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マンション長寿命化促進税制とは、一定の要件を満たすマンションが大規模修繕工事を行った場合に、翌年度の建物部分の固定資産税が減額される制度です。対象になるのは2027年3月31日までに完了した工事に限られ、残りは約7か月です。
この記事でわかること
2026年8月18日、マンション管理業協会が金子恭之国土交通大臣あてに提出した「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」の内容が報じられました。要望の柱は、期限が迫る税制優遇の延長と、これまで買主に見えにくかった「管理の質」を売買の場に引き出すことです。マンションを持っている人にも、これから買う人にも関係する動きなので、制度の中身とあわせて整理します。

今回の要望は5項目で、柱は税制優遇の延長と管理情報の開示強化です。とくに後半の2項目は、中古マンションを買う人に直接関係します。
管理計画認定制度とは、マンションの管理状態が一定の基準を満たしていることを自治体が認定する制度です。要望が実現すれば、購入を検討する段階のチラシや重要事項説明で「このマンションは管理が認定されている」ことが分かるようになります。管理状況は購入判断を左右するにもかかわらず、現状では買主が自力で調べるしかない情報でした(出典:一般社団法人マンション管理業協会)。

この税制は、長寿命化に役立つ大規模修繕工事を行ったマンションについて、工事が完了した年の翌年度分の建物部分の固定資産税を減額するものです。対象となる工事の実施期間は2023年4月1日から2027年3月31日までで、期限の延長は今回の要望事項にとどまっています(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。
減額の対象は1戸あたり100平方メートル相当分までの固定資産税額です。減額割合は参酌基準が3分の1で、6分の1から2分の1の範囲内で各市町村の条例により定められます。東京23区では2分の1とされています(出典:東京都主税局)。減額されるのは1年度分のみで、割合はお住まいの自治体の条例により異なります。
要件はやや細かく、いずれか一つでも欠けると使えません。
要件 | 内容 |
|---|---|
築年数 | 築20年以上が経過している分譲マンション |
規模 | 総戸数10戸以上 |
過去の工事 | 過去に1回以上、長寿命化に資する大規模修繕工事を適切に実施済み(今回が2回目以降) |
修繕積立金 | 2021年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げていること |
管理状態 | 管理計画認定マンションであること、または助言・指導を受けた管理組合であること |
対象となる工事は、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべてを実施したものです。一部だけの工事では対象になりません。修繕積立金の引き上げが要件に入っているため、値上げの合意形成が進んでいる管理組合ほど使いやすい制度といえます。積立金の値上げについてはマンション修繕積立金の値上げが止まらない理由と自衛策もあわせてご確認ください。
見落とされやすいのが手続きです。減額を受けるには、工事完了日から3か月以内に、減額申告書・大規模修繕等証明書・過去工事証明書などを添えて市区町村へ申告する必要があります。証明書は建築士や住宅性能評価機関などに発行してもらうもので、工事が終わってから慌てて動くと間に合わないことがあります。工事の発注段階で証明書の手配まで工程に組み込んでおくのが安全です。大規模修繕の発注そのものの注意点はマンション修繕工事38社談合・16億円課徴金!管理組合が今すぐやるべき5つの自衛策で整理しています。

管理計画認定のメリットは固定資産税だけではありません。金融面でも次の優遇があります。
買う人の負担がどれだけ変わるか、当サイトで試算しました。フラット35の2026年8月の金利3.29%を前提に、当初5年間だけ0.25%引き下げられた場合の毎月返済額の差です。
借入額(35年・元利均等) | 金利3.29%の場合 | 維持保全型(当初5年3.04%) | 月額差 | 5年間の差額 |
|---|---|---|---|---|
2,500万円 | 100,304円 | 96,772円 | 3,532円 | 約21.2万円 |
3,000万円 | 120,365円 | 116,126円 | 4,239円 | 約25.4万円 |
4,000万円 | 160,486円 | 154,834円 | 5,652円 | 約33.9万円 |
※当サイト独自試算。ボーナス返済なし・元利均等返済で計算。実際の返済額は借入条件・金融機関・引下げメニューの組み合わせにより異なります(出典:住宅金融支援機構)。
売る側から見ると、認定を受けているマンションは買い手がローンを組みやすくなるため、流動性の面でも有利に働く可能性があります。

重要事項説明で問われるのは「長期修繕計画があるかどうか」までで、その中身の質までは問われません。不動産取引の現場では、長期修繕計画は重要事項説明書の補足資料として渡されるだけというケースが少なくなく、内容の良し悪しは買う側が自分で見極める必要があります。実務でプロが見ているのは次の5点です。
赤字の資金計画を改善するには、工事コストの見直しから積立方法の合意形成まで、短くても1年、長ければ2〜3年かかるといわれます。時間をかけても解決できなければ、必要な修繕を先送りするか借り入れるかの二択になり、漏水などのトラブルや外観の劣化を通じて資産価値に跳ね返ります。管理費・修繕積立金を含めた維持コストの考え方はマンション1億円時代|今なぜ戸建てが再評価?でも取り上げています。

名前が似ている2つの制度は、運営主体も評価方法も別物です。どちらも管理の質を可視化する仕組みですが、公的なお墨付きが認定制度、リアルタイムの評価が適正評価制度という住み分けになっています。
項目 | 管理計画認定制度 | マンション管理適正評価制度 |
|---|---|---|
運営主体 | 自治体(市・特別区、それ以外は都道府県) | マンション管理業協会 |
根拠 | マンション管理適正化法(2022年4月施行) | 業界団体による任意の制度 |
評価項目 | 16項目 | 約30項目 |
有効期間 | 5年 | 1年 |
評価方法 | 認定される・されないの2区分 | 星0から星5までの6段階 |
認定基準には、総会が年1回以上開催されていること、管理費と修繕積立金が区分経理されていること、長期修繕計画の計画期間が30年以上あり残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていることなどが含まれます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。ただし普及はこれからで、国土交通省の検討会資料では、認定実績のない地方公共団体が約8割、管理組合の7割超が制度を「あまり認知していない」「まったく認知していない」と回答しています。認定を取りに行くこと自体が、自分たちのマンションの健康診断になるという側面もあります。
管理の良し悪しを積立金の㎡単価や滞納状況といった数字で判定する手順は、中古マンション購入完全ガイドで実取引データとあわせて解説しています。
対象となる大規模修繕工事の実施期間は2023年4月1日から2027年3月31日までです。2026年8月時点で残りは約7か月となります。マンション管理業協会は国土交通大臣に対して期間の延長と要件緩和を要望していますが、2026年8月18日時点では延長は決まっていません。
管理計画認定マンションでなくても、助言または指導を受けた管理組合のマンションであれば対象になり得ます。ただし修繕積立金を認定基準まで引き上げていることなど他の要件も満たす必要があります。詳しくはお住まいの市区町村の担当窓口にご確認ください。
申請するのは管理組合です。区分所有者が個人で申請するものではなく、総会での決議を経て管理組合として自治体へ申請します。申請にあたっては管理規約・経理状況・長期修繕計画などを点検する必要があるため、管理会社やマンション管理士に相談しながら進めるケースが一般的です。
管理の質は、これまで買ってから気づく情報でした。しかし税制やローン優遇、そして今回の要望の流れを見ると、管理の良し悪しが価格や資金計画にはっきり表れる方向に進んでいます。中古マンションの購入を検討している方は、内見時に長期修繕計画と管理計画認定の有無を必ず確認してみてください。すでにお住まいの方は、次の大規模修繕が期限に間に合うかどうか、管理組合で早めに確認することをおすすめします。