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2026年6月22日付の最高裁決定で、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散命令が確定しました。宗教法人が解散すると、保有する不動産や税制上の優遇はどうなるのでしょうか。宗教法人でも固定資産税が非課税になるのは「本来の宗教活動に使う土地・建物」に限られ、解散して宗教活動に使われなくなれば、この非課税の要件を満たさなくなります。
この記事でわかること
最高裁第三小法廷は2026年6月22日付で、東京高裁の解散命令を不服とする教団側の特別抗告を棄却する決定をし、解散命令が確定しました(出典:熊本日日新聞(共同通信)2026年6月23日)。もっとも、解散命令の効力はそれより前の2026年3月4日に生じています。宗教法人法81条5項は解散命令に対する即時抗告に執行停止の効力を認めていますが、この即時抗告を東京高裁が退けたのが3月4日で、同じ日に東京地裁が伊藤尚弁護士を清算人に選任し、清算手続きが始まりました(出典:秋田魁新報(共同通信)2026年3月4日)。
宗教法人法の「法令違反」を理由とする解散命令は、オウム真理教・明覚寺に続く3例目で、民法上の不法行為を根拠とした初めてのケースです。ニュースでは献金問題が注目されていますが、ここでは不動産と税制という切り口から、宗教法人の解散が持つ意味を整理します。

宗教法人の不動産が固定資産税の非課税となるのは、地方税法348条2項3号で「宗教法人が専らその本来の用に供する」境内建物・境内地には固定資産税を課すことができないと定められているためです。本堂・拝殿・社務所などの建物や、その敷地である境内地が対象です。墓地は同項4号により、所有者を問わず非課税です。お寺や神社、教会の土地・建物に固定資産税がかからないのは、宗教活動という公益性を踏まえた措置です。
ただし、ここで重要なのは、宗教法人だからといって、保有するすべての不動産が非課税になるわけではないという点です。非課税の条件は「本来の宗教活動に専ら供していること」であり、たとえば駐車場として有料で貸し出している土地や、テナントが入る収益用の建物など、収益事業に使っている不動産は課税対象となる場合があります。宗教法人の不動産の税制は、所有者が誰かではなく「何に使っているか(用途)」で線引きされているのです。

解散命令の効力が生じると宗教法人は解散しますが、法人がその日に消えるわけではありません。宗教法人法48条の2は、解散した宗教法人は「清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす」と定めています。つまり、清算が終わるまでは、財産の管理・処分のためだけに存続する法人になります。
一方で、固定資産税の非課税は「宗教法人が専らその本来の用に供する」境内建物・境内地に限られます。解散して宗教活動の場として使われなくなれば、非課税の要件を満たさなくなる可能性があります。固定資産税は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者と利用状況をもとに課税されるため、どの不動産にいつから課税されるかは、所在地の市町村が個別に判断します。
解散命令による解散では、清算人は裁判所が選任します(宗教法人法49条3項)。清算人は財産の調査・管理や、債権者への弁済といった清算手続きを進めます。旧統一教会の清算人の公表によると、3月4日時点の資産は約834億円で、うち現金・預金が約450億円、東京都渋谷区の本部建物などの固定資産が約382億円でした。賃貸借契約の教会施設など250件超の処理を終え、5月には債権の申出の受け付けも始まっています(出典:熊本日日新聞(共同通信)2026年7月23日)。保有不動産は清算の過程で売却・処分され、弁済後に残った財産(残余財産)は法人の規則の定めや関係法令にもとづいて扱われます。清算人は、手続きには年単位の時間がかかるとの見通しを示しています。また、収益事業を行っていた場合は、清算がすべて終わる(清算結了)まで法人税などの課税関係が続くとされています。宗教法人の解散と不動産・税務の手続きは複雑で、実際の取り扱いは個別の事情によって異なるため、専門家による確認が必要です。
旧統一教会の不動産は、清算人が裁判所の監督のもとで解約・売却を進めています(宗教法人法51条)。報道によると、清算人の伊藤尚弁護士は、教団が借りている不動産約700件を順次解約し、所有する約200件の教団施設などは使われていないものから売却する方針を示しました(出典:データ・マックス 2026年4月23日)。7月の報告書では、賃貸借契約をしていた教会施設など250件超の処理を終えたとされています(出典:熊本日日新聞(共同通信)2026年7月23日)。
教団の財産は清算人の管理下に入り、教会などの施設も原則として使えなくなりました(出典:秋田魁新報(共同通信)2026年4月2日)。売却で得たお金は、献金被害者をはじめとする債権者への弁済に充てられます。東京都渋谷区の本部建物を含む固定資産は約382億円にのぼり、処分には年単位の時間がかかる見通しです。
宗教法人が家を買っても、それだけで宗教施設になるわけではありません。宗教法人法3条の「境内建物」は、本殿・会堂・社務所・教職舎など、宗教法人の目的のために必要な、その法人に固有の建物を指します。さらに固定資産税が非課税になるのは、宗教法人が「専らその本来の用に供する」場合に限られます。宗教法人が持っていても、普通の住宅や賃貸用として使われていれば、ほかの家と同じように課税されます。
旧統一教会は解散して清算中のため、宗教活動のために新しく不動産を取得することはなく、所有物件は清算人が売却していく立場です。清算人から買った家は、買った人の所有する一般の住宅として扱われ、固定資産税も通常どおりかかります。なお、元幹部らは新団体をつくり、集会を信者個人の自宅などで開くと報じられています。個人が所有する自宅は宗教法人の境内建物ではないため、集会に使われていても、固定資産税は所有者である個人に通常どおり課税されます。
近所の家や買おうとしている家の持ち主が宗教法人か気になるときは、最寄りの法務局で登記事項証明書を請求すれば、所有者の名前を誰でも確かめられます(オンラインの「登記情報提供サービス」でも閲覧可能)。証明書の見方は不動産登記の完全ガイド|手続きの流れ・費用の目安・必要書類と必須用語を参考にしてください。

今回のニュースは特別な事例に見えますが、「固定資産税は不動産の用途や実態で決まる」という考え方は、一般の住宅所有者にも通じます。たとえば自宅の敷地には「住宅用地特例」があり、住宅が建っている土地は固定資産税の課税標準が軽減されます。逆に、建物を取り壊して更地にしたり、空き家を放置して特定空家に指定されたりすると、この特例が外れて税負担が大きく増えることがあります。
空き家の固定資産税が上がるリスクについては、日本郵便が空き家オーナーを追跡開始!転居情報提供制度と固定資産税6倍リスクでも詳しく解説しています。宗教法人であれ一般世帯であれ、固定資産税は「その土地・建物がどう使われているか」で変わる——今回の解散命令確定は、その原則をあらためて意識させる出来事と言えるでしょう。
旧統一教会の解散命令確定は、宗教法人の不動産と税制を考えるきっかけになりました。要点を整理します。
ご自身の不動産の固定資産税や空き家の取り扱いに不安がある場合は、自治体の窓口や税理士などの専門家に相談しながら、用途に応じた適切な管理を検討してみてください。