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この記事でわかること
2026年1〜5月のハウスメーカー(木造住宅)倒産件数は98件(前年同期比81.4%増)です。過去10年間で最多ペースとなったこの倒産ラッシュは、建設コスト高騰・人件費上昇・金利上昇・販売不振という4重の経営圧迫が重なった結果です。新築一戸建てや注文住宅を検討している方にとって、「建設会社が工事途中で倒産する」リスクは今や決して他人事ではありません。本記事では倒産急増の構造的原因と、購入者が今すぐ取れる具体的な防衛策を解説します。

2026年の新築住宅市場では、ハウスメーカー・工務店の倒産が急増しており、マイホームを建てた(または建築中の)人々に深刻な被害が生じています。まず最新データと実際に起きた事例を確認しましょう。
民間の信用調査会社・帝国データバンクの調査によると、2026年1〜5月の木造住宅ハウスメーカー(注文住宅を主に手掛ける中小工務店含む)の倒産件数は98件で、前年同期(54件)と比べて81.4%増となっています。過去10年間で最多のペースであり、この調子で推移すれば通年で200件を超える可能性があります(出典:ダイヤモンド・オンライン「個人破産が13年ぶり高水準、ハウスメーカー倒産も急増…不動産市況の『不気味な兆候』」2026年6月13日)。
倒産原因を分析すると、販売不振70件(71.4%)、累積赤字による経営悪化18件が大半を占めます。受注が取れているが費用をカバーできない「コスト超過型」と、そもそも受注が減少している「需要減少型」の二パターンが複合しているのが特徴です。
また2025年上半期の建設業全体の倒産件数も986件(過去10年最多)に達しており、住宅業界全体が構造的な転換期を迎えていることが数字から読み取れます。Google Trendsのデータでは「ハウスメーカー倒産」の検索需要が前年比+88.2%増(直近相対スケール平均8.0、相対スケール0〜100中)と急騰しており、消費者の不安が高まっていることも確認できます。

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統計の数字の裏には、住む家を失い、ローンだけが残った人々の現実があります。不動産取引の現場で数多く見られるケースを、公開されている報道をもとに紹介します。
新潟県のある男性は、長岡市内に念願のマイホームを建築するため、ローコスト注文住宅のメーカーと契約し着手金などおよそ2000万円を支払いました。しかし着工直前の地盤調査でストップした後、会社との連絡が取れなくなり、メーカーの自己破産を報道ではじめて知ることになりました。土地はさら地のまま、住宅ローンの返済だけが始まっています。「本当に裏切られたとしか言いようがない」という言葉が、被害者の心情を端的に表しています。
兵庫県の別のケースでは、半世紀以上の歴史を持つ姫路市の住宅メーカーと2150万円のローンを組んで契約。地縄張りまで実施した1ヶ月後に「4月28日に倒産いたしました」という連絡が届きました。購入経験者からよく聞かれるのが「土地はあるけれど新たに別の業者に工事を依頼する資金的余裕がない」という言葉です。現在の家賃とローン返済が重なる「二重払い」で生活が成り立たなくなるケースも後を絶ちません。
共通するパターンは3つです。1.「担当者と連絡が取れなくなり、倒産を報道で知る」 2.「倒産後の説明会に社長が初めて姿を見せ、謝罪するのみ」 3.「着手金・工事代金の返還はほぼ期待できない」。こうした事態に陥らないための防衛策が、本記事の核心です。
ハウスメーカー倒産の急増は、単体の現象ではなく、より広い経済的苦境の一部です。2025年の個人破産申請件数は83,100件で、2022年から3年連続増加し、2012年(リーマンショック後)以来13年ぶりの高水準となっています。
背景には長期金利の上昇があります。日本の長期金利(10年国債利回り)は2026年に入り約29年ぶりの2.8%台まで上昇。住宅ローン・事業資金の借入コストが増加する一方、物価高が続き実質賃金が目減りしています。消費者側の「買えない」とメーカー側の「作れない(コスト増)」が同時進行している状態です。
