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2026年7月、長期固定住宅ローン「フラット35」の金利が3.14%となり、団信込みの制度になった2017年10月以降で初めて3%を超えました。金利が上がった今こそ、変動か固定かを「自分の家計」を軸に決め直すことが最も重要です。
この記事でわかること
2026年6月、日本銀行は政策金利を1.00%へと引き上げ、約31年ぶりの水準となりました。これを受けて住宅ローンの固定金利は上昇し、フラット35はついに3%台に乗せています。「もっと早く借りればよかった」「変動のままで大丈夫か」——金利のニュースに不安を感じる人が増えていますが、大切なのはニュースに一喜一憂することではなく、事実と数字をもとに冷静に判断軸を持つことです。この記事では、2026年7月時点の最新の金利状況と、立場別にとるべき考え方を整理します。なお、住宅ローンの金利上昇は不動産市場全体にも影響します。あわせて日銀利上げが住宅ローンと不動産市場に与える影響|2026年現状と見通しもご覧ください。

2026年7月に起きた最大の変化は、フラット35(買取型)の金利が3.14%まで上昇したことです。これは長期の固定金利で家を買う人にとって、返済総額に直結する節目の出来事です。まずは「何が起きたのか」を正確に押さえましょう。
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。借入期間の最初から最後まで金利が変わらないため、返済額が完済まで確定するのが最大の特徴です。
2026年7月の金利は3.14%(買取型・返済期間21年以上・融資率9割以下の最も多いケース)。フラット35は2017年10月に団体信用生命保険(団信)を金利に組み込む制度改正を行っており、この団信込みの現行制度になってから、3%を超えたのは2026年7月が初めてです。数年前まで1%台前半だったことを考えると、固定金利の世界がいかに大きく動いたかがわかります(出典:住宅金融支援機構 フラット35金利情報)。
一方で、7月のフラット35は事前の専門家予想(3.16〜3.26%程度)よりやや低い水準に落ち着きました。急上昇が一段落したようにも見えますが、これは「上昇が止まった」というより「上昇ペースが一時的に緩んだ」と捉えるのが実態に近いといえます。
固定金利がここまで上がった背景には、金融政策の大きな転換があります。日本銀行は2026年6月15〜16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げました。政策金利が1%に達するのは1995年以来、約31年ぶりのことです(出典:モゲチェック 2026年7月住宅ローン金利動向)。
ここで押さえておきたいのが、変動金利と固定金利は「見ている金利」が違うという点です。変動金利は日銀の政策金利(短期金利)に連動し、固定金利は10年国債利回りなどの長期金利に連動します。長期金利は日銀の利上げ継続観測や物価上昇を先取りして動くため、2026年に入って上昇し、一時は約29年ぶりに2.8%前後まで上がりました。
不動産取引の現場では、「日銀が利上げした=変動金利だけが上がる」と考える方が多いのですが、実際には長期金利の上昇を通じて固定金利のほうが先に、大きく上がっているのが2026年の特徴です。物価高が続く状況とあわせて、金利のある世界への移行が進んでいます。物価と不動産の関係については物価高で不動産はどうなる?2026年インフレの影響を解説もあわせて参考にしてください。
もう一点、見落とされがちなのが「フラット35の金利は毎月見直される」という点です。フラット35の金利は融資が実行される月の金利が適用されるため、契約時ではなく引き渡し・融資実行のタイミングが重要になります。新築の完成待ちや引き渡し延期が起きると、想定より高い金利で融資が実行されるリスクがあります。近年は建築資材の高騰で工期が延びるケースもあり、金利上昇局面では「いつ融資が実行されるか」まで含めて資金計画を立てておくことが、これまで以上に大切になっています。

判断の出発点は、今の金利水準を正しく知ることです。2026年7月時点で、変動金利と固定金利がそれぞれどのあたりにあるのかを整理します。
2026年7月時点のおおよその金利水準は次のとおりです。
数年前は変動0.4%前後・フラット35が1%台という時代もありました。当時と比べると、変動・固定ともに水準が切り上がっているのが今の局面です。特に固定金利の上がり方が大きく、「固定は安心だが金利が高い」という従来のイメージがより鮮明になっています。
固定金利は、将来の金利上昇の見通しをあらかじめ織り込んで決まります。市場が「今後も日銀は利上げを続けるだろう」と予想すると、その分だけ長期金利が先に上がり、固定金利に反映されます。
