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住宅ローンの借り換えで得をするかどうかは、金利差だけでは決まりません。実際に効くのは「金利差」と「残りの返済期間」で、この2つが諸費用を何ヶ月で回収できるかを決めます。よく言われる「残高1,000万円以上」という条件は、回収スピードにはほとんど影響しません。
この記事でわかること
2026年は住宅ローンの金利が上がる局面に入り、返済中の人からの「借り換えたほうがよいのか」という相談が増えています。住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン利用者の75.0%が変動型を選び、今後1年の金利について73.7%が「現状よりも上昇する」と答えています(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月調査)」・データ取得日:2026年8月26日)。この記事では、その判断を感覚ではなく回収月数という数字で下せるように、当サイトの独自試算をもとに整理します。金利そのものの動きは日銀利上げが住宅ローンと不動産市場に与える影響|2026年現状と見通しで、これから購入する人の時期判断は今買うか1年待つかの損益分岐で解説しています。

借り換えの損得は、たった1本の式で表せます。諸費用 ÷ 月々の軽減額 = 回収にかかる月数。この回収月数が残りの返済期間より短ければ得、長ければ損です。まずはこの式に入る要素を確認します。
住宅ローンの借り換えとは、別の金融機関で新たにローンを組み、その資金で現在のローンを一括返済することです。手続き上は「新規の借入」と「全額繰上返済」を同時に行う扱いになるため、あらためて審査を受け、団体信用生命保険にも入り直します。さらに、いまのローンに設定されている抵当権を抹消し、新しい金融機関の抵当権を設定し直す登記も必要です。この登記と手数料が諸費用の正体であり、金利が下がっても諸費用を回収できなければ損になるのは、このためです。
なお、同じ金融機関のなかで別の商品に乗り換えることは、原則として借り換えとは呼びません。同一銀行では「金利プランの変更(条件変更)」という別の手続きになります。こちらは費用が大幅に少なく済む場合があるため、借り換えを検討する前に確認する価値があります(後述)。
借り換えの判断材料としてよく挙がるのが「金利差0.3%以上・残高1,000万円以上・残りの返済期間10年以上」という3条件です。ただし、この3つを別々の合格ラインとして覚えても判断はできません。3つは互いに関係し合っているからです。
注目すべきは2番目です。残債が大きいほど月々の軽減額は増えますが、事務手数料(借入額の2.2%が代表的な水準)も登録免許税(債権額の0.4%)も残債に比例して増えます。分子と分母が同じように増えるため、残債が大きくなっても回収にかかる年数はほとんど短くなりません。次章の試算では、残債が4倍になっても回収期間は2年半しか変わらないことを示します。
たとえば残債3,000万円・残期間25年の人が、金利1.5%から1.0%へ借り換えるとします。月々の返済額は119,981円から113,062円になり、軽減額は6,919円です。諸費用が88.2万円かかるとすると、回収月数は882,000 ÷ 6,919 = 約127ヶ月、つまり10年7ヶ月です。残期間25年のうち10年7ヶ月を過ぎてはじめて「得」の領域に入り、完済までの純節約額は74.9万円になります。
この計算をせずに「金利が下がるから得」と判断すると、回収前に完済したり売却したりして、諸費用だけを払って終わることになります。判断の順序は、金利の比較ではなく回収月数の計算が先です。

結論から示します。金利差0.3%では、残りの返済期間が20年以上ないと諸費用を回収できません。一方、金利差が1.0%あれば残期間10年でも5年台で回収できます。以下はすべて【当サイト独自試算】です。
元利均等返済・ボーナス返済なし・借り換え後の繰り上げ返済なしとし、借り換え後の金利は変わらないものとして計算しています。諸費用は事務手数料が借入額の2.2%(定率型)、抵当権設定の登録免許税が債権額の0.4%、抵当権抹消2,000円、司法書士報酬8万円、印紙税2万円(書面契約)の合計です。残債3,000万円なら88.2万円になります。実際の金額は金融機関や登記の内容によって変わるため、目安としてご覧ください。