Google Trendsでは「個人破産」の検索需要が前年比+39.7%増(直近平均スケール80.0・ピーク2026年5月)と急伸しており、経済的苦境に追い込まれている人が増加していることが分かります(注:値は相対スケールであり絶対的な検索数ではありません)。ハウスメーカーの倒産急増は、業界固有の問題ではなく、金利上昇・物価高という経済構造の変化が不動産業界に現れた「危険信号」です。

倒産急増の背景には、一時的な要因ではなく、建設業界の構造的な問題が複合しています。ここでは4つの主要因を解説します。
木材・鉄鋼・コンクリートなどの建設資材価格は、ロシア・ウクライナ紛争や円安の影響を受けて大幅に上昇し、2026年現在も高止まりが続いています。大手ハウスメーカー(積水ハウス・大和ハウス等)は規模の経済性と価格交渉力を活かしてコストを管理できますが、中小工務店・ローコストメーカーは仕入れ単価が高く、価格転嫁も困難です。
「1棟あたりのコストが100〜200万円規模で膨らんでいるのに、競合との価格競争で値上げに踏み切れない」という状況が全国の中小工務店で発生しています。不動産のプロが注意点として挙げるのは、「見積もりが安すぎる業者は、コスト上昇分を見積もりに反映できていない可能性がある」という点です。受注後にコストオーバーが判明した場合、会社が自転車操業に陥るリスクがあります。
さらに、建設費だけでなく土地代の高止まりも消費者を直撃しています。当サイトが集計した国土交通省の実取引データ(不動産情報ライブラリ)によると、千葉市中央区の宅地(土地)取引の2025年第3四半期の㎡単価中央値は120,000円/㎡(取引35件)となっており、首都圏郊外でも土地価格は依然として高水準を維持しています。土地代+建設費の総額が上昇し続ける中、購入者の予算内に収まらないケースが増加しているため、受注数そのものが減少するという悪循環が生じています(出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ・当サイト独自集計)。
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建設業界では慢性的な人手不足が続いており、建設技能労働者(大工・左官・電気工事士等)の有効求人倍率は6〜7倍台という異常な高水準にあります。つまり「仕事はあるのに人がいない」状態が続いています。
これに拍車をかけたのが、2024年4月から適用が始まった建設業の時間外労働の上限規制(2024年問題)です。職人一人あたりの労働時間が制限されたことで、工期が延長されるケースが増え、現場への人件費総額が増加する事態が生じています。
工期の延長は固定コスト(職人への日当・賃料・管理費)の増大を招きます。特に複数の現場を並行して抱える中小工務店では、一棟での遅延が全体の資金繰りに波及するリスクが高まっています。
日銀の利上げ方針を受けて、住宅ローン金利は2026年に入り大幅に上昇しています。固定10年金利は大手5行平均で+0.27%引き上げられ、フラット35は3.06%(過去最高水準)に達しました。変動金利も0.9〜1.1%台まで上昇しており、以前の超低金利時代と比べると月々の返済額が大きく膨らんでいます。
金利上昇は消費者の「買える上限金額」を直接引き下げます。たとえば4000万円の住宅ローンを30年で組む場合、変動0.5%(2023年水準)では月々返済額が約11.7万円だったのに対し、変動1.1%(2026年水準)では約12.9万円と約1.2万円増加します。この差が購入を断念させる要因となり、受注数の減少につながっています。受注が取れないまま固定費だけがかかり続けると、経営体力のない中小工務店は数か月で資金が尽きてしまいます。
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建設会社の倒産による被害は、想像以上に深刻です。新築購入者が直面する代表的な3つのリスクを把握しておきましょう。
最も多くの被害者が直面するのが「ローンと家賃の二重払い」です。注文住宅・新築一戸建ての場合、多くのケースでは建設途中から「つなぎ融資」または「住宅ローン」の実行が始まります。建設会社が倒産しても、借主と金融機関との間のローン契約は有効なままです。
