読み込み中...
読み込み中...
2025年度に家を買った人の平均世帯年収は715.9万円、購入した物件の価格は平均4,202.9万円でした(住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」)。世帯年収が700万円台に乗ったのは、この調査で初めてのことです。
この記事でわかること
住宅金融支援機構は2026年7月24日、2025年度の「フラット35利用者調査」の集計結果を公表しました。全国3万5,553件の実際の融資データをもとにした統計で、年に一度だけ更新される、住宅購入者の実像がわかる貴重な資料です。金利が上がり、物件価格も上がり続けるなかで、実際に家を買った人はいくらの年収で、いくら借りて、毎月いくら返しているのか。最新の数字を当サイトが独自に前年度と比較しながら読み解きます。

2025年度の平均世帯年収は715.9万円で、前年度の669.4万円から46.5万円増えました。物件の取得にかかった費用は平均4,202.9万円で、こちらも334.7万円の増加です。年収も物件価格も同時に上がったのが今回の調査の特徴です。
主要な指標を前年度と並べると、変化がはっきり見えてきます。
項目 | 2025年度 | 2024年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
世帯年収 | 715.9万円 | 669.4万円 | +46.5万円 |
物件の取得費用 | 4,202.9万円 | 3,868.2万円 | +334.7万円 |
手持金(自己資金) | 551.2万円 | 486.4万円 | +64.8万円 |
借入額 | 3,357.0万円 | 3,179.1万円 | +177.9万円 |
1か月の返済額 | 12.38万円 | 11.82万円 | +5,600円 |
年収倍率 | 5.9倍 | 5.8倍 | +0.1倍 |
総返済負担率 | 22.8% | 23.2% | -0.4ポイント |
注目したいのは、総返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)が22.8%へと0.4ポイント下がっている点です。価格が上がったのに返済の重さは増えていない、つまり年収の伸びが価格の上昇に追いついた形になっています。ただしこれは「年収が上がった人しか買えなくなった」という裏返しでもあり、平均値の上昇を手放しで喜べる数字ではありません。
平均年齢は43.3歳で、前年度の44.5歳から1.2歳若返りました。調査件数も2万7,523件から3万5,553件へと8,030件増えています。フラット35のような全期間固定金利を選ぶ人が明確に増えたことを示す動きです。
背景にあるのは金利上昇です。日銀は2026年6月に政策金利を1.0%へ引き上げ、変動金利にも段階的に反映が進んでいます(関連記事:日銀1%利上げ|変動金利ローン返済額は月いくら増える?)。返済額が読めない不安から、多少金利が高くても固定を選ぶ層が広がったと考えられます。

平均値だけを見ていると実態を読み違えます。買ったものの種類によって、購入者の年収は580万円から1,040万円まで開いているからです。
買ったもの | 世帯年収 | 物件の取得費用 | 年収倍率 | 1か月の返済額 |
|---|---|---|---|---|
新築マンション | 1,040.6万円 | 5,881.5万円 | 5.7倍 | 15.80万円 |
土地付注文住宅 | 742.2万円 | 5,312.9万円 | 7.2倍 | 15.23万円 |
中古マンション | 744.6万円 | 3,601.7万円 | 4.8倍 | 10.70万円 |
注文住宅 | 718.9万円 | 4,262.1万円 | 5.9倍 | 12.39万円 |
建売住宅 | 680.0万円 | 4,214.8万円 | 6.2倍 | 12.57万円 |
中古戸建 | 580.4万円 | 2,782.5万円 | 4.8倍 | 9.06万円 |
新築マンションを買った人の世帯年収は平均1,040.6万円で、全体平均を325万円近く上回ります。しかも自己資金(手持金)の平均は1,379.3万円。首都圏に限れば購入価額6,721.9万円、自己資金1,634.8万円という水準です。
前年度と比べると、この区分の世帯年収はほぼ横ばい(+1.3万円)なのに、購入価額は289.3万円上がっています。買える層が年収1,000万円クラスに固定化し、その層のなかで価格だけが上がり続けているという構図です。頭金をまとまった額用意できるかどうかが、新築マンションを検討できるかの分かれ目になりつつあります。
今回の調査で最も動いたのは中古マンションです。購入価額は3,032.8万円から3,601.7万円へと568.9万円(約18.8%)上昇し、世帯年収も94.5万円増えました。いずれも6区分のなかで最大の伸びです。
新築の価格に手が届かなくなった層の受け皿が中古マンションになり、その中古も値上がりしている——という流れが数字に表れています。2026年度の税制改正で中古マンションの住宅ローン控除の要件が緩和されたことも、需要を押し上げる要因になりそうです(関連記事:中古40㎡も住宅ローン控除へ|コンパクト購入に追い風)。
6区分のなかで最も購入のハードルが低いのは中古戸建です。世帯年収580.4万円、物件価格2,782.5万円、年収倍率4.8倍、月々の返済額は9.06万円。返済額だけを見れば、都市部の家賃と大きく変わらない水準です。
不動産取引の現場では、予算に限りがある共働き世帯が「新築マンション → 建売 → 中古戸建」と検討対象を移していくケースがよく見られます。ただし中古は購入後の修繕費が読みにくいため、リフォーム費用を含めた総額で比較することが大切です。

