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中古マンションの価格は、築年数に比例してなだらかに下がるわけではありません。国土交通省の実取引データを集計すると、築15年までの値下がりはゆるやかで、築16年前後で一段下がり、築36年を過ぎると下げ止まります。
この記事でわかること
「築何年まで買っていいのか」「リノベーション済みは割高なのか」——中古マンションを探し始めると必ず突き当たる問いですが、答えは「管理次第です」「物件によります」と説明されて終わることがほとんどです。この記事では、国土交通省の実取引データ29,699件を当サイトで集計し、この2つの問いに数字で答えます。あわせて、管理の良し悪しを印象ではなく4つの数字で判定する方法もまとめました。
なお、申込から引渡しまでの手続きの流れや必要書類は不動産購入の流れ完全ガイド|8ステップと期間・必要書類【2026】で解説しています。この記事は、手続きではなく物件そのものをどう値踏みするかに絞っています。

同じ駅、同じ広さの中古マンションでも、価格が2倍近く違うことがあります。その差は、大きく分けると築年数・管理・改装の有無という3つの要素で説明できます。この3つは性質がまったく違うので、混ぜて考えると判断を誤ります。
まず築年数は、相場の骨格を決めます。後述するように、首都圏では築0〜5年と築41年以上で専有面積あたりの単価が3倍以上違います。これは個別の物件の努力ではどうにもならない、市場全体の値付けの基準です。
次に管理は、同じ築年数の中での上下を決めます。築30年でも、修繕積立金が計画どおり貯まり大規模修繕を実施してきた物件と、積立金が不足したまま工事を先送りしてきた物件では、住んだあとの負担も、売るときの評価もまったく違います。
最後に改装は、内装工事費が価格に上乗せされているかどうかの話です。「リノベーション済み」の物件は、売主(多くは買取再販の不動産会社)が工事費をかけた分を価格に乗せています。その上乗せが妥当かどうかは、同じ条件の未改装物件と比べなければ判断できません。
3つの軸は、確認する資料も場所も違います。物件を見に行く前に、どこで何を確かめるのかを整理しておきましょう。
軸 | 何が決まるか | どこで確認するか |
|---|---|---|
築年数 | 相場の骨格。エリアが同じでも築年数で単価が3倍以上変わる | 物件資料の築年月/登記簿の新築年月日/建築確認済証の日付 |
管理 | 同じ築年数の中での上下。購入後の負担と将来の売りやすさ | 重要事項調査報告書/長期修繕計画/総会議事録/共用部の現地確認 |
改装 | 内装工事費の上乗せ分。築古ほど上乗せ幅が大きい | 物件資料の「改装済み」表示/工事の範囲と実施時期/同条件の未改装物件の価格 |
この記事は、この3つの軸を順番に見ていく構成になっています。マンションと一戸建てで迷っている段階の方はマンションか一戸建てか|実取引データで見る価格・広さの違いと選び方を、新築と中古のどちらにするかを決めかねている方は新築マンションvs中古マンション|2026年の損得を徹底比較を先にご覧ください。

結論から言うと、築15年までの値下がりはゆるやかで、大きく落ちるのは築16年前後です。その後、築16〜25年は横ばいが続き、築26年から再び下がり始め、築36年以降はほとんど下げ止まります。「築5年を過ぎたら下がる」という説明をよく見かけますが、実際の取引データではそうなっていません。
ここで使うのは、当サイトが集計した国土交通省の実取引データです。国土交通省「不動産情報ライブラリ」から2025年第1四半期〜2026年第1四半期の5四半期分を取得し、当サイトで集計しました。
投資用のワンルームや事務所・店舗を含めると住まいとしての相場が見えなくなるため、30㎡未満と住宅以外の用途は除いています。また、平均値は極端に高い取引に引っ張られるため、すべて中央値(金額順に並べたときのちょうど真ん中)で見ています。
築0〜5年の㎡単価を100としたときの指数を右端に置きました。この指数の落ち方が、この記事の出発点になります。
築年数 | ㎡単価の中央値 | 専有面積の中央値 | 成約価格の中央値 | 件数 | 指数 |
|---|---|---|---|---|---|
築0〜5年 | 125.7万円 | 60㎡ | 6,300万円 | 921件 | 100 |
