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団地がいま再び選ばれているのは、家賃の上昇が続くなかで「広さのわりに住居費が抑えられる」から。ただし借りる団地と買う団地では、確認すべきことがまったく違います。
この記事でわかること
2026年8月23日に報じられた「戸建てを売って家族5人で団地へ移った」という事例が話題になり、入居率がV字回復した団地の存在にも注目が集まっています。かつて「古い集合住宅」というイメージだった団地に、なぜいま20〜40代が向かっているのか。そして団地を実際に借りる・買う場合に、どこを見て判断すればよいのか。不動産取引の現場で確認されている実務ポイントを整理します。

理由は大きく2つあります。家賃の上昇と、取り壊さずに再生される団地が増えたことです。
まず住居費です。大阪府の賃貸マンション賃料は直近3年で約11.06%、直近1年でも約5.74%上昇しています(出典:LIFULL HOME'S 住まいインデックス/2026年8月25日確認)。報道では、大阪市内のファミリー向けマンションの平均家賃が約17万円に達しているとも伝えられました。同じ広さを都心の民間賃貸で借りると住居費が家計を圧迫する——この現実が、団地という選択肢を押し上げています。家賃上昇局面での判断材料は家賃値上げ通知が急増|断れる?いま借りるvs買うでも解説しています。
もう1つが団地側の変化です。たとえば大阪府住宅供給公社は堺市の茶山台団地で、横並びの45平方メートル2戸をつなげて約91.68平方メートルの3LDKにする「ニコイチ」を展開しています。家賃は7万8,000円で、下落が続いていた入居率は反転して85%を超えました(出典:大阪府住宅供給公社「ニコイチ」/2026年8月25日確認)。取り壊す前提だった団地が改修されて市場に戻り、なかには個人が購入できる価格で売り出される例も出てきました。

ここを混同すると判断を誤ります。借りる団地はコスト面の有利さが分かりやすく、買う団地は難易度が一段上がります。
UR賃貸住宅は、礼金・仲介手数料・更新料・保証人がいずれも不要という点が最大の特徴です。入居時に必要なのは敷金2か月分と日割り家賃などで、初期費用を抑えやすい仕組みになっています。UR都市機構は2026年4月時点で全国に約71万戸を管理しています(出典:SUUMO/2026年8月25日確認)。一方で申込みには収入基準があり、たとえば家賃6万円の住戸なら基準となる月収額は24万円(家賃の4倍)です。設備が古い住戸が残っている点も、内見で必ず確認したいところです。
分譲団地は価格が手頃に見えても、住宅ローン・耐震基準・修繕・出口(売りやすさ)の4点で一般的な中古マンションより難易度が上がります。「安いから」だけで決めると、購入後に想定外の費用と制約に直面しやすいのが実情です。次章の5点は、この4つの難所を具体的なチェック項目に落としたものです。