つまり固定金利は「これから起きること」を先取りして動くため、変動金利より一足先に上昇します。住宅ローン相談の現場でよく聞かれるのが「固定にしたいけれど、もう少し金利が下がってから決めたい」という声ですが、固定金利の性質を考えると、決断を先延ばしにするほど不利になりやすい点には注意が必要です。
固定が上がったとはいえ、変動0.9%台とフラット35の3.14%を比べると、その差は2%以上あります。この金利差は依然として過去最大級の水準です。
この「差」をどう見るかが判断の分かれ目です。差が大きいということは、変動を選べば当面の返済負担を大きく抑えられる一方、その差が縮まる(=変動が上がる)リスクを自分で引き受けることを意味します。逆に固定を選べば、当面は割高でも「返済額が完済まで動かない」という安心を買うことになります。
なお、変動と固定の「中間」にあたる選択肢として、10年固定などの当初固定型もあります。当初10年間は金利が固定され、その後に変動または再度の固定を選ぶタイプで、「当面の金利は確定させたいが、全期間固定ほど高い金利は払いたくない」というニーズに応えます。ただし、固定期間が終わったあとに金利が大きく上がっていれば、その時点で返済額が跳ね上がるリスクがあります。当初固定型を選ぶ場合は、固定期間終了後の返済額もあわせて試算しておくことが欠かせません。次章では、この金利差が返済額にどう効いてくるかを具体的な数字で見ていきます。

金利上昇の影響は、パーセンテージだけ見てもピンときません。実際に借入額ごとに返済額がどう変わるかを試算しました。
下表は、返済期間35年・元利均等返済で、金利が0.9%(現在の変動水準)・1.9%(変動が1%上昇した想定)・3.14%(2026年7月のフラット35)の場合の月々返済額と総返済額を試算したものです。
借入額 | 金利0.9%(現在の変動) | 金利1.9%(+1%上昇時) | 金利3.14%(フラット35) |
|---|---|---|---|
3,000万円 | 月8.3万円/総返済約3,498万円 | 月9.8万円/総返済約4,110万円 | 月11.8万円/総返済約4,948万円 |
4,000万円 | 月11.1万円/総返済約4,665万円 | 月13.0万円/総返済約5,479万円 | 月15.7万円/総返済約6,597万円 |
5,000万円 | 月13.9万円/総返済約5,831万円 | 月16.3万円/総返済約6,849万円 | 月19.6万円/総返済約8,247万円 |
※当サイト独自試算(元利均等・35年・ボーナス返済なしで計算)。実際の返済額は借入条件・団信・手数料等により異なります。
ポイントは金利1%の上昇が返済総額に与えるインパクトです。4,000万円を借りた場合、金利が0.9%から1.9%へ1%上がるだけで総返済額は約815万円増えます。5,000万円なら約1,019万円もの差です。月々でみれば数万円でも、35年という時間をかけると大きな金額になることがわかります。
住宅ローンでは、借入初期ほど返済額に占める利息の割合が大きいという特徴があります。元金がまだ多く残っている時期は、同じ金利でも利息の絶対額が大きくなるためです。
不動産取引の現場では、「最初の10年の金利負担が、35年間の利息総額のかなりの部分を占める」と説明されることがあります。つまり借入初期をいかに低い金利で通過するかが、総返済額を大きく左右するということです。この考え方に立てば、金利差が大きい今は「まず低い変動で初期の負担を抑える」という選択にも合理性があります。
なお、返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。本試算で用いた元利均等返済は、毎月の返済額が一定になる代わりに初期は利息の割合が大きく、元金が減りにくいのが特徴です。元金均等返済は毎月の元金返済額が一定で当初の返済額が大きくなる代わりに、利息総額を抑えられます。金利上昇局面で総返済額を少しでも抑えたい場合は、当初の負担に耐えられるなら元金均等返済も選択肢になりますが、取り扱っていない金融機関もあるため事前確認が必要です。
一方で、借入から20〜30年が経つ頃には元金は大きく減っています。たとえば5,000万円を借りても、25年後には元金が1,500万円程度まで減っているケースもあります。その段階で金利が1%上がっても、利息の実額インパクトは初期より小さくなります。加えて長期のインフレが進めば、実質的な返済負担は目減りしていきます。「20年後・30年後の金利が読めないから怖い」という不安に対しては、こうした元金の逓減という視点も判断材料になります。