築6〜10年 | 110.0万円 | 60㎡ | 6,000万円 | 1,482件 | 88 |
築11〜15年 | 104.7万円 | 65㎡ | 6,200万円 | 1,573件 | 83 |
築16〜20年 | 83.3万円 | 65㎡ | 4,900万円 | 1,994件 | 66 |
築21〜25年 | 80.0万円 | 70㎡ | 5,000万円 | 2,553件 | 64 |
築26〜30年 | 63.8万円 | 65㎡ | 4,000万円 | 2,587件 | 51 |
築31〜35年 | 46.2万円 | 60㎡ | 2,750万円 | 1,714件 | 37 |
築36〜40年 | 40.0万円 | 60㎡ | 2,500万円 | 1,444件 | 32 |
築41年以上 | 37.8万円 | 55㎡ | 2,100万円 | 4,230件 | 30 |
【当サイト独自集計】出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データ(2025年第1四半期〜2026年第1四半期)を当サイトが集計。対象は東京・神奈川・埼玉・千葉の中古マンション等(用途:住宅、専有面積30㎡以上)18,498件。数値は中央値であり、個別の物件価格を保証するものではありません。データ取得日:2026年8月26日。
首都圏に加えて、東京都・大阪府・愛知県の指数を重ねたものが次のグラフです。地域によって傾きは違いますが、形はよく似ています。

読み取れることは3つあります。
そして築26年から再び下がり始め(64→51→37)、築36年以降はほとんど動かなくなります(37→32→30)。ここが2つ目の踊り場です。
段差ができる理由は、データそのものからは断定できません。ただし、次の要素が重なる時期と一致しています。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、長期修繕計画は「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」で作ることとされています。つまり大規模修繕は十数年に1回のペースで想定されており、築16年前後・築30年前後という段差の位置は、この修繕サイクルと重なります。ただしこれは相関であって、因果を証明したものではありません。
同じ築年数でも、地域によって値の落ち方は大きく異なります。8都府県それぞれの指数を並べたのが次の表です。
築年数 | 東京 | 神奈川 | 埼玉 | 千葉 | 大阪 | 兵庫 | 愛知 | 福岡 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
築0〜5年 | 160.0万円 | 110.0万円 | 80.0万円 | 83.5万円 | 85.7万円 | 83.9万円 | 80.0万円 | 76.9万円 |
築16〜20年 | 115.4万円 | 67.5万円 | 51.4万円 | 44.4万円 | 58.6万円 | 54.7万円 | 44.0万円 | 46.2万円 |
築26〜30年 | 92.3万円 | 54.2万円 | 43.9万円 | 40.0万円 | 41.8万円 | 40.0万円 | 27.1万円 | 38.5万円 |
築41年以上 | 66.1万円 | 27.7万円 | 21.5万円 | 20.0万円 | 25.9万円 | 16.9万円 | 14.7万円 | 21.4万円 |
築41年以上の指数 | 41 | 25 | 27 | 24 | 30 | 20 | 18 | 28 |
【当サイト独自集計】各セルは専有㎡単価の中央値。掲載しているのはいずれもサンプル30件以上の区分です。データ取得日:2026年8月26日。
東京都は築古の値持ちが際立っています。築41年以上でも築0〜5年の41%を保っているのに対し、愛知県は18%、兵庫県は20%まで下がります。同じ「築40年のマンション」でも、東京で買うのと地方都市で買うのとでは、資産としての意味がまったく違うということです。
なお、ここで扱っているのは築年数ごとの水準であり、相場が今どちらに動いているかという話ではありません。直近の値動きについてはマンション価格2026|新築・中古別データとエリアの見極め方、首都圏の局面については首都圏中古マンションはバブル超えから調整へ|2026年の売買判断をご覧ください。
