最後の決定です。団信は借りた人が亡くなったり高度障害になったりしたときに残債が弁済される保険で、多くの民間ローンでは加入が必須になっています。制度の位置づけは全国銀行協会の解説が参考になります。
一般団信は金利に含まれているのが通常ですが、がん保障や全疾病保障などの特約を付けると金利が上乗せされます。よくあるのが0.1〜0.3%の上乗せです。
ここでも同じ物差しに乗せて考えます。借入3,000万円・35年で金利が0.2%上乗せされると、毎月の返済額は2,848円増え、総返済額では1,196,362円増えます。つまりこの特約は「35年で約120万円の保険料を払う商品」ということです。月々3,000円弱の掛け捨て保険と考えて、既に加入している生命保険や医療保険と保障が重複していないかを確認すると判断しやすくなります。保障内容の違いや金融機関ごとの比較は団信の種類と選び方にまとめました。
健康状態によっては団信に加入できず、その結果ローン自体を借りられないことがあります。引受基準を緩めたワイド団信という選択肢や、団信の加入が任意であるフラット35を使う方法もあるため、持病がある場合は早めに相談してください。
審査で見られる項目は、申し込んだ時点でほぼ確定しています。完済時の年齢、健康状態、勤続年数、年収、返済負担率、そして他の借入や信用情報です。申し込んでから改善できるものはほとんどありません。逆に言えば、事前に手を打てるものもあります。
金融機関によって審査の基準は違います。都市銀行で通らなくても、地方銀行やフラット35の取扱機関では通るというケースは実際にあります。落ちた場合の原因の調べ方と対処法、雇用形態別の注意点は審査に通る条件と落ちた場合の対処法で詳しく扱っています。

6つの決定が固まったら、実際の手続きに入ります。事前審査から融資実行までの日数は、全体でおよそ3週間から1か月半。物件の引き渡し日から逆算して動きます。
段階 | 日数の目安 | 主な必要書類 | 注意点 |
|---|---|---|---|
事前審査 | 3日〜1週間 | 本人確認書類、源泉徴収票など収入を示す書類、検討中の物件資料 | 複数の金融機関に同時に出してよい。結果には有効期限がある |
売買契約 | 審査の通過後 | 手付金、重要事項説明書の確認 | ローン特約の内容と期限を必ず確認する |
本審査 | 1〜4週間 | 売買契約書、住民票、印鑑証明書、所得証明、物件の登記事項証明書、団信の告知書 | 書類が揃わないと日数が延びる。健康状態の告知はこの段階 |
金銭消費貸借契約 | 本審査の承認後 | 実印、印鑑証明書、収入印紙 | 金利タイプや返済方法を最終確定させる場でもある |
融資実行・引き渡し | 本審査の承認から2〜3週間 | 残代金の精算、登記関係書類 | 実行日に返済がスタートする。抵当権の設定登記も同日 |
余裕をみるなら、全体で1か月半を確保しておくと安心です。仮審査と本審査で必要書類の重さがまったく違う点にも注意してください。前者は本人確認と収入証明、物件資料で足りますが、本審査では売買契約書や登記関係の書類、団信の告知書まで求められます。
つなぎ融資を扱っていない金融機関もあるため、注文住宅を検討しているなら決定4(どこで借りるか)の段階で必ず確認しておいてください。

住宅ローンは、契約したら終わりではありません。借りた後にも金額が動く機会が3回あります。
年末のローン残高に応じて所得税・住民税が軽くなる制度があります。ここで押さえておきたいのは、戻ってくる額が決定1・決定5・物件の性能の3つで決まるという点です。借入額が大きいほど残高は多くなりますが、上限があるため青天井ではありません。名義を2人に分ければ枠は2人ぶんになります。そして省エネ性能などの住宅の性能によって、そもそもの上限額が変わります。
つまり「借りてから考える制度」ではなく「借り方を決める段階で効いてくる制度」です。限度額の早見表や、年収によっては控除を使い切れないケースについてはいくら戻るかを試算した記事で確認してください。中古住宅の面積要件が緩和された40平方メートル台への対象拡大や、2028年入居から新築の要件が厳しくなる災害レッドゾーンの取り扱いなど、条件は年によって動きます。要件の原典は国税庁のページで確認できます。
まとまった資金ができたとき、繰り上げ返済に回すか、運用に回すかで迷います。判断の軸はシンプルで、ローンの金利を上回る利回りを安定して得られる見込みがあるかどうかです。変動1.082%で借りているなら、繰り上げ返済は「確実に1.082%の利回りを得る」のと同じ効果になります。これを超える運用が確実にできるとは限らない一方、手元資金が減るリスクは確実に負います。