残りの返済期間 | 金利差0.3% | 金利差0.5% | 金利差1.0% |
|---|---|---|---|
10年 | 18年9ヶ月(回収できない) | 11年2ヶ月(回収できない) | 5年7ヶ月 |
15年 | 18年5ヶ月(回収できない) | 11年0ヶ月 | 5年5ヶ月 |
20年 | 18年2ヶ月 | 10年10ヶ月 | 5年4ヶ月 |
25年 | 17年10ヶ月 | 10年7ヶ月 | 5年3ヶ月 |
※【当サイト独自試算】残債3,000万円・諸費用88.2万円・元利均等返済で計算。「回収できない」は、回収し終える前に完済時期が来ることを示します(データ取得日:2026年8月26日)。

グラフは、借り換え直後にマイナス88.2万円(諸費用)からスタートし、月々の軽減が積み上がって0を上回った時点が損益分岐点であることを示しています。金利差1.0%なら5年3ヶ月、0.5%なら10年7ヶ月、0.3%では17年10ヶ月かかります。
「残高1,000万円以上」という条件は、回収期間の観点からはあまり意味を持ちません。残期間20年・金利差0.5%で残債だけを変えて試算すると、次のようになります。
残債 | 諸費用 | 月々の軽減額 | 回収月数 | 完済までの純節約額 |
|---|---|---|---|---|
1,000万円 | 35.2万円 | 2,265円 | 12年11ヶ月 | 19.2万円 |
2,000万円 | 62.2万円 | 4,530円 | 11年5ヶ月 | 46.5万円 |
3,000万円 | 88.2万円 | 6,795円 | 10年10ヶ月 | 74.9万円 |
4,000万円 | 114.2万円 | 9,060円 | 10年6ヶ月 | 103.3万円 |
※【当サイト独自試算】残期間20年・金利1.5%から1.0%へ借り換えた場合。
残債が1,000万円から4,000万円へ4倍になっても、回収期間は12年11ヶ月から10年6ヶ月へ2年半縮むだけです。残債が効くのは「回収したあとに残る金額(純節約額)」であって、回収スピードではありません。借り換えを急ぐべきかどうかを決めるのは、残債ではなく金利差と残期間です。

完済までに手元に残る金額(諸費用を差し引いた純節約額)で見ると、境界はさらにはっきりします。
条件 | 残期間10年 | 残期間15年 | 残期間20年 | 残期間25年 |
|---|---|---|---|---|
残債2,000万円・金利差0.3% | ▲30.8万円 | ▲14.4万円 | 2.6万円 | 20.2万円 |
残債2,000万円・金利差0.5% | ▲9.7万円 | 17.9万円 | 46.5万円 | 76.2万円 |
残債3,000万円・金利差0.3% | ▲41.1万円 | ▲16.5万円 | 9.1万円 | 35.4万円 |
残債3,000万円・金利差0.5% | ▲9.5万円 | 31.9万円 | 74.9万円 | 119.4万円 |
残債3,000万円・金利差1.0% | 70.5万円 | 154.9万円 | 242.9万円 | 334.6万円 |
※【当サイト独自試算】▲はマイナス(諸費用のほうが大きく、借り換えると損になる)を示します。
金利差0.5%でも残期間10年ならマイナスです。逆に金利差1.0%あれば、残期間10年でも70.5万円のプラスになります。「金利差0.3%以上なら検討の価値がある」という言い方は、残期間が20年以上あるケースにかぎって成り立つ目安だと理解しておきましょう。

借り換えの諸費用は「数十万円」と幅で語られがちですが、借入額が決まれば、諸費用の大半は計算で確定できます。残債3,000万円なら88.2万円前後が目安です。内訳を1つずつ確認します。
項目 | 1,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 | 5,000万円 |
|---|---|---|---|---|---|
事務手数料(定率2.2%) | 22.0万円 | 44.0万円 | 66.0万円 | 88.0万円 | 110.0万円 |
抵当権設定の登録免許税(0.4%) | 4.0万円 | 8.0万円 | 12.0万円 | 16.0万円 | 20.0万円 |