もうひとつ、表Bには見落とされがちな情報が入っています。専有面積の中央値です。
築0〜5年は60㎡、築11〜20年は65㎡に対し、築21〜25年は70㎡と最も広くなっています。㎡単価が指数64まで下がる一方で面積が最大になるため、この帯は「広さあたりの価格」が最も有利になります。実際、成約価格の中央値は築16〜20年が4,900万円、築21〜25年が5,000万円とほぼ同じですが、買えている広さには5㎡の差があります。
ファミリー向けの広さを予算内で確保したい場合、築21〜25年は現実的な選択肢になります。これは、東日本不動産流通機構(レインズ)の2025年の集計で、首都圏の中古マンション成約物件の平均築年数が26.58年と5期連続で上昇していることとも符合します。買い手の中心は、すでに築25年前後まで移っているということです。
ただし、この帯を選ぶなら管理状態の確認が欠かせません。築20年を超えると、同じ築年数でも管理の差が価格にも住み心地にも出てくるからです。その見極め方は後半で詳しく扱います。将来売るときの条件を重視するなら資産価値が落ちない物件の選び方|7つの条件を徹底解説もあわせてご覧ください。
なお、ここで示した価格は現在の市場の傾向であり、将来の価格を予測するものではありません。個別の物件については、必ず現地を確認し、不動産会社や専門家に相談したうえでご判断ください。

「リノベーション済みは割高になりやすい」とよく言われます。ただ、その説明は「工事費が価格に含まれているから」という理屈の話で終わっていることがほとんどです。では実際に何%割高なのか。国土交通省の実取引データには「改装済み」か「未改装」かが記録されているので、比べることができます。
結論は明確でした。築25年までは割高とは言えず、割高になるのは築26年以降です。
築年数 | 改装済みの㎡単価 | 未改装の㎡単価 | 差 | 件数(改装/未改装) |
|---|---|---|---|---|
築0〜5年 | 137.5万円 | 123.3万円 | +11.5% | 63/772 |
築6〜10年 | 103.3万円 | 109.0万円 | −5.2% | 157/1,148 |
築11〜15年 | 112.3万円 | 100.0万円 | +12.3% | 246/1,165 |
築16〜20年 | 83.5万円 | 81.7万円 | +2.3% | 530/1,253 |
築21〜25年 | 85.7万円 | 76.9万円 | +11.4% | 893/1,407 |
築26〜30年 | 72.7万円 | 57.1万円 | +27.3% | 1,154/1,225 |
築31〜35年 | 55.3万円 | 35.0万円 | +58.1% | 826/778 |
築36〜40年 | 47.7万円 | 32.7万円 | +45.7% | 695/651 |
築41年以上 | 48.0万円 | 28.0万円 | +71.4% | 1,963/1,955 |
【当サイト独自集計】首都圏1都3県。改装の有無が記録されていない取引(全体の12.0%)は除いています。データ取得日:2026年8月26日。
築41年以上では、改装済みの㎡単価が未改装の1.7倍になっています。一方、築25年までは+11%前後から−5%までばらつき、はっきりした傾向がありません。築浅の「リノベーション済み」に、まとまった上乗せは発生していないということです。

ここで当然の疑問が出てきます。「改装済み物件は、もともと立地の良いマンションに多いだけではないか」という交絡の問題です。
そこで、東京都内で同じ市区町村・築26年以上という条件に絞り、市区町村ごとに改装済みと未改装を比べ直しました。両方とも10件以上の取引がある37市区町村が対象です。
結果は差の中央値で+31.2%。しかも37市区町村すべてがプラスでした。立地をそろえても、改装済みには明確な上乗せがあります。
上乗せが大きい | 中位 | 上乗せが小さい |
|---|---|---|
町田市 +114.3% | 足立区 +45.7% | 品川区 +19.3% |
【当サイト独自集計】東京都内・築26年以上、改装済みと未改装がそれぞれ10件以上ある37市区町村。データ取得日:2026年8月26日。
傾向としては、郊外ほど上乗せ幅が大きく、都心ほど小さくなっています。工事費の絶対額は場所が変わっても大きくは変わらないため、物件価格が低いエリアほど、同じ工事費が価格に占める割合が高くなるからだと考えられます。