もうひとつ、控除を受けている期間中は繰り上げ返済で残高を減らすと控除額も減ります。控除期間が終わってからのほうが効率がよい場合があるため、時期の判断が要ります。期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選ぶかを含めて、繰り上げ返済で得する条件にまとめてあります。
借り換えは、いま借りている金利より低い条件に乗り換えて総返済額を減らす方法です。ただし諸費用が数十万円かかるため、金利差だけで判断すると失敗します。損得を決めるのは、金利差・残りの期間・諸費用の3つです。前半で見たように、残りの期間が短いほど費用の方式の影響が大きくなるという性質もここで効いてきます。
35年の契約です。途中で状況が変わることは十分にありえます。借りる前に出口を知っておくと、実際に起きたときの選択肢が広がります。
6つの決定に沿って、よく聞かれる疑問をまとめました。
「いくら借りるか」からです。総返済額への影響が最も大きく、後の5つの決定すべての前提になるためです。借入額を300万円減らす効果は約361万円で、金利0.25%の上昇(約150万円)の2倍以上あります。金利タイプや金融機関選びは、借入額と期間が固まってから比べたほうが精度が上がります。
借入3,000万円・35年なら、総返済額で595,175円、毎月では1,417円の差です。借入額に換算すると約50万円にあたります。借入4,000万円なら総額で793,566円、5,000万円なら991,958円と、借入額に比例して大きくなります。
返済期間で分かれます。当サイトの試算では、分かれ目はおよそ11.4年です。それより長く借りるなら、初期費用は重くても表示金利の低い定率型が有利になりやすく、短く返すなら初期費用の軽い定額型が有利になります。35年で借りる場合、初期費用が最も軽い方式は最も安い方式より約140万円多く払うという結果でした。
金利だけでは決まりません。利息の総額に諸費用と団信の上乗せぶんを足した実額で比べてください。2026年8月時点では、メガバンク4行が変動金利を据え置く一方でネット銀行が引き上げるという動きが出ており、業態だけで判断するのは危険です。借入額と期間を固定したうえで、実額で並べるのが唯一確実な方法です。
事前審査が3日〜1週間、本審査が1〜4週間、本審査の承認から融資実行までが2〜3週間で、全体では3週間〜1か月半が目安です。書類が揃わないと延びるため、余裕をみて1か月半を確保しておくと安心です。
金利の低さを優先し、上昇分を家計で吸収できるなら変動、返済額を確定させたいなら固定です。2026年8月時点で変動1.082%とフラット35の3.290%には大きな差があり、借入3,000万円・35年なら総返済額で約1,450万円の開きがあります。ただし変動は今後上がりうる金利です。実態調査では変動を選ぶ人が75.0%と多数派ですが、前回調査から4.0ポイント減り、固定への移動が始まっています。
年収倍率で5〜7倍程度が目安とされますが、これは借入可能額の話です。金融機関は実際の適用金利ではなく3%前後の審査金利で計算するため、提示される上限は「返せる額」とは別物です。手取り年収の25%以内に年間返済額が収まるかを確認してから決めてください。
組めます。ただし借入額が増えるぶん総返済額は増え、物件価格の下落局面では売却してもローンが残るリスクが高まります。手元資金をすべて頭金に回すのも危険で、諸費用と当面の生活費は残しておく必要があります。
使えません。床面積や所得の要件、住宅の省エネ性能などの条件があり、対象外になるケースがあります。中古住宅では築年数や耐震性の要件も関わります。借入額を決める前に、自分が対象になるかと限度額がいくらかを確認しておくと、資金計画がぶれません。
借入可能額を増やしたい、減税の枠を2人ぶん使いたいなら2人で組む形が有利です。ただし返済義務も2人ぶんになります。判断の分かれ目は「片方の収入が途絶えても返しきれるか」で、育休や転職の可能性がある時期は特に慎重に見てください。
できます。繰り上げ返済、借り換え、同じ金融機関での金利引き下げ交渉という3つの手段があります。ただしいずれも諸費用や条件があるため、金額で比べてから動いてください。
延滞する前に金融機関へ相談してください。返済期間の延長や元金の据え置きに応じてもらえる場合があります。延滞が続くと一括請求から競売へ進み、選択肢が急速に狭まります。早く動くほど残る手段は多くなります。
住宅ローンは、6つの決定を順番に決めていく作業です。最後にもう一度、重みの順位を確認しておきます。
金利を0.1%下げる労力と、借入額を50万円減らす労力は等価です。どちらが実現しやすいかで力の配分を決めてください。そして比較するときは、表示金利ではなく利息と諸費用を合計した実額で並べること。この2つを押さえておけば、住宅ローン選びで大きく外すことはありません。