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震度5弱の揺れでも、外壁や基礎のひび割れの程度によっては地震保険の対象になります。ただし判定されるのは柱・基礎・屋根などの主要構造部で、内装のクロスが裂けただけでは保険金は出ません。
この記事でわかること
2026年8月23日午前2時ごろ、茨城県南部を震源とする地震が発生しました。震源の深さは70km、地震の規模はマグニチュード5.9で、茨城・埼玉・千葉・東京の17市区町村で最大震度5弱を観測しています。建物が倒壊するような規模ではありませんが、この程度の揺れでも住まいには「見えにくい損傷」が残ることがあります。今日一日の行動が、後の保険金請求を左右します。順に見ていきましょう。

震源が深かったため、揺れは震源から離れた首都圏の広い範囲に及びました。倒壊の心配は小さい一方で、外壁や設備といった部分的な損傷は起こりうる規模です。
震度5弱を観測したのは、茨城県の古河市・龍ケ崎市・下妻市・常総市・取手市・牛久市・つくば市・筑西市・つくばみらい市・小美玉市、埼玉県の川口市・蕨市・戸田市・宮代町、千葉県の浦安市・印西市、そして東京都足立区です。震度4は東京23区全域のほか、さいたま市・千葉市の全区、横浜市・川崎市にも及びました(出典:Yahoo!天気・災害「地震情報」、2026年8月23日取得)。
関東の地下は、陸のプレートの下に東から太平洋プレート、南からフィリピン海プレートが沈み込む三重構造になっています。2つの海のプレートが接する面はおおむね深さ50〜70kmにあり、茨城県南部の地震はこの深さで繰り返し起きています(出典:龍ケ崎市「茨城南部における地震危険度」)。今年6月にも同じ茨城県南部で震度5弱を観測しており、約2か月で2度目です(参考:茨城M5.5で震度5弱|旧耐震マンションの3大リスクと今すぐできる耐震チェック)。政府の地震調査委員会は、南関東でマグニチュード7級の地震が今後30年以内に起きる確率を約70%と評価しています。

最優先は掃除ではなく記録です。片付けて元通りにしてしまうと、後から被害を証明する手立てが消えます。被災を経験した人からよく聞かれるのが「反射的に片付けてしまい、写真が一枚も残らなかった」という後悔です。
撮影日時が記録として残るため、スマートフォンでそのまま撮って構いません。
すでに片付けてしまった場合でも諦める必要はありません。記憶が新しいうちに「何が、どこから、どう落ちたか」をメモに残してください。壊れた家財の購入時のレシートや、家族が別々に撮った写真も有力な資料になります。不動産取引の現場では、こうしたメモの積み重ねが後の損害調査で被害の全体像を伝える助けになっています。

地震保険で判定されるのは主要構造部、つまり基礎・柱・軸組・屋根といった建物を支える部分です。内装や設備の破損だけでは、それ単独では認定に直結しません。住まいの種類によって、見るべき場所が変わります。
基礎の立ち上がり部分に新しいひび割れがないか、外壁のモルタルやサイディングに割れ・欠けがないか、屋根瓦がずれていないかを地上から確認します。室内では、ドアや引き戸の開閉が急に重くなっていないか、床にビー玉を置いて転がらないかを見ると傾きの目安になります。1981年以前の旧耐震基準、あるいは2000年基準より前の木造住宅は、揺れの影響が出やすい傾向があります(参考:なぜ壊れた家と無事な家|国が原因分析を開始)。
専有部では玄関ドアの建て付け、窓サッシの歪み、壁と天井の継ぎ目のひびを確認します。共用部では外壁タイルの浮きや剥がれ、共用廊下・天井の損傷が典型です。エレベーターは地震時管制運転で自動停止することがあり、復旧には保守会社の点検が必要になります。給排水管が損傷すると時間差で漏水が出るため、天井のシミや水音にも注意してください。そして管理組合から届く調査結果の通知は必ず読んでください。後述するとおり、これが専有部の保険金を左右します。

地震保険の支払いは損害の程度に応じて4区分に分かれます。最も軽い「一部損」で受け取れるのは、保険金額の5%です。
認定区分 | 主要構造部の損害(時価比) | 支払われる保険金 |
|---|---|---|
全損 | 50%以上 | 保険金額の100% |
大半損 | 40%以上50%未満 | 保険金額の60% |
小半損 | 20%以上40%未満 | 保険金額の30% |
一部損 | 3%以上20%未満 | 保険金額の5% |
出典:日本損害保険協会「地震保険」、損害保険料率算出機構(2026年8月23日取得)
契約している保険金額別に、一部損で受け取れる金額の目安を試算すると次のようになります。
地震保険の保険金額 | 一部損(5%) | 小半損(30%) |
|---|---|---|
建物1,000万円 | 50万円 | 300万円 |
建物1,500万円 | 75万円 | 450万円 |
建物2,000万円 | 100万円 | 600万円 |
家財500万円 | 25万円 | 150万円 |
※当サイト独自試算。実際の支払額は契約内容・損害調査の結果により異なります。
1つ目は保険金額の上限です。地震保険は単独では加入できず、火災保険にセットで契約し、その保険金額の30〜50%の範囲でしか設定できません(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)。2つ目は対象範囲で、門・塀・垣のみの損害や、給排水設備・エレベーターだけの損害には保険金が支払われません。3つ目は火災保険との関係です。地震が原因の火災や倒壊、津波による損害は、火災保険では補償されません。地震保険は「壊れた家を建て直す保険」ではなく「壊れた後の生活を立て直す保険」だと理解しておくと、期待値のずれを防げます。