つまり、家が未完成の状態であっても毎月の返済義務は続きます。同時に現在住んでいる賃貸住宅の家賃も支払わなければならず、数十万円単位での「二重負担」が数ヶ月〜1年以上続くケースがあります。ローンと家賃の二重負担が発生するケースが最も多く、倒産を知った時点で早急に弁護士または金融機関へ相談することが必要です。
なお金融機関によっては、建設会社の倒産を理由とした「返済猶予」を相談できる場合があります。ただし自動的に適用されるものではないため、積極的に申し出ることが重要です。
建設会社が倒産後も建物が引き継がれ、別の工務店が完成させるケースもあります。しかしこの場合、追加費用の発生はほぼ避けられません。
別業者が工事を引き継ぐ際には、まず既存の工事状況を調査・確認する費用が発生します。さらに元の業者が安全基準を満たさない手抜き工事をしていた場合、修正・やり直しの費用が上乗せされます。不動産取引の現場では、引継ぎ費用が当初見積もりより500万〜1000万円以上高くなるケースも珍しくありません。また、当初の建設会社との工事請負契約の解除手続きと、新業者との新たな契約締結が必要となり、法的手続きも複雑化します。
注文住宅では一般的に、契約時に着手金(工事費の10〜30%)、上棟時に中間金(工事費の30〜40%)、完成時に残金という形で代金を支払います。倒産が上棟前や工事中に起きた場合、すでに数百万〜数千万円を支払済みであることになります。
破産手続きにおいて、施主は「一般債権者」として位置づけられます。破産財団から弁済を受けられる割合は、債権額の数%〜数十%にとどまることがほとんどです。2000万円支払っても回収できるのは数十万円、というケースは実際に起きています。
こうした損失を防ぐための制度が「住宅完成保証制度」であり、次のセクションで詳しく解説します。

住宅完成保証制度とは、注文住宅の建設中に建設会社が倒産した際に、施主が受ける損失を保証する国土交通省認定の制度です。加入していることで、万が一の倒産時にも家を完成させることができます。
住宅完成保証制度は大きく2つのタイプに分かれます。
どちらも「建設会社が保証機関に加入している」ことが前提です。施主が直接申し込むものではなく、建設会社が加入しているかどうかを契約前に確認することが重要です(出典:SUUMO「住宅完成保証制度とは」)。
住宅完成保証制度を運営する主な保証機関は以下の通りです。
保証料の目安は住宅価格の0.3〜0.5%程度です。たとえば3000万円の建設費なら保証料は9万〜15万円となります。これは倒産リスクを考えると非常に割安な「保険」と言えます。
住宅完成保証制度に加入できること自体が、その建設会社の経営安定性の証明になります。保証機関による審査を通過しなければ加入できないためです。加入を拒む・話をはぐらかす業者は、財務状況に問題がある可能性があります。
住宅完成保証制度は万能ではありません。以下の点に注意が必要です。

倒産リスクを避けるためには、建設会社を選ぶ段階での「事前調査」が最重要です。実務上、多くのケースで有効な5つのチェックポイントを解説します。
個人でも有料のビジネスレポートを申し込むことで、建設会社の財務状況を確認できます。帝国データバンクや東京商工リサーチのウェブサイトでは、1社あたり数千円〜1万円前後で企業の信用調査レポートを取得できます(東京商工リサーチ)。
レポートで注目すべき指標は、自己資本比率(20%以上が目安)と流動比率(100%以上が安全圏)です。自己資本比率が低い(借入依存が高い)会社や、流動負債が流動資産を大きく上回っている会社は資金繰りが厳しい可能性があります。
「価格が安いから選んだ」だけで契約するのではなく、数千円の調査費用をかけてでも財務チェックを行うことが、数千万円規模の損失を防ぐ「最も費用対効果の高い対策」です。
前のセクションで解説した住宅完成保証制度への加入状況を、契約前に必ず書面で確認してください。口頭で「加入しています」と言うだけではなく、保証機関から発行された加入証明書(または登録番号)の提示を求めるのが確実です。