この数字は「リノベーション済みを買うな」という意味ではありません。工事の手間がなく、工事費を住宅ローンに含められる利点があり、入居後すぐに暮らせます。判断のために必要なのは、上乗せ額と、自分で工事した場合の費用を並べて見ることです。手順は4つです。
たとえば築30年・70㎡の物件なら、上乗せ額の目安は「差27.3%×未改装の単価57.1万円×70㎡」で計算でき、およそ1,090万円になります。フルリノベーションの費用感は新築マンションvs中古マンション|2026年の損得を徹底比較で扱っている1,000万〜2,000万円が目安ですから、工事の内容次第でどちらが得かは変わることがわかります。総額での考え方は戸建てを売って団地へ|買う前に見る5点も参考になります。
なお、改装済み物件には価格には表れない注意点もあります。表面がきれいでも、壁や床の内側の状態は見えません。この点は買ってはいけない中古住宅の見分け方|危険サイン12選で詳しく解説しています。この記事で扱ったのは、あくまで価格の差です。

築年数を見るとき、多くの人が気にするのが耐震基準です。ここには、あまり知られていない落とし穴があります。新耐震かどうかは竣工年ではなく建築確認日で決まります。そして、住宅ローン控除が使えるかどうかは、さらに別の日付で判定されます。
物件資料に載っているのは通常「築年月」つまり竣工の時期です。1980年代前半の物件を検討するなら、建築確認済証の日付を不動産会社に確認してもらう必要があります。
ここで実取引データを見ると、興味深いことがわかります。
竣工年 | ㎡単価の中央値 | 成約価格の中央値 | 件数 |
|---|---|---|---|
1980年以前(旧耐震) | 35.0万円 | 1,900万円 | 2,803件 |
1981年(判定が分かれる年) | 36.7万円 | 2,400万円 | 231件 |
1982〜1983年(登記上は新耐震扱い) | 35.7万円 | 2,400万円 | 513件 |
1984〜2000年(新耐震) | 52.3万円 | 3,200万円 | 6,428件 |
2001年以降 | 96.9万円 | 5,500万円 | 8,523件 |
【当サイト独自集計】首都圏1都3県。データ取得日:2026年8月26日。
1982〜1983年に完成した物件の㎡単価は35.7万円で、旧耐震の35.0万円とほとんど変わりません。一方、1984年以降とは46%の差があります。制度上は住宅ローン控除が使える可能性が高い物件群でありながら、市場では旧耐震と同じように値付けされているということです。
これは、買う側から見れば「制度の利点を使えるのに価格は抑えられている」帯ということになります。ただし裏を返せば、自分が売るときにも同じ評価しか得られない可能性が高いということでもあります。住み続けるつもりなら選択肢になり、数年で売る前提なら慎重に考えるべき帯です。
1981年以前の物件を検討する場合、価格の安さだけでは判断できません。次の点を管理組合や不動産会社に確認してください。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、旧耐震基準で建てられたマンションのうち耐震診断を行ったのは31.6%にとどまります。そのうち「耐震性がある」と判断されたのは17.1%で、「耐震性がない」とされたマンションの25.0%は耐震改修を実施する予定がないと回答しています。診断すらされていない物件が多数派だということは、前提として知っておくべきでしょう。
旧耐震マンションのリスクと具体的な確認手順は茨城M5.5で震度5弱|旧耐震マンションの3大リスクと今すぐできる耐震チェックで、建替えという出口については老朽マンション建替えが「4分の3」で可能に!区分所有法改正2ヶ月で何が変わったで解説しています。住宅ローン控除の限度額や申請の手順は住宅ローン控除2026|いくら戻る?限度額早見表と申請手順をご覧ください。

「管理状態を確認しましょう」とはよく言われますが、何をもって良い・悪いと判断するのかまで書かれていることは多くありません。実は、管理の良し悪しは4つの数字で判定できます。積立金の水準・積立残高・滞納・修繕の履歴です。
修繕積立金の月額は、住戸の広さによって違うため、金額そのものを他の物件と比べても意味がありません。月額を専有面積で割った㎡単価にすると、適正かどうかを目安と比べられます。
