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残価設定型住宅ローンとは、住宅の将来の資産価値(残価)をあらかじめ設定し、その部分を毎月の返済対象から外すことで、借入中の月々の返済負担を抑えられる住宅ローンです。自動車の「残クレ」の発想を住宅に応用した仕組みで、国も普及を後押しし始めています。
この記事でわかること
2026年6月に日本銀行が政策金利を1.0%へ引き上げ、住宅ローンの返済負担を気にする人が増えています。住宅価格も高止まりが続くなか、「月々の返済を軽くできる」新しい住宅ローンとして注目されているのが残価設定型住宅ローンです。国土交通省や住宅金融支援機構が普及を後押しする制度も整い始めました。ただし、月々の安さだけで判断すると後悔しかねない注意点もあります。この記事では、仕組み・メリット・デメリットから国の制度、向き不向きまでをわかりやすく整理します。

残価設定型住宅ローンとは、住宅の将来の想定資産価値を「残価」として設定し、その残価部分を毎月の返済対象から切り離すことで月々の返済額を抑える住宅ローンです。借入額の全額を返すのではなく、残価を差し引いた金額を返済していくのが最大の特徴です。
残価(ざんか)とは、返済期間が終わった時点で住宅に残っていると見込まれる価値のことです。残価設定型住宅ローンでは、この残価をあらかじめ決め、借入額から残価を差し引いた部分を「毎月返済していく元金」とします。たとえば3,000万円の住宅で残価を900万円と設定した場合、残りの2,100万円分を返済していくイメージです。
据え置いた残価は返済がなくなるわけではなく、返済期間が終わったときに、あらためて精算する必要がある点が重要です。精算方法は商品によって異なりますが、住宅を売却して残価を返す、住み続けながら別の形で返済を続けるなどの選択肢が用意されているのが一般的です。この「据え置き→満了時に精算」という構造を理解しておくことが、残価設定型を正しく使う第一歩になります。
もう少し具体的にイメージしてみましょう。3,000万円の住宅を購入し、残価を900万円(30%)に設定したとします。この場合、毎月コツコツ返していくのは残りの2,100万円分です。返済期間が終わると、手元には「900万円の残価をどう精算するか」という宿題が残ります。売却して清算する、住み続けるために別の形で返す、といった選択をこのタイミングで行うわけです。つまり残価設定型は「安く借りられる」のではなく、「一部の返済を将来に先送りし、住宅の資産価値で解決する」仕組みだと捉えると理解しやすくなります。
残価設定型住宅ローンは、自動車の「残価設定クレジット(残クレ)」の考え方を住宅に応用したものです。残クレでは、数年後の車の下取り価格を残価として据え置き、車両価格から残価を引いた分だけを分割で支払います。契約満了時に「車を返す・買い取る・乗り換える」から選ぶ仕組みです。
住宅版でも「据え置いた残価を満了時に精算する」という骨組みは共通です。ただし住宅は自動車と違い、価値が長期にわたって残りやすく、土地の価値も加わります。そのため残価の設定根拠や、満了時の選択肢(売却・住み続ける・返済を続ける)は住宅ならではの設計になっています。車のように「数年で返して乗り換える」前提ではなく、長期の住まいとして使う点が大きく異なります。
残価設定型住宅ローンの多くは「ノンリコース型」と呼ばれる仕組みを採用しています。ノンリコース型とは、最終的に住宅を売却して残価を精算する際、売却額が設定した残価を下回っても、その差額を借り主に追加請求しないという考え方です。
通常の住宅ローンでは、売却額がローン残高に満たない「アンダーローン」の状態だと、差額を自己資金で埋める必要があります。ノンリコース型なら、将来値下がりしたとしても残価の範囲でリスクを金融機関側が引き受けるため、売却時に想定外の負担を抱えにくいのがメリットです。ただし、すべての商品が完全なノンリコースとは限らないため、契約前に条件を確認することが欠かせません。
ここまでの内容を、通常の住宅ローンと残価設定型住宅ローンで整理すると次のようになります。仕組みの違いを一覧で押さえておくと、後半のメリット・デメリットも理解しやすくなります。
比較項目 | 通常の住宅ローン | 残価設定型住宅ローン |
|---|---|---|
毎月の返済対象 | 借入額の全額 | 借入額から残価を差し引いた額 |
月々の返済額 | 相対的に高い | 相対的に低い |
満了時の残価 | 完済すればゼロ | 売却・返済継続などで精算が必要 |