ここからは立場別に判断軸を整理します。まずは、これから新規で住宅ローンを組む人の考え方です。結論からいえば、変動と固定に万人共通の正解はなく、家計の状態とライフプランで選ぶのが基本です。
変動金利は、当面の返済負担を抑えたい人に向いています。具体的には次のようなタイプです。
変動を選ぶうえで欠かせないのが、「金利が上がったときの備え」を並行して準備しておくことです。金利上昇は景気回復や賃金上昇の裏返しでもありますが、それを当てにするのではなく、上昇分を吸収できる貯蓄や繰り上げ返済の余力を持っておくことが前提になります。備えのない変動は、金利が上がったときに家計を直撃します。
一方、フラット35のような全期間固定は、返済額を完済まで確定させたい人に向いています。次のようなタイプです。
固定金利は変動より当初の負担は重くなりますが、その代わり「返済額が動かない」という安心を得られます。実際、変動金利利用者の約53.5%が「借入当時と比べて金利変動リスクに不安を感じている」という調査結果もあり(出典:SUUMO 住宅ローンの選び方)、精神的な負担の少なさは見過ごせないメリットです。近年は住宅ローンの専門家も、家計に余裕が少ない世帯には固定を勧めるケースが増えています。
金利タイプ以外にも、判断に影響する要素があります。返済期間を長くとれば月々の負担は下がりますが、その分だけ利息総額は増えます。夫婦でペアローンを組む場合は、片方の収入減少リスク(産休・育休・転職など)も見込んでおく必要があります。
どのタイプを選ぶにせよ、繰り上げ返済の余力を家計に残しておくことが金利上昇局面での共通の守りになります。ボーナスをすべて返済に充てるような無理な計画ではなく、手元資金を確保しながら計画的に元金を減らせる設計が理想です。
また、借入額を決める際は「借りられる額」と「無理なく返せる額」を混同しないことが重要です。金融機関の審査で借入可能と判断される金額は、あくまで金利が低い前提で計算されていることが多く、金利が上がれば返済負担率は想定より重くなります。住宅ローン相談の現場でも、「上限まで借りたが、金利上昇と教育費が重なって家計が苦しい」という声は少なくありません。年収に対する返済負担率は手取りベースで20〜25%以内に収めると、金利上昇や収入変動が起きても対応しやすくなります。頭金をどの程度入れるか、諸費用を現金で用意できるかも含めて、余裕のある資金計画を立てましょう。

すでに変動金利で返済中の人にとって、今の金利上昇は「このまま続けるか、固定へ借り換えるか」という悩みに直結します。
判断の第一歩は、金利が上がったときに自分の返済額がどこまで増えるかを試算することです。前章の試算表を自分の借入残高に当てはめ、金利が1〜2%上がった場合の月々返済額をシミュレーションしてみましょう。その金額に耐えられないなら、固定への借り換えを前向きに検討する意味があります。
逆に、増加分を吸収できる家計余力や繰り上げ返済の原資があるなら、金利差の大きい今は変動を続ける合理性も残ります。「増えた返済額に耐えられるか」を基準に、感情ではなく数字で判断することが大切です。ただし固定金利は変動に先行して上がるため、「固定に切り替えたい」と考えるなら、判断を先延ばしにするほど借り換え後の金利も高くなりやすい点は意識しておきましょう。
借り換えは金利差だけで判断すると失敗します。借り換えには次のような諸費用がかかるためです。
これらを合計すると数十万円規模になることも珍しくありません。借り換えで下がる利息の総額が、これらの諸費用を上回って初めて「得」になります。一般的には「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残り返済期間10年以上」が借り換えメリットの出やすい目安とされますが、金利上昇局面では「今より高い固定に借り換えて返済額を確定させる」という守りの借り換えもあり得ます。目的が「総額を減らすこと」なのか「返済額を固定して安心を得ること」なのかを、あらかじめはっきりさせておきましょう。
もう一つ見落としがちなのが、借り換えには「あらためて審査を受ける必要がある」という点です。当初の借入時より収入が下がっていたり、転職直後だったり、健康状態に変化があって団信に加入しづらくなっていたりすると、希望どおりに借り換えできないことがあります。特に団信は借り換えのたびに入り直しになるため、持病がある人は加入条件を事前に確認しておくと安心です。金利差だけを見て「借り換えれば得」と即断せず、審査・団信・諸費用の3点をセットで確認することが、後悔しない借り換えのコツです。

金利は、住宅ローンの返済額だけでなく不動産価格そのものにも影響します。これから購入・売却を考える人が知っておきたいポイントを整理します。