抵当権抹消の登録免許税 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 |
司法書士報酬(設定・抹消) | 8.0万円 | 8.0万円 | 8.0万円 | 8.0万円 | 8.0万円 |
印紙税(書面契約の場合) | 1.0万円 | 2.0万円 | 2.0万円 | 2.0万円 | 2.0万円 |
合計 | 35.2万円 | 62.2万円 | 88.2万円 | 114.2万円 | 140.2万円 |
※【当サイト独自試算】司法書士報酬は目安。全額繰上返済手数料は0円(インターネット手続き)として計算。登録免許税は国税庁「登録免許税の税額表」、印紙税は国税庁「印紙税額の一覧表」に基づく(データ取得日:2026年8月26日)。
ここで見落とされやすいのが抵当権設定登記の税率です。マイホームを買ったときは軽減税率が使えて債権額の0.1%でしたが、これは租税特別措置法第75条にもとづく措置で、「住宅用家屋の新築・取得のための資金の貸付け」かつ「取得後1年以内の登記」であることが条件です。借り換えは新築・取得のための資金ではないため、原則として軽減は使えず本則の0.4%になります(参考:法務局「登録免許税に関するお知らせ」)。3,000万円なら3万円ではなく12万円です。購入時の感覚のまま見積もると9万円ずれます。
諸費用の7割以上を占めるのが事務手数料です。ここには2つのタイプがあります。定率型は借入額×2.2%(3,000万円で66万円)で金利が低め、定額型は5万円台と安い代わりに金利がやや高め(0.05〜0.1%程度の上乗せが一般的)に設定されています。残期間25年で、定額型の金利が0.1%高いと仮定して総額を比べました。
残債 | 定率型(金利1.0%)の総額 | 定額型(金利1.1%)の総額 | 差 |
|---|---|---|---|
1,000万円 | 1,165.8万円 | 1,162.9万円 | 定額型が2.9万円お得 |
2,000万円 | 2,323.4万円 | 2,312.2万円 | 定額型が11.2万円お得 |
3,000万円 | 3,480.1万円 | 3,460.4万円 | 定額型が19.6万円お得 |
※【当サイト独自試算】残期間25年・元利均等返済・諸費用込みの総支払額で比較。定額型は事務手数料5.5万円・金利+0.1%と仮定。
金利の上乗せが0.1%程度にとどまるなら、残債が大きいほど定額型が有利という結果になりました。逆に上乗せが0.2%を超えると定率型が有利に転じるため、「上乗せ幅が何%か」を必ず確認してください。金融機関の比較では表面の金利だけでなく、事務手数料の型までセットで見る必要があります。
費用の話は支出ばかりが注目されますが、戻るお金もあります。保証料を一括前払い(外枠方式)で払っている人は、完済によって残存期間分の保証料が返ってきます(戻し保証料)。保証会社所定の計算方法で算出され、事務手数料11,000円程度を差し引いた金額が返済用口座に入金されるのが一般的です(出典:みずほ銀行 FAQ「繰上返済時の保証料の返戻について」)。金利上乗せ型(内枠方式)で払っている場合は返戻はなく、借り換え後に上乗せ分がなくなるだけです。
もう一つが印紙税です。金銭消費貸借契約書は契約金額1,000万円超5,000万円以下で2万円かかりますが、電子契約なら課税文書に当たらず0円になります。ネット銀行の借り換えは電子契約が主流のため、実務ではここが浮くケースが多くあります。残存期間の長い保証料が20万円戻り、電子契約で印紙税がゼロなら、3,000万円の借り換えでも諸費用は68.2万円まで下がります。諸費用は「言い値」ではなく、条件次第で20万円単位で変わると考えてください。購入時の諸費用との比較は不動産購入の諸費用はいくら?内訳と相場・節約術【2026】で解説しています。

ここまでの試算は「今より低い金利に移る」ことを前提にしていました。しかし借り換えの目的はそれだけではありません。目的が違うと、損得を測る物差しそのものが変わります。自分がどのタイプかを先に決めてください。