値下がりリスク | 借り主が負担(アンダーローン) | ノンリコース型なら一定範囲を金融機関が負担 |
対象住宅 | 幅広い | 長期優良住宅など質の高い住宅が中心 |
※一般的な傾向をまとめたもので、条件は商品ごとに異なります。

月々の返済が軽くなる理由はシンプルで、毎月返済する元金そのものが小さくなるからです。残価を返済対象から外すことで、同じ金利・同じ返済期間でも月々の負担が下がります。
通常の住宅ローンは、借入額の全額を返済期間で割り、金利を加えて毎月返していきます。一方、残価設定型では「借入額 − 残価」を毎月の返済対象とします。返す元金が減れば、そのぶん毎月の返済額も下がるという関係です。
たとえば残価を物件価格の30%に設定すれば、返済対象は残りの70%分になります。返済対象が減った分だけ月々が軽くなり、家計に余裕が生まれます。住宅ローンの返済期間そのものの考え方は住宅ローンは何年で組む?返済期間の決め方と総返済額比較もあわせて参考にしてください。
残価を物件価格の30%に設定した場合、月々の返済額がどれくらい変わるかを試算しました。金利1.5%・返済期間35年・元利均等返済で、通常ローン(全額返済)と残価設定型(残価30%を据え置き)を比較したものです。
物件価格(=借入額) | 通常ローン(月) | 残価設定型(月) | 月々の差額 | 据え置く残価 |
|---|---|---|---|---|
2,000万円 | 約61,200円 | 約42,900円 | 約-18,400円 | 600万円 |
3,000万円 | 約91,900円 | 約64,300円 | 約-27,600円 | 900万円 |
4,000万円 | 約122,500円 | 約85,700円 | 約-36,700円 | 1,200万円 |
※当サイト独自試算(金利1.5%・35年・元利均等・残価30%据え置き・ボーナス返済なしで計算)。実際の返済額は金利・返済期間・残価設定率・借入条件により異なります。ローンの見直しはFPや金融機関の専門家にご相談ください。
3,000万円の借入なら、月々の返済が約9.2万円から約6.4万円へと、毎月約2.8万円軽くなる計算です。ただし据え置いた残価(この例では900万円)は満了時に精算が必要で、単純に返済総額が減るわけではない点に注意してください。金利タイプによる負担の違いは金利タイプ別の総返済額シミュレーションも参考になります。
残価をどの程度に設定するかで、月々の軽さと満了時の負担のバランスは大きく変わります。残価を高く設定すれば毎月の返済はより軽くなりますが、そのぶん最後に精算する金額も大きくなります。反対に残価を低く抑えれば、月々の軽減幅は小さくなる代わりに、出口での負担も小さくなります。「毎月をどれだけ楽にしたいか」と「将来どう精算したいか」を両にらみで考えることが、残価設定率を決めるうえでのポイントです。目先の月々だけを見て残価を大きく取りすぎると、満了時にまとまった精算資金が必要になり、かえって家計を圧迫しかねません。
残価設定型住宅ローンには、将来の選択肢として「返済額軽減オプション」と「買取オプション」という2つの権利が用意されている商品があります。返済額軽減オプションは、残価を据え置いたまま月々の返済負担を抑える権利です。買取オプションは、あらかじめ決めた残価と同額で住宅を買い取ってもらえる権利を指します。
買取オプションを行使すれば、売却時にローンが残るリスクを避けられます。将来「住み替えたい」「まとまった資金が必要になった」ときに、残価分でスムーズに整理できるのが利点です。どのオプションが付くか、行使できる時期や条件は商品ごとに異なるため、契約時に確認しておきましょう。
この2つのオプションがあることで、残価設定型住宅ローンは「借りるとき」だけでなく「返し終わるとき」の選択肢まで含めて設計されているのが特徴です。ライフプランが変わっても、返済額を抑えたまま住み続けるか、買い取ってもらって身軽になるかを状況に応じて選べる余地があります。ただし、オプションを行使できる時期が「残価設定月以降」などと定められていたり、行使に一定の条件が付いたりすることもあります。「いつ・どんな条件で・どのオプションを使えるのか」を、契約前の説明でしっかり確認しておくことが後悔しないコツです。

残価設定型住宅ローンは、いま国が普及を後押ししている住宅ローンです。住宅金融支援機構が金融機関向けの保険を創設し、残価の未回収リスクを引き受けることで民間金融機関の参入を支援しています。ここでは2026年8月時点の制度の全体像を整理します。