金利が上がると、同じ月々返済額で借りられる金額(借入可能額)は減ります。これは買い手の購買力を下げるため、理論的には不動産価格の下押し要因になります。実際、首都圏の中古マンションでは2026年5月に成約㎡単価が73カ月ぶりに前年同月を下回り、金利上昇が需要側に効き始めた兆しが見えています。とはいえ、都心の高額帯はなお底堅く推移しています。当サイトが集計した国土交通省の実取引データによると、東京都港区の中古マンションの㎡単価中央値は2025年第3四半期の約197万円から第4四半期には約200万円へと約1.7%上昇(取引73件)しており、立地の良い物件は金利上昇局面でも価格を保っていることがうかがえます。
ただし、建築費の高止まりや新築供給の減少は価格を下支えするため、すべての物件が一律に下がるわけではありません。都心・駅近・築浅・管理良好な物件は底堅く、郊外・築古・修繕不安のある物件は価格調整を受けやすいという二極化が進みやすい局面です。市場全体の見通しは2026年後半マンション価格はどうなる?最新データで読むで詳しく解説しています。
購入を考える人は、「価格が下がるのを待つ」戦略にリスクがある点に注意が必要です。仮に物件価格が数%下がっても、その間に金利が上がれば総返済額はむしろ増えることもあります。価格と金利の両方を合わせた「総支払額」で判断することが金利上昇局面の鉄則です。
売却を考える人は、金利上昇で買い手の購買力が下がる前に、需要が底堅いうちに動くという選択肢があります。特に価格調整を受けやすいタイプの物件は、早めに市場の反応を確かめる価値があります。いずれの立場でも、まずは自分の物件・希望エリアの相場を客観的な査定で把握することが第一歩になります。
金利上昇局面では、買い替え(住み替え)を考える人も判断が難しくなります。今の家を売って新しい家を買う場合、売却で得た資金を頭金に充てられる一方、新たに組む住宅ローンは上がった金利が適用されます。売却価格が想定より下がり、かつ新しいローンの金利が上がると、当初の見込みより資金計画が厳しくなることがあります。買い替えを検討する際は、「売却の見込み額」と「新しいローンの返済額」を同時に試算し、両方が悪化しても成り立つかを確認しておくと安心です。焦って動くのではなく、金利と価格の両にらみで慎重に進めることが、金利のある世界での賢い立ち回りといえます。
固定金利の基準となる長期金利(10年国債利回り)が上昇したためです。日銀が2026年6月に政策金利を1.0%へ引き上げ、今後の利上げ継続観測や物価上昇を市場が先取りした結果、長期金利が約29年ぶりの高水準まで上がり、フラット35は2026年7月に3.14%と、2017年の団信込み制度改正以降で初めて3%を超えました。
万人共通の正解はありません。返済負担に余裕があり金利上昇に備えられる人は変動、返済額を完済まで確定させて安心したい人・家計に余裕が少ない人は固定(フラット35)が向いています。将来の収入・支出・ライフイベントを見据えて返済計画を立て、金利が上がっても耐えられるかを基準に判断することが大切です。
正確な予測はできませんが、市場では2026年内にさらなる利上げ(政策金利1.25%程度)の可能性も意識されています。変動金利は政策金利に連動して緩やかに上がる可能性があるため、変動を選ぶ場合は金利が1〜2%上がった場合の返済額を試算し、耐えられる範囲かを確認しておくことが重要です。
金利が上がったときの返済額に耐えられないと感じるなら、返済額を確定させる「守りの借り換え」を検討する価値があります。ただし借り換えには数十万円規模の諸費用がかかるため、下がる利息と諸費用を比較し、目的(総額削減か安心確保か)を明確にしたうえで判断してください。固定は先行して上がるため、迷うなら早めの検討が有利になりやすいです。
金利上昇は買い手の借入可能額を減らすため、理論的には価格の下押し要因です。実際に一部で価格の頭打ち・下落の兆しが出ています。ただし建築費高騰や新築供給減が価格を下支えするため一律には下がらず、立地・築年・管理状態による二極化が進みやすい状況です。購入時は価格と金利を合わせた総支払額で判断しましょう。
住宅ローンの金利タイプに万人共通の正解はありません。大切なのは、金利のニュースに振り回されることではなく、自分の借入額・家計・ライフプランに沿って「金利が上がっても耐えられる返済計画」を組むことです。購入や売却を検討している方は、まず自分の物件や希望エリアの相場を客観的に把握することから始めてみてください。地価ナビの無料査定や地価情報を活用し、金利と価格の両面から後悔のない判断につなげましょう。金利のある世界は当分続く見込みです。だからこそ、他人の意見や一時的なニュースに流されるのではなく、自分の数字で組み立てた返済計画を持つことが、これからの住宅選びで最も強い武器になります。