今より低い金利のローンへ移り、支払う利息を減らすタイプです。評価軸は前章の回収月数と純節約額で、判断はここまでの早見表で完結します。2026年時点で対象になりやすいのは、数年前に固定期間選択型や高めの金利で借りた人、あるいは同じ変動でも優遇幅が小さく適用金利が1.5%を超えている人です。逆に、超低金利期に0.4〜0.6%で借りた人は、現在の変動金利水準(メガバンク平均で年1.082%・2026年8月)のほうが高くなるため、このタイプの借り換えは成立しません。
変動から全期間固定へ移り、将来の金利上昇を遮断するタイプです。総支払額はほぼ確実に増えます。したがって「得か損か」で評価すると必ず損に見えますが、目的が総額削減ではなくリスク遮断である以上、それは正しい評価ではありません。次章で「いくらの保険料にあたるか」という物差しに置き換えます。
金利以外の条件を変えるための借り換えです。返済額の見直しルール(5年ルール・125%ルール)がない銀行へ移る、団体信用生命保険の保障内容を手厚くする、返済期間を組み直すといった目的が該当します。返済額の見直しルールについては変動金利の5年ルール・125%ルールとは|未払利息リスクと対策を、団信の種類は住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは?種類・違い・選び方を解説をご覧ください。近年は残価設定型住宅ローンのように、借換専用の新しい商品も登場しています。
意外と知られていませんが、借り換えの前に、いま借りている銀行へ金利プランの変更(条件変更)を相談するという選択肢があります。同じ銀行での借り換えはできませんが、金利の見直しには応じてもらえる場合があります。手続きは審査を伴わないケースもあり、費用も借り換えより大幅に少なく済みます。交渉材料として有効なのが、他行の借り換え仮審査に通っている状態です。
ただし対応は金融機関によって大きく異なり、断られることも珍しくありません。返済に遅延がある場合はまず応じてもらえないと考えたほうがよいでしょう。また、フラット35は融資条件を個別に変更できない仕組みのため、返済中に金利を引き下げる交渉そのものができません。費用ゼロで試せる可能性がある一手として、借り換えの見積もりと並行して相談してみる価値があります。

変動から固定への借り換えは、損得ではなく「上振れリスクを止めるためにいくら払うか」という判断です。その金額を試算すると、残債3,000万円・残期間25年で約1,101万円になりました。この数字の意味を説明します。
2026年8月時点の水準は、変動金利がメガバンク平均で年1.082%、全期間固定のフラット35が年3.290%(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・団信込み)で、その差は2.21%と過去最大級に開いています(出典:住宅金融支援機構【フラット35】最新の金利情報・データ取得日:2026年8月26日)。この状況で固定へ移れば、月々の返済額は確実に増えます。総額で比べれば「損」にしかならないため、回収月数という物差しは使えません。
そこで、固定に移した場合の総支払額(諸費用込み)から、変動のまま今の金利が続いた場合の総支払額を引いた差額を実質保険料と呼ぶことにします。あわせて、変動が平均で何%まで上がると固定のほうが有利に逆転するか(分岐金利)も計算しました。
残債・残期間 | 月々返済額(変動1.0%→固定3.29%) | 実質保険料 | 分岐金利 |
|---|---|---|---|
2,000万円・残15年 | 119,699円→140,923円(+21,224円) | 444.2万円 | 3.642% |
2,000万円・残20年 | 91,979円→113,845円(+21,867円) | 587.0万円 | 3.543% |
3,000万円・残20年 | 137,968円→170,768円(+32,800円) | 875.4万円 | 3.530% |
3,000万円・残25年 | 113,062円→146,830円(+33,768円) | 1,101.2万円 | 3.474% |
4,000万円・残30年 | 128,656円→174,962円(+46,306円) | 1,781.2万円 | 3.433% |
※【当サイト独自試算】変動を年1.0%・固定を年3.29%とし、諸費用(定率型)を含めて計算。変動の金利が今後変わらないと仮定した場合の比較であり、将来の金利を予測するものではありません(データ取得日:2026年8月26日)。