住宅金融支援機構(JHF)は、残価設定型住宅ローンの供給を促すため「特定残価設定ローン保険」を創設しました。これは、将来の残価が当初の想定を下回った場合に、金融機関の損失をカバーする金融機関向けの住宅融資保険です。
残価設定型住宅ローンは、金融機関にとって「将来の資産価値が読みにくい」という難しさがあります。値下がりすれば損失を被るリスクがあるため、これまで扱いに慎重でした。そこで機構が保険でリスクの一部を引き受けることで、民間金融機関が商品を提供しやすくする狙いです(出典:住宅金融支援機構「特定残価設定ローン保険」)。
この制度は、令和7年度補正予算に盛り込まれた「残価設定型住宅ローンの供給促進のための住宅融資保険制度の創設」として位置づけられています。住宅価格の高騰で住宅ローンが高額化・長期化するなか、子育て世帯などが返済負担を抑えながら安心して返済できるようにすることが目的です。
国土交通省と住宅金融支援機構が連携して普及を支援しており、固定金利型住宅ローンの利用円滑化と合わせて打ち出された施策の一つです(出典:国土交通省 報道発表資料)。国が制度面から後押ししていることは、今後の取扱拡大を見込むうえで重要なポイントです。
残価設定型住宅ローンは、どんな住宅でも使えるわけではありません。将来の残価を担保するためには、長期間にわたって価値が保たれる住宅である必要があるためです。制度上は、認定長期優良住宅など一定の耐久性を備えた住宅が対象とされています。
さらに、住宅の品質を長く維持するための定期的な点検・メンテナンス(維持管理)を続けることが、保険適用の条件として求められます。「建てて終わり」ではなく、住み続けながら適切に管理していく前提の仕組みだと理解しておきましょう。
2026年8月時点では、残価設定型住宅ローンはまだ普及の初期段階にあります。住宅金融支援機構の保険を活用する金融機関は限られており、2026年3月末時点では同保険の取扱金融機関は確認できない状況でした。一方で、楽天銀行など一部の金融機関が独自の残価設定型商品を提供し始めています。今後、制度の整備とともに取り扱う金融機関が増えていくと見込まれます。
ここで押さえておきたいのが、「国の制度を活用した残価設定型」と「金融機関が独自に設計した残価設定型」は、必ずしも同じ条件ではないという点です。国の保険制度は主に新築の長期優良住宅などを想定していますが、民間の独自商品では借換専用だったり、残価の設定率や対象がそれぞれ異なったりします。実際、2026年7月には民間から借換専用の残価設定型商品も登場しています。同じ「残価設定型」という名前でも中身は多様なので、商品ごとに条件を確認する姿勢が欠かせません。
なぜいま国が普及を後押しするのでしょうか。背景には、住宅価格の高騰と住宅ローンの長期化があります。価格が上がるほど借入額は膨らみ、返済期間は35年から40年へと延びる傾向にあります。金利も上昇局面に入り、返済負担は重くなる一方です。こうしたなかで、月々の負担を抑えつつ、住宅の資産価値を活かして返済を組み立てられる残価設定型は、家計と住宅市場の両面から期待されているのです。

残価設定型住宅ローンのメリットは、月々の返済負担を抑えられること、そして売却時にローンが残りにくいことに集約されます。金利上昇局面で家計の安心感を得たい人にとって、有力な選択肢になり得ます。
最大のメリットは、同じ金利・返済期間でも月々の返済額を抑えられることです。前述の試算のとおり、残価を30%据え置くだけで月々の返済が2〜3割ほど軽くなるケースもあります。手取りに対する返済比率が下がることで、教育費や急な出費に備える余裕が生まれます。
不動産取引の現場では、無理のない返済比率に収めることが長く安心して住み続けるコツだとよく指摘されます。返済比率(年収に占める年間返済額の割合)が高すぎると、金利上昇や収入減の局面で家計が一気に苦しくなりがちです。残価設定型で月々を抑えられれば、この返済比率に余裕を持たせやすくなります。自分がいくらまで借りられ、いくらなら無理なく返せるかは住宅ローンはいくら借りられる?年収別の借入額と返せる額もあわせて確認しておくと安心です。
買取オプションが付いた商品なら、将来住宅を手放すときにローンが残りにくいのも大きな利点です。あらかじめ決めた残価と同額で買い取ってもらえるため、「売ってもローンが残ってしまう」というアンダーローンの不安を避けられます。
また、ノンリコース型では、売却額が残価を下回っても差額を追加請求されないケースがあります。将来の値下がりリスクを一定範囲で金融機関側が引き受けてくれる点は、通常の住宅ローンにはない安心材料です。
