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タワマンが乱立するのは、容積率の緩和・共用部の容積率不算入・総合設計制度(公開空地)・再開発という「高さ規制緩和」が積み重なってきたからです。広い敷地に一度で数百〜1000戸超を建てられるようになり、湾岸を中心に超高層が林立しました。
この記事でわかること
2026年6月、弁護士JPニュースなどで「タワマン乱立の背景には高さ規制の大幅緩和と、行政のデベロッパー寄りな再開発がある」との指摘が話題になっています。経済成長の象徴に見える超高層群ですが、実は国や自治体の意図的な規制緩和がもたらした結果という見方です。この記事では「なぜ増えたのか」と「買う・住む側が知るべきリスク」を整理します。

タワマンが乱立する直接の理由は、1990年代半ば以降に進んだ高さ規制の緩和です。複数の制度が重なり、同じ敷地に「より高く・より多く」建てられるようになりました。
まず大きいのが容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)の緩和です。都市計画や再開発の各種法規制が見直され、東京湾岸エリアでは従来200%程度だった容積率が400%・600%へと軒並み引き上げられました。さらに1997年の建築基準法改正で共同住宅の廊下・階段・ホールなどの共用部分が容積率に算入されなくなり、2002年の改正でも住宅系建築物の容積率が緩和されています。
もう一つの鍵が総合設計制度です。総合設計制度とは、一定規模以上の敷地に「公開空地」を設けることで、容積率制限や高さ制限の緩和を受けられる仕組みです。公開空地とは、一般の人が自由に通行・利用できるオープンスペースのこと。デベロッパーは公開空地を整備する代わりに、より高い建物を建てる「ボーナス」を得られます。こうした容積率緩和・共用部不算入・総合設計制度(公開空地ボーナス)・再開発が積み重なった結果、広い敷地に一度で数百〜1000戸超を供給できるようになり、湾岸を中心にタワマンが林立しました。

2026年6月に話題となっているのは、こうした規制緩和が「行政のデベロッパーファースト(開発事業者優先)ではないか」という批判です。行政が積極的に高さ規制を外し、民間が開発しやすいよう誘導しているとの見方があります。
論点の中心は「街の価値」のとらえ方の違いです。デベロッパーは不動産の価値を「縦」(高さ・床面積)で稼ごうとしますが、本来の街の価値は「横」(街並みの連続性・コミュニティ・景観)で測るべきだ、という指摘です(出典:弁護士JPニュース)。実際、隣接地に後発のタワマンが建ち「眺望を阻害された」として住民が提訴する紛争も各地で起きています。一度に数百戸超が供給されれば、小学校や交通などインフラへの負荷も無視できません。
一方で揺り戻しの動きもあります。東京都中央区は定住人口を呼び込むための容積率緩和制度を撤廃し、神戸市は都心部のタワマン供給を抑える規制を導入しました。緩和一辺倒だった流れが、自治体レベルで見直され始めている段階といえます。

乱立の先に控えるのが、供給過多と将来の維持・建替えの難しさです。買う側・住む側は、ここを冷静に見ておきたいところです。
供給面では、全国で2040年頃までタワマンの建設・計画が増える見込みで、空室や賃貸化といった非居住化も指摘されています。価格はすでに調整局面に入りつつあり、都心マンションでは在庫増や下落の動きも出ています(関連記事:都心マンション73カ月ぶり下落!3区-20.3%は買い時か)。
維持費の負担はさらに重い論点です。一般的なマンションの大規模修繕費が1戸あたり約110万円なのに対し、タワマンは185万〜230万円程度かかる例もあります。国土交通省の調査では、段階的に積立額を上げる方式のマンションで、計画当初から最終年まで修繕積立金が平均約3.58倍に値上がりした事例が報告されています。組合の約4割が積立不足という報道もあり、タワマンを買うなら価格だけでなく、長期修繕計画と修繕積立金の積立状況・大規模修繕の履歴を必ず確認したいところです。
建替えのハードルも高めです。建替え決議には区分所有者の5分の4以上の賛成が必要で、戸数が多く投資・賃貸目的の所有者が多いほど合意形成は難しくなります。なお、こうした合意形成の負担を軽くする法改正も進んでいます(関連記事:老朽マンション建替えが「4分の3」で可能に!区分所有法改正2ヶ月で何が変わった)。
タワマン乱立の背景と、買う・住む側が押さえるべきポイントを整理します。
華やかに見えるタワマンも、築30年以降の修繕・建替えはまだ十分に経験されていない領域です。購入や周辺への影響が気になる場合は、規制緩和の背景まで踏まえて、長期目線で判断することをおすすめします。