残債3,000万円・残期間25年のケースでは、分岐金利は3.474%です。これは今後25年の変動金利が平均して3.47%を超えるなら、いま固定へ移ったほうが結果的に安く済むことを意味します。現在の変動金利は1.082%ですから、平均で2.4ポイント近い上昇が続く必要があります。その確率をどう見るかは人それぞれで、正解はありません。
判断の目安になるのは、金額よりも家計の耐久力です。住宅金融支援機構の調査では、金利リスクについて「理解しているか少し不安・よく理解していない・全く理解していない」と答えた人が合計52.0%にのぼります(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月調査)」)。金利が2%上がったときの返済額を試算して、それが家計に収まらないなら、保険料を払ってでも返済額を確定させる意味があります。逆に、増加分を吸収できる余力があるなら、差額を貯蓄して備えるほうが合理的な場合もあります。教育費のピークと重なる時期が残期間に含まれるかどうかも、重要な判断材料です。金利タイプそのものの選び方は変動金利vs固定金利の総返済額比較をご覧ください。

手元に100万円あるとき、借り換えの諸費用に充てるのか、繰り上げ返済に回すのか、手元に残すのか。同じ前提で3案を並べると判断しやすくなります。残債2,500万円・残期間20年・現在の金利1.5%のケースで試算しました。
選択肢 | 完済までの総支払額 | 月々返済額 | 手元資金 |
|---|---|---|---|
そのまま継続 | 2,895.3万円 | 120,636円 | 100万円が残る |
借り換え(1.0%へ・諸費用75.2万円) | 2,834.6万円 | 114,974円 | 0円 |
繰り上げ返済(100万円・期間短縮) | 2,862.6万円 | 120,636円 | 0円 |
※【当サイト独自試算】元利均等返済・ボーナス返済なし。繰り上げ返済は期間短縮型で11ヶ月の短縮効果。
この条件では借り換えが最も総額を抑えられました(そのまま継続との差は60.7万円)。ただし金利差が0.3%程度に縮むと、諸費用を回収しきれず繰り上げ返済のほうが有利になります。目安として、金利差が0.5%以上あって残期間が15年以上なら借り換え、それ未満なら繰り上げ返済と考えると整理しやすいでしょう。繰り上げ返済の効果的な使い方(期間短縮型と返済額軽減型の違いや実行時期)は住宅ローンの繰り上げ返済で得する条件|期間短縮vs返済額軽減の比較で解説しています。
3案のうち「そのまま継続」だけが100万円を手元に残せる点は軽視できません。借り換えも繰り上げ返済も、手元資金を将来の利息軽減に変換する行為です。教育費や修繕、収入減に備える生活防衛資金まで投入してしまうと、いざというときに高い金利のカードローンに頼ることになりかねません。順序としては、借り換えで月々の負担を下げ、その軽減分を積み立てて余力ができてから繰り上げ返済に回すのが無理のない進め方です。なお借り換えの際に返済期間を延ばすと月々は下がりますが総額は増えます。期間の考え方は住宅ローンは何年で組む?返済期間の決め方と総返済額比較をご覧ください。

金利と諸費用の計算が合っていても、次の3点を確認しないと想定外の損失が生まれます。とくに住宅ローン控除は、借り換えの仕方によって控除そのものが受けられなくなることがあります。
借り換え後の新しいローンは、それ自体が住宅の取得資金ではないため、原則として控除の対象になりません。ただし国税庁は、次の2つを満たす場合に引き続き控除を受けられるとしています(出典:国税庁 タックスアンサー No.1233「住宅ローン等の借換えをしたとき」)。
ここから3つの注意点が導かれます。第一に、借り換え後の返済期間を10年未満にすると控除は打ち切られます。返済期間を短くして総額を減らそうとした結果、控除を失って手取りが減るケースがあるため、控除期間が残っている人は期間設定に注意してください。第二に、控除期間は借り換えによって延長されません。国税庁も「住宅ローン等の借換えによって延長されることはありません」と明記しています。第三に、リフォーム費用などを上乗せして当初の残高より多く借りた場合、上乗せ分は控除の対象外になります。この場合の控除対象額は「新しいローンの年末残高 × 当初ローンの残高 ÷ 新しいローンの借入額」で按分計算します。控除の限度額や申請手続きは住宅ローン控除2026|いくら戻る?限度額早見表と申請手順で解説しています。