残価設定型住宅ローンは、教育費のピークを迎える子育て世帯とも相性が良いとされています。子どもが小さいうちや教育費がかさむ時期に月々の返済を抑え、家計に余裕を持たせられるためです。国の制度も子育て世帯の負担軽減を目的の一つに掲げています。ライフステージに合わせて返済の重さをコントロールしたい人にとって、柔軟性の高い選択肢といえます。
もう一つ見逃せないのが、金利上昇局面での「守り」に使える点です。変動金利で借りている場合、金利が上がると毎月の返済額もじわじわ増えていきます。残価設定型で返済対象の元金そのものを小さくしておけば、同じ金利上昇でも家計へのインパクトを和らげられます。実務でも、返済比率に少しでも余裕を持たせておくことが、金利や収入の変化に耐える「家計の緩衝材」になると指摘されます。毎月のキャッシュフローに余裕があれば、繰り上げ返済や貯蓄、教育資金の準備といった別の選択肢も取りやすくなります。

残価設定型住宅ローンには見逃せない注意点もあります。月々の安さと、トータルの負担・満了時の出口リスクは分けて考える必要があります。目先の返済額だけで判断しないことが何より大切です。
最大の注意点は、据え置いた残価は消えるわけではなく、返済満了時に精算しなければならないことです。出口の選択肢は商品によって異なりますが、一般的には次の3つが想定されます。
買取を選べば残債は残りませんが、住み慣れた家を手放すことになります。住み続ける形を選べば、利息負担が増えたり、残価分の返済が発生したりします。「月々が半分」という数字の裏で、10年後・満了時に自分がどうしたいのかまで見据えて判断することが欠かせません。
特にリバースモーゲージ型で住み続ける選択は、月々を軽く保てる一方、利息を払い続けるため総返済額がふくらむ可能性があります。どの出口を選んでも「据え置いた分はいつか向き合う」という原則は変わりません。契約前の段階で、それぞれの出口を選んだ場合に最終的にいくら負担するのか、金融機関にシミュレーションを出してもらい、通常の住宅ローンで完済した場合と比べておくと安心です。
途中で住み替えを考える場合にも注意が必要です。買取オプションへ移行せずに住み替えると、残価設定型住宅ローンの返済が続いたまま、新居の資金も別に用意しなければならないことがあります。二重の負担になりかねないため、住み替えの可能性がある人は、どのタイミングでどのオプションを使えるかを事前に確認しておきましょう。住み替えに伴う税金や特例は住み替えの税金・特例と住み替えローン完全ガイドで詳しく解説しています。
設定した残価は「将来必ずその金額で買い取られる」と保証されるとは限りません。多くの商品では、実際に売却・精算する時点であらためて査定が行われます。想定より住宅市場が悪化していれば、受け取れる金額が当初のイメージを下回る可能性もあります。残価はあくまで「見込み」であることを踏まえ、楽観的な前提だけで資金計画を立てないようにしましょう。買取オプションが付いた商品であれば、あらかじめ決めた残価での買取が受けられるケースもありますが、その場合も行使できる条件や時期が定められています。「どの範囲まで価格が保証され、どこからが再査定の対象になるのか」を、契約前に具体的に確認しておくことが安心につながります。
残価設定型住宅ローンは、対象が長期優良住宅など質の高い住宅が中心で、誰でも自由に使えるわけではありません。継続的な維持管理が条件になるほか、商品によっては借換のための条件(申込者と現在の債務者が同一、直近の返済に延滞がない、借入額が一定以下など)が設けられています。賃貸中の住宅や投資用ローンは対象外となるのが一般的です。自分の住宅や状況が条件に合うかどうかを、まず確認することが出発点になります。
金利や諸費用の面にも目を向けておきましょう。残価設定型は金融機関にとって将来価値を見込む必要があるため、通常の住宅ローンより金利がやや高めに設定される場合や、維持管理・査定に関わるコストがかかる場合があります。月々の返済が下がっても、金利差やコストを含めたトータルで本当に有利かどうかは、通常の住宅ローンと並べて比較することが大切です。維持管理を怠ると残価保証の前提が崩れる可能性がある点も、長期のコストとして意識しておきたいところです。
加えて、残価設定型住宅ローンはまだ制度・商品ともに発展途上である点も前提として押さえておきましょう。取り扱う金融機関が限られ、商品ごとに条件のばらつきが大きい段階です。数年後には選択肢が増え、条件が改善される可能性もあります。焦って決めず、複数の選択肢を比較したうえで判断する姿勢が、この時期の住宅ローン選びでは特に重要になります。

