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ハザードマップの浸水想定区域「外」でも、水害に遭う可能性は十分にあります。令和8年8月千葉豪雨(2026年8月13〜14日)では、浸水被害に遭った人の55.7%が、想定区域や低い土地の「外」で被災したと報告されました。「マップが白だから安心」という思い込みは、物件選びで見直す必要があります。
この記事でわかること
2026年8月13〜14日、千葉県を中心に線状降水帯などによる記録的な大雨が発生し、気象庁は8月14日にこれを「令和8年8月千葉豪雨」と命名しました。大雨・土砂災害の両方でレベル5の特別警報が出るのは、2026年5月に防災気象情報の運用が見直されてから初めて。避難指示は一時40万人を超え、住宅被害は少なくとも178棟にのぼりました。そこで浮かび上がったのが、「ハザードマップの安全地帯」で起きた浸水という新しい現実です。

今回の豪雨で注目されたのは、被害の分布です。ウェザーニューズが浸水被害の報告 約2万件を分析したところ、被害の55.7%が「浸水想定区域や低位地帯の外」から寄せられ、想定区域内は44.3%にとどまりました(出典:ウェザーニュース)。つまり、ハザードマップ上で色がついていない場所でも、半数以上が浸水を経験したことになります。市原市では2019年の台風で浸水した地域が再び被害を受けるなど、都市部の住宅地で被害が目立ちました。
区域外でも浸水が広がった主因は、川の氾濫(外水)ではなく内水氾濫です。一般的な下水道の排水能力は1時間あたり約50mmとされますが、今回は1時間100mmを超える猛烈な雨が降り、その約2倍の雨量で排水が追いつきませんでした。結果、マンホールから雨水が逆流し、千葉市中央区・柏市・八千代市ではアンダーパスが冠水して車が水没、千葉駅周辺でも道路が浸水しました。内水氾濫は川から離れた土地でも起こるため、「近くに大きな川がないから大丈夫」とは言い切れません。

洪水ハザードマップは有効なツールですが、それ「だけ」では見落としが生まれます。物件を検討するときは、次の3つを重ねて確認するのが実務的です。
洪水ハザードマップは、主に河川が氾濫する想定最大規模のケースを描いたものです。一方、下水の排水が追いつかない内水氾濫は反映されにくいため、内水ハザードマップを別に確認する必要があります。内水リスクの調べ方は、内水ハザードマップの見方を解説した記事もあわせてご覧ください。
ハザードマップが「将来の予測・注意喚起」であるのに対し、浸水実績図は「過去に実際に浸水したエリア=事実」を示す資料です。品川区・大田区など、自治体によっては住所単位で公開しています。ただし、実績があっても、その後に雨水調整池などの治水対策が進んで改善した地域もあります。実績の有無だけで機械的に判断せず、対策の状況もあわせて確認しましょう。
市区町村の防災課・危機管理室では、丁目単位で過去の浸水履歴を教えてもらえることがあります。まずは全国の情報をまとめた国土交通省のハザードマップ関連ページで概況を押さえ、気になる物件は役所で個別に確認するのが確実です。

資料の確認に加えて、現地と契約手続きでできるチェックがあります。「区域外=安全」でも「区域内=即NG」でもないという前提で、総合的に判断しましょう。
川沿い・周囲より低い土地・旧河川を暗渠化した遊歩道沿い・行き止まりの道路などは、水が集まりやすい傾向があります。半地下や地下室のある物件、道路より低い1階は内水氾濫時に浸水・下水逆流のリスクが高めです。現地では、エアコンの室外機や電気メーターが不自然に高い位置にある場合、過去の浸水対策の名残であることもあります。
2020年8月から、宅地建物取引業者は売買・賃貸の重要事項説明で、水害ハザードマップ上の対象物件の位置を示すことが義務づけられています。区域外でも位置は示されるので、その場で内水や過去の浸水実績についても質問しましょう。水害物件の告知や見抜き方は水害物件の告知義務を解説した記事が参考になります。
区域外でも内水氾濫で床上・床下浸水は起こりえます。保険料を抑えるために水災補償を外していると、いざというとき補償を受けられません。契約中の保険は水災補償が付いているかを確認しましょう。保険料の動向は火災保険の値上げを解説した記事で触れています。
いいえ、安心とは限りません。区域外でも内水氾濫で浸水することがあり、令和8年8月千葉豪雨では被害の55.7%が想定区域や低地の「外」で発生しました。洪水マップに加えて、内水ハザードマップ・浸水実績図・過去の浸水履歴を重ねて確認するのが安全です。
一律に避ける必要はありません。過去に浸水した地域でも、雨水調整池などの治水対策で状況が改善したケースがあります。実績・対策・地形を総合的に見て判断し、不安があれば地域に詳しい不動産会社に相談するとよいでしょう。
ハザードマップは頼れる出発点ですが、それだけを見て「安全」と判断するのは早計です。物件を決める前に複数の資料を重ねて確認し、判断に迷うときは地域の水害リスクに詳しい専門家に相談してみてください。