借り換えは新規の借入であるため、団体信用生命保険にあらためて加入します。健康状態の告知が必要で、加入できなければ借り換え自体が成立しません。当初の借入時から数年が経ち、持病や治療歴ができている人ほど注意が必要です。引受基準緩和型(ワイド団信)を扱う金融機関もありますが、金利が0.2〜0.3%程度上乗せされるのが一般的で、その分だけ回収月数は延びます。逆に、がん保障などを手厚くしたい場合は借り換えが保障を見直す機会にもなります。
保証料を一括前払いしている人は戻し保証料を受け取れます。金融機関から自動的に案内されるとは限らないため、完済の手続き時に確認しましょう。また借り換えでは返済期間を組み直せますが、期間を延ばせば月々は下がる一方で総額は増えます。完済時の年齢が金融機関の上限(80歳未満など)を超える設定はできない点にも注意が必要です。

試算上は得になるのに、審査で断られて実行できないケースは少なくありません。借り換えは新規の借入と同じ審査を受けるため、当初の借入時より条件が悪化していると通らないことがあります。代表的な8類型を挙げます。
勤続1年未満は不利に働くことが多く、金融機関によっては申込条件を満たしません。転職の予定があるなら、その前に借り換えを済ませるほうが確実です。
直近の収入で審査されるため、休業中は希望額が通りにくくなります。復職後、収入が安定してからの申し込みが現実的です。
直近の返済履歴に遅れがあると、借り換えも金利引き下げ交渉も難しくなります。まず遅延のない状態を一定期間続けることが先決です。
自動車ローン・カードローン・リボ払いなどは返済負担率の計算に含まれます。借り換えの前に整理しておくと審査が通りやすくなります。年収に対する借入可能額の考え方は住宅ローンはいくら借りられる?年収別の借入額と返せる額をご覧ください。
前章のとおり、団信の加入は借り換えの前提条件です。持病がある場合は、申し込み前に引受基準緩和型の取り扱いがあるかを確認しておきます。
物件の担保評価より残債が多いと、希望額まで融資が出ないことがあります。価格が下がりやすい立地や、短期間で残債が減っていないケースで起こりやすい状況です。
再建築不可、接道義務を満たさない土地、旧耐震基準の建物などは、金融機関によって取り扱いが分かれます。詳しくは接道義務・セットバック・再建築不可とは|土地の道路ルールと茨城M5.5で震度5弱|旧耐震マンションの3大リスクで解説しています。
連帯債務・ペアローンを単独名義にまとめる、連帯保証人を外すといった目的の場合は、金利の損得とは別の審査になります。離婚で家を売る完全ガイド|財産分与・ローン残債・税金、返済が困難な場合は任意売却とは?住宅ローン残債がある家の売り方と手順・注意点2026もあわせてご確認ください。
断られた場合の次の一手は3つです。いまの銀行に金利プランの変更を相談する、他の借入を整理して返済負担率を下げる、収入や勤続年数が安定するまで時期を待つ。1行の審査結果がすべてではないため、複数の金融機関に当たることも有効です。

借り換えの手続きは、申し込みから実行まで1〜2ヶ月が目安です。書類の準備に時間がかかるため、金利の動きを見てから慌てて動くと間に合わないことがあります。
時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
1〜2週目 | 返済予定表で残債・残期間・金利を確認し、複数行で試算・仮審査を申し込む | 仮審査は複数行に同時に出してよい |
3〜4週目 | 本審査の申し込み(必要書類の提出・団信の告知) | 書類の取得に1〜2週間かかるものがある |
5〜6週目 | 契約手続き、現在の金融機関へ全額繰上返済を申し出る | 完済日と実行日を合わせる必要がある |
7〜8週目 | 融資実行・旧ローン完済・抵当権の抹消と設定登記 | 司法書士が同日に手続きする |
書類 | 取得先 | 費用の目安 |
|---|---|---|
本人確認書類・住民票 | 市区町村(コンビニ交付も可) | 200〜400円 |
源泉徴収票・確定申告書の控え | 勤務先・税務署 | 無料 |
住民税決定通知書または課税証明書 | 勤務先・市区町村 | 300円程度 |