残価設定型住宅ローンは、月々の負担を抑えたい人に向く一方、住宅を長く所有し続けたい人には合わないこともあります。同じ商品でも、その人が住宅とお金にどう向き合いたいかによって評価は大きく変わります。ここでは向いている人・向かない人の特徴を整理するので、自分のライフプランと照らし合わせて判断しましょう。大切なのは「月々が安くなるから」という理由だけで飛びつかず、10年後・20年後の自分の暮らし方までイメージして選ぶことです。
次のような人は残価設定型住宅ローンの利点を活かしやすいといえます。
反対に、次のような人は慎重に検討したほうがよいでしょう。
残価設定型住宅ローンを検討するときは、次の点を確認しておきましょう。第一に、満了時の出口(買取・住み続ける・完済)の条件と、それぞれの総負担です。第二に、残価が再査定されるか、ノンリコースかどうかです。第三に、対象住宅・維持管理の条件と、途中で住み替える場合の扱いです。第四に、金利や諸費用を含めたトータルコストが、通常の住宅ローンと比べてどうかという点です。これらを一つずつ確認するだけでも、契約後の「思っていたのと違った」を大きく減らせます。国が普及を後押しする制度型と、各金融機関が独自に扱う商品では条件が異なる場合があるため、「残価設定型」とひとくくりにせず、その商品ごとの条件を確認することが大切です。借換で検討する場合は借換で検討する場合の損得もあわせてご覧ください。なお、2026年7月には民間でも借換専用の新商品が登場しています(月々返済が半分に?残価設定ローン借換が登場)。
住宅の将来の資産価値(残価)を設定し、その部分を毎月の返済対象から外すことで月々の返済を抑える住宅ローンです。自動車の残クレの発想を住宅に応用したもので、据え置いた残価は返済満了時に、売却や返済継続などの形で精算します。
最大のデメリットは、据え置いた残価を満了時に精算する必要があり、総返済額が単純に減るわけではないことです。住み替え時に追加資金が必要になる場合や、将来の残価が再査定される点、対象が長期優良住宅などに限られる点にも注意が必要です。
残価の設定率や借入条件によって変わります。残価を大きく据え置くほど月々は軽くなりますが、その分だけ満了時に精算する残価も大きくなります。当サイトの試算では、残価30%の据え置きで月々が2〜3割ほど軽くなる計算です。「半分」は残価を高く設定した場合の一例と理解しておきましょう。
2026年8月時点では、取り扱う金融機関はまだ限られています。楽天銀行など一部が独自商品を提供しているほか、住宅金融支援機構の保険制度を活用した商品の広がりが今後見込まれます。最新の取扱状況は各金融機関の公式情報で確認してください。
買取オプションを行使すれば残価と同額で買い取ってもらえ、ローンを整理して住み替えやすくなります。オプションを使わずに住み替える場合は、残価設定型のローンが続いたまま新居の資金も必要になることがあるため、事前に条件を確認することが大切です。
現状では、認定長期優良住宅など将来の価値が保たれやすい住宅が主な対象で、すべての中古住宅で使えるわけではありません。継続的な維持管理が条件になることも多く、対象住宅の要件は商品によって異なります。中古住宅での利用を検討する場合は、対象になるかどうかを金融機関に個別に確認しましょう。
月々の返済は軽くなりますが、据え置いた残価は満了時に精算するため、総額が自動的に得になるわけではありません。金利がやや高めに設定される場合もあります。目先の月々だけでなく、金利・諸費用・出口の精算まで含めて通常の住宅ローンと比較し、FPなど専門家の意見も取り入れて判断することをおすすめします。
住宅ローンの金利タイプや借入額の決め方など全体像は、どこで借りるかを含めた住宅ローンの選び方でまとめて解説しています。
残価設定型住宅ローンは、金利上昇時代に月々の負担を軽くしたい人にとって魅力的な選択肢です。ただし、仕組みと出口のリスクを理解しないまま契約すると、後で「こんなはずでは」となりかねません。制度も商品もまだ広がり始めたばかりなので、通常の住宅ローンや複数の商品と比較しながら、焦らず検討することが大切です。借換や返済プランの見直しを考えている方は、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談し、ご自身のライフプランに本当に合うかをじっくり確認してみてください。