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不動産の売り時は、1. 季節(何月に売り出すか) 2. 市況(相場がどこにあるか) 3. 税金と生活の予定という3つの軸で決まります。2026年後半は地価が上昇する一方で取引は減速しており、「相場が上がるのを待つ」判断より、税金の期限と生活の予定から逆算するほうが確実に手取りを守れる局面です。
この記事でわかること
「今が売り時なのか、もう少し待つべきか」——不動産を売ろうと考えたとき、誰もが最初にぶつかる悩みです。ただ、この問いに「相場の予想」だけで答えようとすると、いつまでも決められません。この記事では、東日本レインズが毎月公表している首都圏の成約データを使って「実際に売れやすい月」を検証し、繁忙期から逆算した準備スケジュール、待つことの金額的なコスト、そして見落とすと数十万円単位で損をする税金の期限まで、売主が自分で判断するための材料を順に整理します。
最終更新日:2026年8月20日(東日本レインズ 月例速報 Market Watch 2026年7月度を反映)

結論から言うと、売り時は3つの軸で決まります。そしてこの3つは重要度が同じではありません。自分でコントロールできる度合いと、手取りへの影響の大きさが大きく違うためです。
まず、3つの軸がそれぞれ何に効くのかを整理します。
軸 | 手取りへの影響 | 自分で操作できるか | 判断に必要な情報 |
|---|---|---|---|
1. 季節 | 売れるまでの期間に大きく影響。価格への影響は限定的(±3%程度) | ◎ 完全にコントロールできる | 月別の成約件数の傾向 |
2. 市況 | 大きいが、方向を事前に当てることはできない | × コントロールできない | 月次の成約件数・在庫件数・金利 |
3. 税金と生活予定 | 特例が使えるかどうかで数百万円単位で変わる | ○ 期限を知っていれば調整できる | 取得日・居住状況・相続の日付 |
この表を見ると、市況だけが「影響は大きいのに自分ではどうにもできない」性質を持っていることがわかります。にもかかわらず、多くの人が売却を先延ばしする理由はこの市況です。一方で、確実に金額が動く税金については、期限を知らないまま逃してしまうケースが少なくありません。
次の順番で確認すると、迷う範囲が一気に狭まります。
不動産取引の現場でも、売却の時期は「相場を読み切って決めた」ケースより、「住み替え先が決まった」「特例の期限が来た」といった個別事情で決まるケースが圧倒的に多いのが実情です。市況全体の見通しについては2026年不動産価格の見通し|三極化する市場の読み方と売買タイミングで詳しく解説しています。
「もう少し待てば高く売れるのでは」という発想には、見落とされがちな前提があります。それは待っている間にも保有コストが発生し続けるという点です。固定資産税、管理費、修繕積立金は、売れるまで毎月出ていきます。ローンが残っていれば利息も上乗せされます。
つまり「待つ」という選択は、無料のオプションではなく毎月一定の費用を払って値上がりに賭ける行為です。この費用がいくらで、価格が何%上がれば元が取れるのかは計算できます。具体的な金額は後半の試算セクションで示します。

結論から言うと、成約が突出して増えるのは3月だけです。よく言われる「1〜3月が繁忙期」という説明は、成約ベースで見ると正確ではありません。そして季節によって変わるのは価格よりも「売れやすさ」です。
東日本レインズが公表している首都圏中古マンションの月次成約件数(2024年7月〜2026年7月の25カ月)から、当サイトで季節指数を算出しました。12カ月間の平均を100として、各月がどの水準にあるかを2サイクル分平均した数値です。

区分 | 月 | 季節指数(年平均=100) |
|---|---|---|
動く時期 | 3月 | 131 |
6月 | 112 | |
2月 | 110 | |
平均並み | 4月 | 103 |
7月 | 100 | |
11月 | 99 | |
5月 | 99 | |
9月 | 97 | |
動かない時期 | 10月 | 95 |
12月 | 93 | |
1月 | 86 | |
8月 | 76 |
※当サイト独自集計。出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch」2025年7月度・2026年7月度/データ取得日:2026年8月20日。首都圏の中古マンションが対象です。
読み取れることは3つあります。