国土交通省はマンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)で、建物の規模別に目安を示しています。
地上階数/建築延床面積 | 事例の3分の2が収まる幅 | 平均値 |
|---|---|---|
20階未満・5,000㎡未満 | 235〜430円/㎡・月 | 335円/㎡・月 |
20階未満・5,000〜10,000㎡未満 | 170〜320円/㎡・月 | 252円/㎡・月 |
20階未満・10,000〜20,000㎡未満 | 200〜330円/㎡・月 | 271円/㎡・月 |
20階未満・20,000㎡以上 | 190〜325円/㎡・月 | 255円/㎡・月 |
20階以上 | 240〜410円/㎡・月 | 338円/㎡・月 |
出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)。機械式駐車場がある場合は、機種ごとの1台あたり月額修繕工事費(2段昇降式なら6,450円など)×台数÷総専有床面積を加算します。
ここで最も重要な注意点があります。この目安は「長期修繕計画の期間全体を平均した額」であって、今月払っている額と直接比べるものではありません。ガイドラインでも、幅に収まっていないからといって「直ちに不適切であると判断されることになるわけではありません」と明記されています。比べるべきは、長期修繕計画に書かれている計画期間全体の平均額です。
この幅の下限値には、もうひとつ意味があります。マンション長寿命化促進税制では、管理計画の認定を受けたマンションがこの下限値を下回る額から上回る額へ積立金を引き上げたことが、固定資産税の減額を受ける要件のひとつになっています。つまり国が「引き上げるべき水準」として制度に組み込んでいる数値であり、下限を大きく割っている物件は、将来の値上げを覚悟しておくべきということです。
次に見るのは、現時点でいくら貯まっているかです。長期修繕計画には次回の大規模修繕の予定時期と概算費用が書かれているので、その金額に対して残高が足りているかを確認します。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、計画に対して現在の積立額が不足しているマンションが36.6%あり、そのうち不足が20%を超えるものが11.7%を占めています。3件に1件以上が計画割れという状態です。
また、積立方式も確認してください。同調査によれば、均等積立方式が40.5%、段階増額積立方式が47.1%で、段階増額のほうが多数派です。段階増額方式は当初の負担が軽い代わりに、あとから上がっていく前提の設計です。ガイドラインでは、初期額は均等積立とした場合の基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内に収めることが望ましいとされています。段階増額方式なら「いつ、いくらまで上がる計画か」を必ず確認しましょう。
なぜ値上げが起きるのかという背景についてはマンションの管理費・修繕積立金が上がる理由と購入前の確認法とマンション修繕積立金の値上げが止まらない理由と自衛策で解説しています。20階以上のタワーマンションは修繕の考え方自体が異なるため、タワーマンション市場2026|価格・修繕費・空室リスクもあわせてご覧ください。
管理費や修繕積立金の滞納は、管理組合の資金繰りに直接響きます。同じ調査では、管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%で、築年数が古いほどその割合は高くなります。
滞納が多いマンションは、計画どおりの修繕ができなくなるだけでなく、値上げの合意形成も難しくなります。滞納額・滞納している戸数は、次章で扱う重要事項調査報告書で確認できます。
最後に、計画そのものの質を見ます。確認するのは3点です。
あわせて、マンション管理計画認定制度の認定を受けているかも確認できます。認定を受けたマンションは、公表に同意していれば公益財団法人マンション管理センターの管理計画認定マンション閲覧サイトで、マンション名・所在地・認定コードが公開されています。購入を検討している段階でも自分で調べられるので、確認しておくとよいでしょう。制度の中身や税制優遇についてはマンション減税は来年3月まで|管理で差がつくで詳しく解説しています。