また施工実績の確認も重要です。完成した建物の写真・モデルハウスの見学、そして可能であれば「過去の施主への質問」が最も信頼性の高い確認方法です。口コミサイトの情報は参考程度に留め、実際に建てた人の話を直接聞くことを優先してください。
住宅購入に詳しい専門家の多くが指摘するのが、以下の「危ない業者のサイン」です。契約前に一つでも当てはまる場合は、慎重に検討してください。

万が一、建設中にハウスメーカーが倒産した場合、初動の速さが被害の規模を左右します。以下の3ステップを速やかに実行してください。
まず手元にある書類をすべて確保・コピーしてください。必要な書類は以下の通りです。
これらの書類は、今後の弁護士相談・破産管財人への申告・保証機関への請求すべてに必要です。業者のオフィスに書類を預けていた場合は、破産手続き前に回収するよう努めてください。
建設会社の倒産を知ったら、24時間以内に保証機関または弁護士に連絡することを強くお勧めします。
住宅完成保証制度に加入していた場合、保証機関への連絡が遅れると手続きが複雑になる可能性があります。主な相談窓口は以下の通りです。
倒産後の行動は「スピード」が最重要です。保証機関への連絡が遅れると補填対象外になるリスクがあるため、知った当日に行動を開始してください。
住宅ローンの支払いが困難になった場合、金融機関に対して返済条件の変更(返済猶予・条件変更)を相談できます。これは自動的に適用されるものではなく、施主から積極的に申し出る必要があります。
住宅金融支援機構(フラット35を利用している場合)には「返済条件の変更」制度があり、一定期間の返済猶予や返済期間の延長が認められる場合があります。民間金融機関でも同様の措置を講じているケースがあります。なお猶予期間中も利息は発生するため、できるだけ早期に解決策を見つけることが重要です。
住宅ローンは建設会社ではなく金融機関との契約であるため、建設会社が倒産しても施主のローン返済義務は継続します。家が未完成でもローンの返済は始まります。ただし、金融機関への申し出により、一定期間の返済猶予や条件変更が認められる場合があります。つなぎ融資を利用している場合は融資銀行に速やかに連絡してください。
帝国データバンクや東京商工リサーチのウェブサイトで、有料の企業信用調査レポートを取得できます(1社あたり数千円〜1万円程度)。自己資本比率・流動比率・負債状況などを確認することで、財務健全性をある程度判断できます。また国税庁の「法人番号公表サイト」で法人の登録状況を確認することも基本的な確認手段です。
住宅完成保証制度は施主ではなく建設会社が保証機関に加入するものです。施主がすることは、契約前に建設会社に「住宅完成保証制度に加入しているか」を確認し、加入証明書の提示を求めることです。主な保証機関は住宅保証機構(まもりすまい保険)、JIO(日本住宅保証検査機構)、住宅あんしん保証株式会社などです。
一般的に、資本金・自己資本比率が高く施工実績が豊富な大手ハウスメーカー(積水ハウス・大和ハウス・ヘーベルハウス等)は財務基盤が安定しており、倒産リスクは低いとされています。一方、ローコストメーカーや中小工務店の多くは財務基盤が薄く、原材料費・人件費の上昇に対応できない場合があります。ただし中小工務店でも財務的に安定した優良企業は多く、一概に「ローコスト=危険」とは言えません。個別の財務確認が重要です。
まず法テラスの無料法律相談(電話番号:0570-078374)か、地域の弁護士会の相談窓口に連絡してください。破産手続きが開始されている場合は、裁判所に選任された「破産管財人」が窓口になります。破産管財人の連絡先は、官報(倒産公告)または裁判所の窓口で確認できます。住宅完成保証に加入していた場合は、保証機関が代替業者の手配や補償手続きの案内を行います。
2026年のハウスメーカー倒産急増は、建設コスト高騰・人件費上昇・金利上昇・需要縮小という構造的な問題が重なった結果です。この記事の要点をまとめます。
注文住宅・新築一戸建ての購入は人生最大の買い物の一つです。価格の安さだけで業者を選ばず、本記事で紹介した5つのチェックポイントと住宅完成保証制度の確認を必ず実施してください。不明な点は不動産の専門家や弁護士への相談をお勧めします。