3月に集中する背景は引越し需要です。総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」によると、2025年の市区町村間移動者数は年間519万548人(月平均 約43万人)でしたが、2025年3月だけで90万5,179人が移動しています。月平均の約2.1倍です(出典:総務省統計局・データ取得日:2026年8月20日)。
ここが誤解されやすいところです。同じ25カ月の成約㎡単価から季節指数を算出すると、月別の値は97〜103の範囲に収まりました。つまり価格面の季節差はおおむね±3%程度で、成約件数のような1.7倍もの差にはなりません。
「繁忙期は5〜10%高く売れる」という表現を目にすることがありますが、少なくとも首都圏中古マンションの月次成約データからは、その幅の裏付けは得られません。季節によって大きく変わるのは価格ではなく、買い手の数と売れるまでの期間です。
したがって季節を味方につける意味は、「高く売る」ことより「値下げせずに売り切れる可能性を上げる」ことにあります。買い手が多い時期に売り出せば、値引き交渉に応じずに済む確率が上がり、結果として手取りが守られる、という順序で理解するのが実務的です。
※成約㎡単価は価格トレンドの影響も受けるため、季節性だけを完全に分離することはできません。上記は振れ幅の目安としてご覧ください。
季節の効き方は物件の種類でも変わります。
物件種別 | 季節性の強さ | 実務上のポイント |
|---|---|---|
中古マンション | 強い | 買い手の多くが実需のため引越し需要の影響を最も受ける。3月への集中が明確 |
中古戸建て | やや強い | ファミリー層中心で学区の影響を受けやすく、春に動きやすい |
土地 | 弱い | 買い手が事業者・建築計画のある個人になりやすく、引越し時期に左右されにくい |
投資用(賃貸中) | ほぼなし | 利回りと融資条件で判断されるため、季節より金利環境の影響が大きい |
自宅として使ってきたマンション・戸建てなら季節を意識する価値がありますが、土地や投資用物件では優先度が下がります。収益物件の売却時期の考え方は不動産投資の出口戦略完全ガイド|売却タイミングと税金2026で解説しています。
ただし2026年は、季節性だけで判断できない状況にあります。首都圏中古マンションの成約件数は2026年7月に3,638件(前年同月比8.6%減)と4カ月連続で減少し、在庫件数は47,151件(同5.5%増)と5カ月連続で増えています(出典:東日本レインズ「月例速報 Market Watch 2026年7月度」)。
季節の波は例年どおり存在しますが、水位そのものが下がっている状態です。直近の市場の動きは中古マンション成約4カ月連続減|動かない今の相場で追っています。売り出し時期を繁忙期に合わせたうえで、後述する準備期間を厚めに取ることが、2026年に売る場合の現実的な組み立て方になります。

結論として、売り出したい月の3〜6カ月前から準備を始めるのが2026年の現実的な目安です。「2〜3カ月前から」と紹介されることが多いのですが、在庫が積み上がっている現在の市場では前倒しが必要です。
売り出しから成約までの期間が読みにくくなっています。理由は在庫の積み上がりです。首都圏中古マンションの在庫件数は2026年7月に47,151件(前年同月比5.5%増)となり、前年同月比では5カ月連続の増加です。半年前の2026年1月(44,776件)と比べても2,000件以上多い水準で、同じ期間に成約件数は減っているため、1件あたりの競合物件が増えている状態です。
不動産取引の現場では、売り出しから3カ月ほど反響が乏しい場合、「値付けが相場と合っていないサイン」と見るのが一般的です。つまり当初価格で売れなければ、価格の見直しにさらに1〜3カ月かかる前提で計画する必要があります。工程を分解すると次のようになります。
工程 | 所要期間の目安 | やること |
|---|---|---|
1. 相場調べ・書類集め | 2〜4週間 | 登記識別情報・管理規約・購入時の契約書を探す。境界が不明な戸建ては測量の要否を確認 |
2. 査定依頼・会社比較 | 2〜3週間 | 複数社に依頼し、査定額の根拠を比較する |
3. 媒介契約・価格決定 | 1〜2週間 | 契約形態を選び、売り出し価格を決める |
4. 売り出し・内覧対応 | 1〜3カ月 | 広告掲載、内覧、価格の見直し |
5. 契約〜引き渡し | 1〜2カ月 | 売買契約、住宅ローン抹消手続き、引き渡し |
1〜3で合計1〜2カ月。売り出し後に価格調整が必要になる可能性を織り込むと、逆算の起点は売り出し予定日の3カ月前が最低ライン、余裕を見るなら6カ月前ということになります。各工程の詳細は不動産売却の流れ完全ガイド(9ステップ)にまとめています。
季節指数が最も高い3月に契約をまとめたい場合、逆算すると次のようになります。