前章で挙げた4つの指標は、現地を見ただけではわかりません。数字が載っているのは重要事項調査報告書という書類です。管理会社が作成し、そのマンションの管理費・積立金・滞納・修繕の状況がまとめられています。
ここで実務上の重要な注意点があります。買主が管理会社に直接申し込んで取り寄せることは、基本的にできません。多くの管理会社は、依頼できる人を「売主本人、または売主から売却の依頼を受けた不動産会社」に限定しているためです。
したがって買主は、仲介会社に依頼して、売主側から取得してもらうことになります。「管理に関する資料を見たいので、重要事項調査報告書を取り寄せてもらえますか」と伝えれば通じます。
発行にかかる費用は6,000〜15,000円程度が相場で(管理規約の写しは別途3,000〜5,000円程度)、日数はPDFなら即日、郵送なら翌日から4日程度が目安です。書式は一般社団法人マンション管理業協会の管理に係る重要事項調査報告書作成に関するガイドラインに沿ったものが広く使われています。
もうひとつ確認したいのがその書類の発行日です。売り出しから時間が経っている物件では、以前に取り寄せた古い報告書がそのまま使われていることがあります。内容が現状と合っているか、日付を必ず見てください。
報告書は項目が多いため、購入判断に直結する9か所に絞って確認しましょう。
確認する欄 | 何を見るか |
|---|---|
1. 管理費・修繕積立金の月額 | 専有面積で割って㎡単価に直し、ガイドラインの目安と比べる |
2. 修繕積立金の残高 | 次回の大規模修繕の想定費用に対して足りているか |
3. 滞納の有無と金額 | 組合全体の滞納額と戸数。売主自身の滞納の有無も要確認 |
4. 値上げの予定・決議の状況 | すでに決議されている値上げ、検討中の議案がないか |
5. 大規模修繕の実施履歴と次回予定 | 過去に何回実施したか、次はいつでいくらか |
6. 長期修繕計画の有無と計画期間 | 30年以上あるか、直近の見直し時期はいつか |
7. 管理形態 | 全部委託・一部委託・自主管理のどれか。管理員の勤務形態 |
8. 管理組合の借入の有無 | 借入があれば返済が積立金を圧迫している可能性がある |
9. 駐車場・駐輪場・ペット・楽器などの規約と使用料 | 入居後の生活に直結。空き状況と待機の有無も確認する |
なお、契約直前に宅地建物取引士から説明を受ける重要事項説明(重説)とは別の書類です。重説は法律で定められた契約手続きの一部で、受けられるのは契約の直前。一方、重要事項調査報告書は申込みの前に取り寄せてもらえます。判断材料としての価値は、こちらのほうが高いといえます。契約書類の用語は重要事項説明書・売買契約書の用語ガイドで解説しています。

マンションの内覧は、一戸建てとは見るべき場所が違います。共用部では管理の質を、専有部では工事ができる範囲を確認するのが基本です。
共用部のチェックリストはよく見かけますが、なぜその場所を見るのかまで書かれていることは多くありません。理由がわかっていると、判断の精度が上がります。
時間帯を変えて複数回訪れると、見えるものが変わります。できれば2〜3回、平日と休日、昼と夜を組み合わせて確認しましょう。騒音の見極め方は線路沿い物件は買い?騒音の本音と見極め方、夏の暑さは猛暑40℃時代の家選び|暑い部屋は内見で見抜けるで扱っています。ペット可物件の規約確認はペット可マンション購入の全注意点|共生型との違い・規約確認・資産価値をご覧ください。管理規約で民泊が禁止されているか、建物内に民泊がないかの確かめ方は民泊の規制・禁止はどう変わった?23区の条例とマンションの備えで解説しています。
ここからがマンション特有の話です。どこまでが自分のもので、どこから先は管理組合のものかを知らないと、購入後に「思っていた工事ができない」ということになります。

とくに配管については、床の造りが効いてきます。国土交通省のマンション標準管理規約では、床下の配管はコンクリートスラブの上にあれば専有部分、スラブを貫通して下階の天井裏を通っている部分は共用部分と整理されています。直床の物件では後者にあたることがあり、自分の判断だけでは更新できません。なお、専有部分と共用部分の境界はマンションごとの規約によって異なる場合があるため、必ず当該物件の管理規約で確認してください。