被害の大小を自分で判断して請求しないことが、最も多い機会損失です。実際に、落下した家電1台と壁紙のひび程度の被害でも、建物と家財を合わせて数十万円の保険金が支払われた例があります。
マンションでは、管理組合が契約する共用部の地震保険で「一部損」の認定が下りると、その認定が各戸の専有部分にも適用されます。外壁タイルのひびや共用廊下の損傷で共用部が認定されれば、自宅の中の被害が小さくても一部損として扱われるということです。現場では、一度「支払い対象外」と言われた人が、共用部の認定後に改めて連絡して支払いを受けた例もあります。共用部の認定情報が保険会社のデータベースに反映されるまで時間差が生じ、「一部損の記録がない」と言われることも実際に起きていますが、その場合は管理組合からの通知を根拠に再確認を依頼すれば足ります。
保険金の請求権の時効は3年です。生活のために先に修理してしまった後でも、被害の記録が残っていれば請求できます。損害調査に訪れるのは保険会社の社員ではなく、第三者である鑑定会社の鑑定人です。被害の内容を細かく聞き取ってくれるため、遠慮して申告を控える必要はありません(もちろん事実と異なる申告はできません)。支払いまでの目安は、家財が鑑定から1週間程度、建物は2〜3週間程度が一般的です。

地震のあとに出てくる3つの手続きは、目的も基準もそれぞれ別物です。罹災証明書を取れば保険金が下りる、という関係ではありません。両方に動く必要があります。
実施する人 | 目的 | 使い道 | |
|---|---|---|---|
応急危険度判定 | 建築の専門家 | 余震での倒壊・落下の危険を判定 | 当面その建物を使ってよいかの目安(赤・黄・緑の紙) |
罹災証明書 | 市区町村 | 住家全体の被害程度を認定 | 被災者生活再建支援金、税や公共料金の減免 |
地震保険の損害調査 | 保険会社・鑑定会社 | 主要構造部の損害割合を判定 | 保険金の支払い |
公的支援の中身については災害で家を失ったら|仮設・支援金の使い方、住宅ローンが残る住まいが被災した場合の扱いは熊本で震度7|被災したら住宅ローンはどうなる?で詳しく解説しています。

南関東でM7級の地震が30年以内に起きる確率は約70%とされる一方、首都圏の地震保険の付帯率は全国でも低い水準にとどまっています。
2024年度に契約された火災保険のうち地震保険を付けた割合(付帯率)は、全国平均で70.4%でした。2003年度以降22年連続で上昇しています。都道府県別に見ると、高いのは宮城89.3%、熊本87.8%、高知87.6%。一方で低いのは長崎56.2%、沖縄58.5%に続き、東京62.2%、神奈川64.0%と、まさに首都直下地震が想定されるエリアが下位に並びます(出典:損害保険料率算出機構「2024年度 地震保険付帯率」)。保険料の決まり方や割引制度は岩手県沖で地震続く|地震保険の保険料はどう決まる?で解説しています。
震度の数字ではなく、建物の主要構造部にどれだけ損害が生じたかで判定されます。震度5弱でも、外壁や基礎に時価の3%以上の損害が認められれば一部損として保険金が支払われる可能性があります。まずは損害の記録を残し、保険会社に連絡してください。
申請自体は可能ですが、内装のクロスの亀裂は主要構造部の損害ではないため、それだけでは認定されにくいのが実情です。ただしマンションの場合、共用部で一部損の認定が出れば専有部にも適用されます。管理組合からの通知を確認してください。
いいえ。罹災証明書は自治体による被害認定で、公的支援を受けるための書類です。地震保険の損害調査は保険会社が別に行うため、罹災証明書の有無にかかわらず保険会社へ直接連絡して請求します。
保険金の請求権の時効は3年なので、期間内であれば請求できます。修理前後の写真、修理業者の見積書や請求書、被害状況のメモなどが判断材料になります。まずは加入している保険会社に相談してください。
今日の揺れで気になる箇所が見つかった場合は、記録を残したうえで加入中の保険会社へ連絡してください。売却や購入を検討している住まいであれば、損傷の有無は資産価値にも関わります。判断に迷う場合は、建物の状態を含めて不動産の専門家に相談することをおすすめします。