時期 | やること |
|---|---|
前年9〜10月 | 相場を調べ、必要書類を集める。修繕履歴やリフォーム履歴も整理 |
前年10〜11月 | 複数社へ査定を依頼し、根拠を比較して会社を絞る |
前年11〜12月 | 媒介契約を締結し、売り出し価格を決定 |
前年12月〜1月上旬 | 売り出し開始。買い手が本格的に動き出す1月から掲載されている状態を作る |
1〜2月 | 内覧対応のピーク。反響が乏しければ2月中に価格を見直す |
3月 | 売買契約。引き渡しは4〜5月が中心 |
ポイントは「1月に売り出す」のではなく「1月にはすでに売り出されている」状態を作ることです。年末年始は不動産会社の動きが鈍るため、12月中に媒介契約と価格決定を終えておくと安全です。
秋の成約は年平均並みですが、春に比べて売り出し中の物件が少なくなる時期でもあります。競合が減る分、条件の良い物件は目立ちやすくなります。9月の売り出しを目指すなら4〜6月から準備開始、11月なら6〜8月からが目安です。
一方、転勤や住み替え先の決済が迫っていて時間が取れない場合は、仲介ではなく買取という選択肢もあります。買取は価格が相場の7〜8割程度に下がるのが一般的ですが、内覧対応が不要で期間を確定できます。判断材料として、媒介契約の選び方は媒介契約とは?3種類の違いを徹底解説、査定の集め方は不動産一括査定サイトの選び方|注意点と賢く使うコツを解説を参照してください。

2026年後半の市場は、年に一度の地価指標は上昇、毎月の取引データは減速という二重構造にあります。売主が見るべきは後者の月次データです。市況の全体像と今後の見通しは2026年不動産価格の見通し|三極化する市場の読み方と売買タイミングで詳しく整理しているため、ここでは売主の判断に直結する部分だけを取り上げます。
年次の地価指標は力強く上昇しています。2026年1月1日時点の公示地価は全国全用途平均で前年比2.8%上昇(住宅地2.1%・商業地4.3%)と5年連続の上昇、7月公表の路線価も全国平均で2.9%上昇と5年連続の上昇でした(出典:国土交通省「地価公示」・国税庁「路線価図・評価倍率表」)。
一方、毎月の取引データは違う景色です。

グラフの通り、2026年に入ってから成約件数(青)が前年の水準を下回り始め、在庫件数(オレンジ)が反転して増加しています。3月の山は例年どおり立っていますが、その後の落ち込みが前年より深いことが読み取れます。
公示地価と路線価はその年の1月1日時点の「土地」を評価した年次データであり、いまマンションが売れているかどうかを示すものではありません。売主が判断材料にすべきは、毎月更新される成約件数と在庫件数です。
いま最も注意すべき数字がこれです。2026年7月の首都圏中古マンションは、売り出し中の物件の平均価格が6,866万円(前年同月比29.0%増)まで上昇した一方、実際に成約した価格は5,267万円(同0.7%減)でした。その差は約1,600万円に開いています。
これは「高く売り出している物件が、そのままの価格では売れずに在庫として滞留している」ことを意味します。売り出し価格の相場だけを見て値付けをすると、売れないまま時間だけが過ぎる典型的なパターンに入ります。値付けの前に必ず成約価格を確認してください。売れ残りが生じている構造については中古マンション“売れ残り”時代へ|戸建てとの明暗が鮮明で解説しています。
なお、同じ「中古」でも戸建ては動きが異なります。2026年7月の首都圏中古戸建ては成約価格3,933万円(前年同月比0.6%増)と7カ月連続の上昇、在庫件数は23,197件(同1.2%減)と6カ月連続の減少でした。マンションを持っている場合と戸建てを持っている場合とで、置かれている状況が違う点は押さえておきましょう。
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%から1.00%程度へ引き上げました。政策金利が1%に達したのは約31年ぶりで、7月会合では据え置かれています(出典:日本銀行)。長期金利の指標である新発10年物国債の利回りも、2026年8月18日に一時2.945%と約30年ぶりの高水準を付けました。
売主にとっての影響は、自分の返済額ではなく買い手の借入可能額に現れます。金利が上がると同じ年収でも借りられる金額が減るため、買い手が出せる価格の上限が下がります。成約件数の減少と在庫の増加は、この動きが実際に起きていることを示しています。首都圏中古マンションの調整局面については首都圏中古マンションはバブル超えから調整へ|2026年の売買判断で詳述しています。