建物全体の状態を専門家に見てもらう方法もあります。ただしマンションの場合、調査の対象は主に専有部分で、共用部分や躯体は範囲外になるのが一般的です。制度の内容と費用はインスペクション(建物状況調査)とは?費用・流れ・注意点を完全解説をご覧ください。

ここまで見てきた管理の状態は、購入後の支出に直結します。物件価格が同じなら、月々の管理費・修繕積立金が安いほうが得——そう考えたくなりますが、35年で見ると話が変わります。
同じ4,000万円・70㎡の2物件を比べてみます。
項目 | A物件(積立金が目安どおり) | B物件(積立金が安い) |
|---|---|---|
物件価格 | 4,000万円 | 4,000万円 |
管理費(月) | 13,000円 | 11,000円 |
修繕積立金(月) | 19,600円(㎡280円) | 9,100円(㎡130円) |
月々の負担 | 32,600円 | 20,100円 |
積立方式 | 均等積立 | 段階増額(10年後に㎡300円へ) |
35年間の管理費+積立金 | 1,369万円 | 1,201万円 |
大規模修繕の一時金 | 見込みなし | 1戸あたり100万円(10年後) |
35年間の合計(物件価格+ランニング) | 5,369万円 | 5,301万円 |
【当サイト独自試算】前提:専有面積70㎡、35年間居住、管理費は変わらないものと仮定。B物件は10年後に修繕積立金が㎡300円(月21,000円)へ引き上げられ、同時に1戸あたり100万円の一時金を徴収するものとして計算しています。実際の値上げ幅・時期・一時金の有無は物件ごとに異なります。
月々の差は12,500円で、単純に35年分を掛けると525万円の差に見えます。ところが値上げと一時金を織り込むと、差は68万円まで縮みます。積立金が安い物件は「負担が小さい物件」ではなく、多くの場合「負担を後ろにずらしている物件」だということです。
しかも、B物件の値上げ幅がこの想定より大きければ逆転します。月額の安さだけで選ばないほうがよい理由がここにあります。
なお購入時には、物件価格のほかに諸費用がかかります。中古マンションの場合は物件価格の6〜9%程度が目安で、4,000万円なら240〜360万円です。内訳と節約方法は不動産購入の諸費用はいくら?内訳と相場・節約術【2026】をご覧ください。

中古マンションで後悔したという声の多くは、買う前に確認できたはずのことから生まれています。よくある6つと、それぞれどの段階で気づけたかを整理します。
共通しているのは、いずれも書類か現地で確認できたという点です。物件そのものに危険な要素がないかという観点は買ってはいけない中古住宅の見分け方|危険サイン12選で、共働き・子育て世帯のエリア選びは共働き世帯のマンション購入|後悔しないエリア選びで解説しています。
築年数だけで線を引くことはできませんが、実取引データからは判断の手がかりが得られます。首都圏では築15年までの値下がりがゆるやかで、築16年で一段下がったあと築25年までは横ばい、築26年から再び下がり、築36年以降はほとんど動きません。予算と広さのバランスを重視するなら築16〜25年、価格の下落幅を抑えたいなら築36年以降という選び方もできます。いずれの場合も、管理状態の確認が前提になります。
失敗とは限りません。首都圏の築26〜30年の㎡単価は築0〜5年の51%で、価格面では買いやすい帯です。ただしこの帯は、同じ築年数でも管理の差が大きく開きます。修繕積立金が目安の水準にあるか、大規模修繕を計画どおり実施してきたか、滞納がないかを重要事項調査報告書で確認できれば、十分に検討できる選択肢です。
金融機関によりますが、借入期間に制限がついたり、扱ってくれる金融機関が限られたりすることがあります。とくに1981年以前の旧耐震基準の物件は審査が厳しくなる傾向があります。購入を検討する段階で、複数の金融機関に事前審査を申し込み、借入期間と金利の条件を確認しておくと確実です。
実取引データでは、首都圏で築36年以降に下げ止まる傾向が見られます。築31〜35年の指数37に対し、築36〜40年は32、築41年以上は30と、下落幅が小さくなります。ただし地域差が大きく、東京都は築41年以上でも築0〜5年の41%を保っている一方、愛知県は18%まで下がります。
築年数によります。首都圏の実取引データでは、築25年までは改装済みと未改装の差が−5%から+12%程度でばらつき、はっきりした上乗せは見られません。一方、築26〜30年で+27.3%、築31〜35年で+58.1%、築41年以上で+71.4%と、築古ほど上乗せが大きくなります。東京都内で同じ市区町村・築26年以上に絞って比べても、差の中央値は+31.2%でした。