結論として、確認すべきは築年と耐震基準/住宅ローンと控除/電気のアンペア上限/間取りと水回りの制約/管理と修繕積立金の5点です。順に見ていきます。
建築確認が1981年(昭和56年)6月1日以降であれば新耐震基準、それ以前は旧耐震基準にあたります。団地は1960〜70年代に建てられた棟が多く、旧耐震に該当するケースが少なくありません。旧耐震の住戸は、耐震基準適合証明書などがなければ住宅ローン控除の対象外になり得るほか、金融機関の担保評価も厳しくなりやすく、借入期間が短く設定されることがあります(出典:SBI新生銀行/2026年8月25日確認)。売買契約前に、その住戸で住宅ローンが組めるか金融機関に事前相談しておくことが欠かせません。
リフォーム会社の担当者が築古団地でまず確認するのが、その住戸で使える電気の上限です。実際に築45年の団地で契約が20アンペア、建物側の制約から30アンペアまでしか上げられなかったという事例があります。現場の説明では、30アンペアは1〜2人暮らしなら支障が出にくい一方、3人以上で家電を同時に使うとブレーカーが落ちる可能性があるとされています。変更手続き自体は最寄りの電力会社に物件名と住所を伝えれば申し込め、工事は2時間ほど、工事費は無料であることが一般的です(月々の基本料金は上がります)。ただし「そもそも何アンペアまで上げられるのか」は建物の設備で決まるため、内見の段階で必ず確認してください。
団地の多くは壁で建物を支える壁式構造のため、分厚い耐力壁は撤去できません。図面上は広いワンルームにできそうでも、実際には残さざるを得ない壁があります。さらに水回りの移設も難しく、排水管が床から10センチほどの高さで壁を貫通して下階へ抜けている構造では、キッチンや浴室の位置を大きく変えられません。床を40センチ上げれば可能なケースもありますが、その分だけ天井が低くなります。中古平屋購入の完全ガイド|相場・後悔しない選び方のように、間取りの自由度を重視するなら他の選択肢と比較する視点も必要です。
部屋の内側(専有部)は自由に工事できますが、外壁・廊下・エントランスは共用部で、管理と修繕の質は管理組合ごとに大きく異なります。購入前に重要事項調査報告書で、修繕積立金の残高、月額の水準、長期修繕計画の有無、滞納状況、エレベーターの有無を確認してください。積立金は今後上がる前提で家計を組むのが現実的です(参考:マンション修繕積立金の値上げが止まらない理由と自衛策)。
自分が住宅ローンで苦労した物件は、売るときに買い手も同じ苦労をします。築古団地は買い手にローンが付きにくく、現金購入層に限られることで売却期間が長引いたり、価格を下げざるを得なくなったりする可能性があります。永住前提か、10年程度で住み替えるのかによって、選ぶべき物件は変わります。

団地購入の判断は、物件価格だけを見ても答えが出ません。購入価格にリノベーション費用を足した総額で、周辺の中古マンションと比べる必要があります。
実際の工事事例では、築57年・専有面積51.65平方メートルの団地をフルリノベーションして総額約550万円(税抜)、築55年の3DKでは798万円(税込)という金額が公開されています。仕様を落とせば400万円程度からの提案も可能とされる一方、個人が工事業者に直接依頼して60〜70平方メートルをフルリノベーションする場合は最低でも800万円程度はかかる、というのが実務者の見方です。
ここで効いてくるのが資金調達です。リフォームローンは住宅ローンに比べて借入期間が短く金利も高いため、たとえば800万円を10年・年1.475%で借りると毎月の返済は約7.1万円になります。住宅ローンと二重に返済できるかは、事前に必ず試算してください。逆にリノベーション済みの住戸を買えば、工事費が物件価格に含まれ住宅ローンに一本化できます。自分で仕様を決めたいのか、資金計画を優先するのか——ここが実務上の分かれ目です。
賃貸では、UR賃貸住宅のように礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要な分、初期費用と継続コストを抑えやすい傾向があります。分譲の場合は物件価格が抑えめでも、リノベーション費用と今後の修繕積立金を含めた総額で比較する必要があります。「安い」と言い切れるかは物件ごとに変わります。
借りられるケースはありますが、借入期間が短くなったり、審査が厳しくなったりすることがあります。また耐震基準適合証明書などがなければ住宅ローン控除の対象外になり得ます。購入申込みの前に、金融機関へ物件を特定したうえで事前相談することをおすすめします。
完全に自由とはいきません。壁式構造の耐力壁は撤去できず、排水管の位置によってキッチンや浴室の移設も制限されます。プランを描く前に、取れる壁と取れない壁、水回りを動かせる範囲をリフォーム会社に現地で確認してもらうのが確実です。
維持費や広さが生活に合わなくなった場合の住み替え先として、合理的な選択肢になり得ます。ただし戸建ての売却価格、団地の購入・改修費用、住み替え後のランニングコストを並べて比較することが前提です。売却価格の目安が分からないまま動くと、資金計画が崩れやすくなります。
住み替えを具体的に考えるなら、まずは今の住まいがいくらで売れるのかを把握するところからです。売却の目安額が分かれば、団地を含めた選択肢のうちどれが現実的かを数字で比較できます。地価ナビでエリアの相場を確認し、必要に応じて不動産会社の査定や専門家への相談を検討してみてください。