「待てば上がるかもしれない」を感覚で判断しないために、待機コストを金額に置き換えてみます。結論を先に言うと、6カ月待つなら、価格が約0.4%以上上がらなければ待った分だけ損になります。
売却価格5,267万円(2026年7月の首都圏中古マンション成約価格)の物件を持ち続けた場合の、毎月出ていく費用を積み上げます。
費目 | 年額 | 月額換算 |
|---|---|---|
固定資産税・都市計画税 | 10万円 | 約0.8万円 |
管理費・修繕積立金 | 30万円 | 2.5万円 |
合計 | 40万円 | 約3.3万円 |
この「約3.3万円/月」が、売らずに持ち続けるための費用です。持っているだけで資産が減っているわけではありませんが、売却を先延ばしにするたびに手取りから差し引かれていく金額であることは間違いありません。
待機コストの累計を売却価格で割ると、「この率以上に価格が上がらなければ待つだけ損」という損益分岐が出ます。
待つ期間 | 保有コスト累計 | 損益分岐となる価格上昇率 | 金額に直すと |
|---|---|---|---|
3カ月 | 約9.9万円 | 約0.19% | 約10万円の値上がりが必要 |
6カ月 | 約19.8万円 | 約0.38% | 約20万円の値上がりが必要 |
12カ月 | 約39.6万円 | 約0.75% | 約40万円の値上がりが必要 |
※当サイト独自試算。売却価格5,267万円、固定資産税・都市計画税を年10万円、管理費・修繕積立金を月2.5万円として計算しています。実際の金額は物件の条件により異なります。
ここに現在の相場を重ねます。2026年7月の成約価格は前年同月比0.7%減、成約件数は4カ月連続の減少、在庫は5カ月連続の増加でした。価格が上向く材料が乏しい局面で、1年待って0.75%以上の上昇を期待するのは、根拠の薄い賭けになります。
もちろん、この計算は「価格が下がった場合」を織り込んでいません。仮に1年で3%下落したとすれば、価格の目減り約158万円に保有コスト約40万円が加わり、合計約198万円の差になります。待つことのリスクは、上がらないことではなく、下がりながらコストを払い続けることにあります。
住宅ローンが残っているなら、返済に含まれる利息も待機コストに加える必要があります。残債2,000万円・変動金利0.7%なら、利息は年約14万円=月約1.2万円です。
条件 | 月あたりコスト | 6カ月の累計 | 損益分岐 |
|---|---|---|---|
ローン完済済み | 約3.3万円 | 約19.8万円 | 約0.38% |
残債2,000万円(金利0.7%) | 約4.5万円 | 約27.0万円 | 約0.51% |
※当サイト独自試算。利息は残債に金利を乗じた概算で、元金の減少は考慮していません。実際の返済額は借入条件・金融機関により異なります。判断に迷う場合はファイナンシャルプランナーや金融機関にご相談ください。
さらに、変動金利で借りている場合は金利上昇そのものもリスクです。2026年8月3日にメガバンクが短期プライムレートを年2.375%へ引き上げており、多くの銀行では9月1日以降の適用となる見込みです。売却を先延ばしにするほど、この負担が待機コストに乗ってきます。
なお、ここで扱ったのは「持ち続ける費用」だけです。売却時に実際にかかる仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用などの内訳は不動産売却の費用はいくら?仲介手数料と諸費用の内訳【2026】にまとめています。

売却益にかかる譲渡所得税の税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで39.63%と20.315%に分かれます。そしてこの判定には、多くの人が誤解している重要なルールがあります。
国税庁の定めは明確です。所有期間が5年を超えるかどうかは、譲渡した年の1月1日現在で判定します。「取得日から5年が経過したかどうか」ではありません(出典:国税庁 タックスアンサー No.3208)。
区分 | 判定 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年以下 | 30% | 所得税額の2.1% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超 | 15% | 所得税額の2.1% | 5% | 20.315% |
出典:国税庁 No.3208・No.3211/データ取得日:2026年8月20日
この違いが生む落とし穴を、具体例で確認します。2021年10月に取得した物件を売るケースです。
売却時期 | 取得日からの経過 | 判定に使う「譲渡した年の1月1日」時点の所有期間 | 区分 |