上乗せ額と工事費を並べて比べるのが確実です。同じマンションや同条件の未改装物件の成約価格との差が上乗せ額で、それが自分の希望する工事の見積もりを上回るなら、未改装を買って自分で工事したほうが安く、仕様も選べます。ただしリノベーション済みには、工事の手間がなく費用を住宅ローンに含められる利点があります。
一律に避ける必要はありませんが、確認事項が増えます。耐震診断の実施状況と結果、耐震改修の予定、住宅ローンの借入条件、住宅ローン控除に必要な証明が取得できるかを確認してください。国土交通省の調査では、旧耐震マンションで耐震診断を実施したのは31.6%にとどまり、多くは診断すらされていないのが現状です。
新耐震基準は「1981年6月1日以降に建築確認を受けた」建物を指すため、物件資料の築年月(竣工時期)だけでは判定できません。マンションは建築確認から完成まで1〜2年かかるので、1981年から1983年に完成した物件は、建築確認済証の日付を不動産会社に確認してもらう必要があります。
月額を専有面積で割った㎡単価に直し、国土交通省のガイドラインの目安と比べます。20階未満で建築延床面積5,000㎡未満なら235〜430円/㎡・月が「事例の3分の2が収まる幅」です。ただしこの目安は長期修繕計画の期間全体を平均した額なので、今の月額ではなく計画上の平均額と比べてください。下限を大きく割っている場合は、将来の値上げを前提に考えるべきです。
かなりの程度わかります。重要事項調査報告書で積立方式を確認し、段階増額積立方式であれば「いつ、いくらまで上がる計画か」が長期修繕計画に書かれています。国土交通省の調査では段階増額積立方式が47.1%と多数派で、将来の値上げが前提になっている物件のほうが多いのが実情です。
買主が管理会社に直接申し込むことは、基本的にできません。多くの管理会社が依頼者を「売主本人、または売主から売却の依頼を受けた不動産会社」に限定しているためです。買主は仲介会社に依頼し、売主側から取得してもらいます。費用は6,000〜15,000円程度、日数はPDFなら即日、郵送なら翌日から4日程度が目安です。
できれば2〜3回、時間帯を変えて訪れるのが理想です。平日の朝夕、休日の昼、夜と条件を変えると、騒音・人通り・共用部の使われ方など、1回の見学ではわからないことが見えてきます。1回しか行けない場合でも、共用部の掲示板・駐輪場・ゴミ置き場は必ず確認しておきましょう。
使えます。2022年度の税制改正で築年数の要件は撤廃され、現在は新耐震基準に適合していることが要件です。実務上は、登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降であれば適合しているものとして扱われます。それ以前の物件でも、耐震基準適合証明書などがあれば対象になり得ます。限度額や申請の手順は住宅ローン控除2026|いくら戻る?限度額早見表と申請手順をご覧ください。
金額だけでは判断できません。管理員が常駐している、共用施設が充実している、清掃の頻度が高いといった理由で高くなっている場合、その分のサービスを受けています。国土交通省の調査では、駐車場使用料などからの充当を除いた月/戸あたりの管理費の平均は11,503円です。値上がりの背景はマンションの管理費・修繕積立金が上がる理由と購入前の確認法で解説しています。
物件探しから引渡しまでの期間や、各段階で必要になる書類は不動産購入の流れ完全ガイド|8ステップと期間・必要書類【2026】で詳しく解説しています。この記事では手続きではなく、物件の見極め方を扱っています。
中古マンション選びで迷いやすいのは、築年数という一つの数字にすべてを背負わせてしまうからです。築年数・管理・改装の3つを分けて見れば、「築30年だが管理が良く、未改装で価格が抑えられている物件」のように、条件の組み合わせで判断できるようになります。気になる物件が見つかったら、まず仲介会社に重要事項調査報告書を依頼するところから始めてみてください。
なお、この記事の価格データは市場全体の傾向を示すものであり、個別の物件の価値や将来の価格を保証・予測するものではありません。実際の購入判断にあたっては、必ず現地を確認し、不動産会社や専門家にご相談ください。
最終更新日:2026年8月26日