同じ「家を買う」でも、エリアによって必要な金額はまったく違います。首都圏とその他地域では、物件価格に1,050万円の差がついています。
エリア | 世帯年収 | 物件の取得費用 | 年収倍率 | 1か月の返済額 |
|---|---|---|---|---|
首都圏 | 761.5万円 | 4,792.3万円 | 6.3倍 | 13.49万円 |
近畿圏 | 695.5万円 | 4,128.2万円 | 5.9倍 | 12.20万円 |
東海圏 | 684.0万円 | 3,783.3万円 | 5.5倍 | 11.58万円 |
その他地域 | 688.3万円 | 3,742.3万円 | 5.4倍 | 11.53万円 |
首都圏の世帯年収はその他地域より73.2万円高い一方で、物件価格の差は1,050万円。年収の差以上に価格の差が開いているため、首都圏では年収倍率が6.3倍まで上がっています。首都圏のマンション市場は高値圏での停滞が続いており、価格と年収のギャップは当面埋まりにくい状況です(関連記事:上半期マンション市場総括|高値圏停滞で売り時は?)。

ここまでの数字はあくまで「実際に買えた人」の平均です。銀行が貸してくれる額と、無理なく返していける額は別物です。平均値を自分に当てはめる前に、次の3点を確認しておくと判断を誤りにくくなります。
住宅ローンの審査では、額面年収に占める年間返済額の割合(返済比率)が見られます。住宅ローンの実務では、返済比率35%以下ならほぼ通り、35〜40%で黄色信号、40%超で厳しくなるというのが一般的な目安とされています。年収倍率に置き換えると、35年ローンなら7.5倍前後まで審査が通る計算です。
さらに審査では、実際に借りる金利ではなく、それより高い「審査金利」でストレスをかけて計算されます。つまり審査に通ることは「返済に余裕がある」ことの証明にはならないということです。
住宅購入に詳しい専門家の多くが指摘するのが、返済比率は額面ではなく手取りで見るべきだという点です。額面年収からは所得税・住民税・社会保険料が引かれるため、額面ベースの比率は実感より軽く見えてしまいます。
実務上の目安としてよく使われるのが、手取りの25%が安全ライン、30%が上限、35%を超えると生活が回らなくなりやすい、という水準です。今回の調査の総返済負担率22.8%は額面ベースの数字なので、手取りに置き換えるとおよそ3割前後になります。平均値そのものが、すでに余裕たっぷりの水準ではないと考えておくのが安全です。
購入時と購入後にかかる費用を計算に入れていない人は少なくありません。不動産のプロが注意点として挙げるのは、次のような費用です。
4,000万円の物件なら、諸費用だけで約320万円の現金が必要になる計算です。今回の調査で自己資金の平均が551.2万円だったことを踏まえると、この水準の現金を用意できるかどうかが購入時期を左右することがわかります。

今回の調査の平均借入額3,357万円を、金利別に試算してみました。金利が違うだけで、毎月の返済額と総返済額は大きく変わります。
金利(35年・元利均等) | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
1.0%(変動金利の水準) | 94,763円 | 約3,980万円 | 約623万円 |
2.0%(将来の上昇を想定) | 111,205円 | 約4,671万円 | 約1,314万円 |
3.14%(フラット35の水準) | 131,831円 | 約5,537万円 | 約2,180万円 |
※当サイト独自試算。借入額3,357万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで計算。金利水準は2026年7月時点の一般的な目安です。実際の返済額は借入条件により異なります。返済計画はファイナンシャルプランナーや金融機関の専門家にご相談ください。
金利1.0%と3.14%では、毎月の返済額で約3.7万円、総返済額では約1,556万円の差になります。変動金利を選んだ場合も、日銀の利上げが返済額に反映されるタイミングが控えています(関連記事:変動金利が上がるのは2026年10月?日銀利上げ反映の備え)。今の金利で組んだ返済額が35年間続くとは限らないことを前提に、上振れした場合の返済額でも家計が回るかを確認しておきたいところです。
2025年度に住宅ローンで家を買った人の平均世帯年収は715.9万円です(住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」)。買ったものによって差が大きく、新築マンションは1,040.6万円、中古戸建は580.4万円となっています。世帯年収なので、共働きの合算収入を含んだ数字です。
審査上は35年ローンで年収の7倍を超えるケースもありますが、2025年度の実際の平均年収倍率は5.9倍でした。実務では、余裕を持って返していくなら5倍前後を目安にする考え方が広く共有されています。返済比率を手取りベースで25%以内に収められるかで判断するのがおすすめです。
2025年度の自己資金の平均は551.2万円でした。これとは別に、物件価格の約8%にあたる諸費用を現金で用意する必要があります。頭金を物件価格の1割以上入れると融資の条件が有利になる商品もあるため、余裕がある場合は検討する価値があります。
2026年7月24日に公表された最新調査から見えてきたポイントを整理します。
平均値は目安にはなりますが、目標ではありません。大切なのは、自分の手取りと生活費から逆算した返済額で無理のない予算を組むことです。まずは検討しているエリアの相場を確認し、そのうえで具体的な資金計画を立てていきましょう。