|---|---|---|---|
2026年11月 | 5年1カ月(5年を超えている) | 2026年1月1日時点で4年3カ月 | 短期(39.63%) |
2027年1月 | 5年3カ月 | 2027年1月1日時点で5年3カ月 | 長期(20.315%) |
取得から5年が経っているにもかかわらず、2026年11月に売ると短期譲渡と判定されます。「5年経ったから大丈夫」と考えて年内に売却してしまうのが、最も起きやすい失敗です。
先ほどのケースに金額を当てはめます。3,000万円の特別控除が使えない状況(賃貸に出していた、セカンドハウスだった等)を想定します。
項目 | 金額 |
|---|---|
売却価格 | 5,267万円 |
取得費 | 4,500万円 |
譲渡費用(仲介手数料 約180万円+印紙税3万円) | 約183万円 |
譲渡所得 | 584万円 |
売却時期 | 区分 | 税率 | 税額 |
|---|---|---|---|
2026年11月 | 短期譲渡 | 39.63% | 231.4万円 |
2027年1月 | 長期譲渡 | 20.315% | 118.6万円 |
差額 | 112.8万円 | ||
※当サイト独自試算。仲介手数料は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額、印紙税は軽減税率適用後の額で計算しています。譲渡所得・税額は取得費の算定方法や各種特例の適用可否により異なります。実際の売却前に税理士・税務署にご確認ください。
売却を2カ月ずらすだけで税額が112.8万円変わる計算です。その間の保有コストは約6.6万円ですから、差引で約106万円が手元に残ります。前のセクションで見た「6カ月待つ損益分岐0.38%」とは桁が違うインパクトです。市況で数カ月悩むより、まず自分の取得日を確認するほうが先だと言えます。
ただし、マイホームとして住んでいた物件なら3,000万円の特別控除が使えるため、譲渡所得584万円は控除の範囲に収まり税額はゼロになります。5年ルールが効いてくるのは、控除が使えないケースだと理解しておいてください。税額の具体的な計算方法は不動産売却の譲渡所得税と3,000万円控除|計算・申告を完全解説で解説しています。
売り時を左右するもう一つの要素が、特例の適用期限です。いずれも「その日を過ぎると使えなくなる」性質のものです。
特例 | 期限 | 要点 |
|---|---|---|
居住用財産の3,000万円特別控除 | 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 前年・前々年に同特例等の適用を受けていないこと。親子・夫婦など特別の関係がある人への譲渡は対象外。入居年とその前後2年間に本特例を受けると住宅ローン控除は使えない |
空き家(被相続人居住用財産)の3,000万円特別控除 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ制度の期限は2027年12月31日まで | 昭和56年5月31日以前の建築/区分所有建物でない/相続時から譲渡時まで事業・貸付け・居住に使っていない/売却代金1億円以下。相続人が3人以上の場合、控除額は2,000万円 |
相続財産の取得費加算 | 相続開始の翌日から約3年10カ月以内(相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで) | 納めた相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できる |
相続登記の義務化(経過措置) | 2027年3月末 | 期限までに登記しないと過料の対象になりうる。未登記のままでは売却手続きも進められない |
出典:国税庁 No.3302・No.3306・No.3267/データ取得日:2026年8月20日
特に注意したいのが、転勤や住み替えで家を空けてから売却を検討している場合です。3,000万円控除の期限は「住まなくなった日」が起点であり、売買契約日ではありません。空き家のまま3年目の年末を越えると、控除額3,000万円がまるごと使えなくなります。申告手続きの詳細は不動産売却の確定申告|必要書類・書き方・期限を完全解説を参照してください。

ここまで季節・市況・税金を見てきましたが、実際の売却では個別の事情が最優先になるケースが少なくありません。自分がどのパターンに当てはまるかを確認してください。
事情 | 最優先で確認すること | 季節を待つべきか |
|---|---|---|
住み替え | 売り先行か買い先行か。二重ローンやつなぎ融資の要否 | △ 住み替え先の引き渡し日が優先 |