返済予定表・残高証明書 | 現在の金融機関 | 無料〜数百円 |
登記事項証明書 | 法務局(オンライン請求可) | 480〜600円 |
売買契約書・重要事項説明書の写し | 購入時の書類 | 無料(紛失時は再取得が必要) |
第一に、融資実行日と旧ローンの引落日が重なるケースです。二重に引き落とされて資金が不足しないよう、両方の金融機関に日程を伝えておきます。第二に、司法書士との日程調整です。登記は融資実行と同日に行うため、平日日中の時間を確保する必要があります。第三に、全額繰上返済手数料の確認漏れです。窓口手続きでは数万円かかる金融機関もあり、試算に入れ忘れると回収月数がずれます。手続き全体は郵送とオンラインで完結できる金融機関も増えていますが、書類の不備があるとそのたびに1週間単位で遅れます。
条件によって大きく変わります。当サイトの試算では、残債3,000万円・残期間20年で金利差1.0%なら完済までに242.9万円のプラス、金利差0.3%では9.1万円のプラスにとどまりました。同じ金利差でも残期間が10年なら41.1万円のマイナスになります。まず「諸費用 ÷ 月々の軽減額」で回収月数を計算してください。
残りの返済期間が20年以上あるなら意味がありますが、それより短いと諸費用を回収できません。残債3,000万円・残期間15年・金利差0.3%では16.5万円のマイナスという試算結果でした。金利差0.3%は「検討の入口」であって、それだけで得と判断できる水準ではありません。
残債3,000万円で88.2万円前後が目安です(事務手数料66万円、抵当権設定の登録免許税12万円、司法書士報酬8万円、印紙税2万円、抵当権抹消2,000円)。電子契約なら印紙税は0円、保証料を一括前払いしていれば戻し保証料が返ってくるため、実質の負担はさらに下がります。
年数そのものより、残りの返済期間が何年あるかで判断します。目安は残期間15年以上です。残期間10年を切ると、金利差が1.0%以上ないと回収が難しくなります。
総支払額では増えるため、損得ではなく保険として判断します。残債3,000万円・残期間25年なら実質保険料は約1,101万円、分岐金利は3.474%でした。金利が2%上がったときの返済額に家計が耐えられないと感じるなら検討の価値があります。判断材料は変動金利の5年ルール・125%ルールとは|未払利息リスクと対策もあわせてご覧ください。
新しいローンが当初ローンの返済のためのものであることが明らかで、返済期間が10年以上あるなど要件を満たせば継続します。ただし控除期間は延長されず、返済期間を10年未満にすると打ち切られます。当初残高を超えて借りた部分は控除の対象外です(国税庁 タックスアンサー No.1233)。
あります。転職直後、産休・育休中、返済の遅延、他の借入の増加、団信に加入できない健康状態、担保評価不足などが主な理由です。1行で断られても他行では通ることがあるため、複数の金融機関に相談してみてください。
同一銀行での借り換えはできませんが、金利プランの変更(条件変更)に応じてもらえる場合があります。他行の仮審査に通っていることが交渉材料になります。ただし対応は金融機関によって異なり、フラット35は個別の条件変更ができない仕組みのため金利引き下げの交渉はできません。
申し込みから融資実行まで1〜2ヶ月が目安です。書類の取得と本審査に時間がかかるため、余裕をもったスケジュールで進めてください。
金利差が0.5%以上あって残期間が15年以上あるなら借り換え、それ未満なら繰り上げ返済が有利になりやすい傾向です。借り換えで月々の負担を下げ、その軽減分を積み立ててから繰り上げ返済に回す順序が無理のない進め方です。詳しくは住宅ローンの繰り上げ返済で得する条件をご覧ください。
2026年は変動金利が上がり始め、固定金利との差が過去最大級に開いた局面です。だからこそ「借り換えれば得」という一般論ではなく、自分の残債・残期間・金利差を当てはめて回収月数を出すことが欠かせません。まずは返済予定表を開いて残債と残期間を確認し、複数の金融機関で試算してみてください。個別の判断は金融機関やファイナンシャルプランナー、税務の取り扱いは税務署や税理士にご確認ください。住宅ローン全体の組み立ては住宅ローンの選び方【2026年版】、金利タイプの選び方は変動金利vs固定金利の総返済額比較で解説しています。
最終更新日:2026-08-26