転勤 | 賃貸に出すか売るか。空き家にした日から3,000万円控除の3年カウントが始まる | × 控除の期限が優先 |
離婚 | 名義・連帯保証・ローン残債と売却価格の関係 | × 財産分与の合意時期が優先 |
相続 | 相続登記の完了。空き家特例と取得費加算の期限 | × 3年・3年10カ月の期限が優先 |
オーバーローン | 売却価格が残債を下回る場合の不足分の手当て | × まず残債と査定額の突き合わせ |
特に事情なし | 取得日と所有期間の判定 | ○ 季節と市況で組み立てられる |
それぞれの詳しい進め方は、住み替え完全ガイド|売り先行・買い先行と費用・税金、転勤になったら持ち家はどうする?売却・賃貸・単身赴任を比較、離婚で家を売る完全ガイド|財産分与・ローン残債・税金、相続した不動産の売却方法|手続きの流れと税金対策、空き家の売却完全ガイド|更地と古家付き・税金・売れない対策で解説しています。
特にオーバーローンの場合は、売却そのものが成立しない可能性があります。売却価格で残債を返しきれないと抵当権を外せないためです。まず金融機関から残高証明を取り寄せ、査定額と突き合わせるところから始めてください。
「売ろう」と決めてから慌てないよう、次の項目を先に確認しておくと、査定から売り出しまでの期間を1カ月近く短縮できます。
準備が整ったら、査定額の根拠を比較して会社を選びます。査定額を上げるための実務はマンション売却の査定額を上げる5つのポイント|相場の調べ方も解説、売却前のリフォームの要否は不動産売却前のリフォームは必要?費用対効果とそのまま売る比較、内覧の準備は不動産売却の内覧を成功させるコツ|準備・当日対応・成約率アップ法にまとめています。
月次データで見ると、価格の季節差は±3%程度と小さく、「何月なら高く売れる」と言い切れるほどの差はありません。一方で成約件数は3月が突出しており、最も少ない8月の約1.7倍です。したがって「高く売れる月」ではなく「買い手が多く、値引きせずに売り切りやすい月」として3月をゴールに置き、そこから逆算するのが実務的です。
「築何年がベスト」という一律の答えはありません。ただし2026年7月に成約した首都圏中古マンションの平均築年数は27.70年で、築30年前後でも十分に取引は成立しています。判断で効いてくるのは築年数そのものより、大規模修繕の実施状況、管理状態、修繕積立金の残高です。マンションであれば、大規模修繕が完了した直後は買い手に説明しやすくなります。
待つ判断をする場合は、損益分岐を計算してからにしてください。5,267万円の物件なら保有コストは月約3.3万円で、6カ月待つと約0.38%、12カ月なら約0.75%以上の値上がりがなければ元が取れません。2026年7月時点では成約件数が4カ月連続で減少し在庫が5カ月連続で増加しているため、短期で上向く材料は乏しい状況です。「上がるまで待つ」ではなく「いつまでに売る」を先に決めるほうが、結果的に手取りを守れます。
譲渡した年の1月1日現在で判定します。取得日から5年が経過していても、売った年の1月1日時点で5年以下であれば短期譲渡(39.63%)です。たとえば2021年10月に取得した物件を2026年11月に売ると短期、2027年1月に売ると長期(20.315%)になります。取得日は登記簿で確認できるので、売却を検討し始めた段階で必ず確認してください。
物件やエリアによりますが、売り出しから3カ月ほど反響が乏しい場合は、値付けが相場と合っていないサインと見るのが一般的です。2026年は在庫が増えているため、価格調整の期間まで含めて売り出しから成約まで3〜6カ月を見込んでおくと計画が崩れにくくなります。期日が決まっている場合は、仲介と並行して買取の査定も取っておくと選択肢が広がります。
参考にすべきは「売り出し価格の相場」ではなく「成約価格の相場」です。2026年7月の首都圏中古マンションは、売り出し中の物件の平均価格が6,866万円だったのに対し、実際の成約価格は5,267万円で、その差は約1,600万円ありました。売り出し価格だけを見て値付けをすると、売れないまま在庫として滞留するリスクが高くなります。
まずは登記簿で取得日を確認し、自分に期限のある特例がないかを整理してください。そのうえで複数社の査定を取り、成約価格の相場を踏まえて売り出し時期を決めるのが、最も確実な進め方です。査定の集め方は不動産一括査定サイトの選び方|注意点と賢く使うコツを解説、市況の最新動向は2026年不動産価格の見通し|三極化する市場の読み方と売買タイミングを参考にしてください。
なお、買う側にも同じ構造の損益分岐があります。買い替えで次の住まいを取得する場合の「今買うか、待つか」は今買うか1年待つかの損益分岐で試算しています。