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2026年公示地価は、大阪府が商業地+8.17%(浪速区は+15.53%で大阪府内トップ)、福岡県は商業地+5.2%で11年連続の上昇を記録しました。
この記事でわかること
国土交通省が2026年3月に公表した地価公示データから、大阪府・福岡県の2026年地価動向を市区町村レベルまで掘り下げて整理したのが本記事です。両府県はいずれも西日本を代表する広域拠点都市であり、全国平均を上回る上昇率を記録している点は共通していますが、地価を押し上げている理由は対照的です。大阪はインバウンド需要と大型再開発が主導する短中期集中型の上昇、福岡は人口流入と企業集積という実需に支えられた10年超の持続型上昇という、性格の異なる2つの事例として読み比べる価値があります。
「大阪はミナミばかり話題になるけれど他の区はどうなのか」「福岡はいつまで上がり続けるのか」——こうした疑問に応えるため、大阪府の地価推移・最新地価情報と福岡県の地価推移・最新地価情報の元データとなる2026年公示地価を市区町村単位まで分解し、当サイト独自の表とグラフに落とし込みました。名古屋・中京圏の動向は対象外としており、こちらは愛知・岐阜・三重の地価2026|中京圏製造業エリアの最新動向と注目エリアで別途詳しく取り上げています。
この2府県をあえて1本の記事で扱うのは、上昇局面の「持続力」が対照的だからです。大阪の上昇はインバウンド回復とうめきた2期のような大型再開発という比較的新しい追い風に支えられており、今後の伸びしろは開発の進捗次第で変わります。一方の福岡は10年以上にわたり途切れず上昇が続いており、一過性のブームでは説明のつかない構造的な強さがあります。購入・投資を検討する際に重視すべきポイントは府県ごとに異なるため、それぞれの背景を踏まえたうえで読み進めることをおすすめします。

2026年公示地価の結果を見ると、大阪府は住宅地+2.66%・商業地+8.17%、福岡県は住宅地+3.57%・商業地+5.00%でした。全国全用途平均が前年比+2.8%(出典:国土交通省 地価公示)であるのに対し、大阪府は商業地に上昇が偏っているのが特徴で、福岡県は住宅地・商業地の両方が全国水準を上回る形でバランスよく伸びています。
当サイトが2026年公示地価データを独自集計した結果は下表の通りです。
都道府県 | 住宅地平均(円/㎡) | 住宅地変動率 | 商業地平均(円/㎡) | 商業地変動率 |
|---|---|---|---|---|
大阪府 | 165,510 | +2.66% | 1,315,902 | +8.17% |
福岡県 | 121,702 | +3.57% | 644,054 | +5.00% |
全国平均(全用途) | ― | +2.8% | ― | +2.8% |
大阪府は商業地の平均単価が131万5,902円/㎡と、住宅地(16万5,510円/㎡)の約8倍に達しており、インバウンド需要と再開発によって商業地に上昇が集中していることがうかがえます。福岡県は商業地の変動率が公式発表で+5.2%と、11年連続で上昇を続けている点が最大の特徴です(出典:福岡県「令和8年地価公示」)。前年(+6.5%)からは伸び率が縮小したものの、依然として全国平均を大きく上回る水準を維持しています。
当サイトが大阪市24区・福岡市7区の公示地価データをすべて突き合わせたところ、住宅地・商業地とも下落地点はゼロ(大阪市24区60行・福岡市7区16行すべてがプラス)という結果でした。一部エリアだけが伸びている局所的な上昇ではなく、両都市とも中心部から郊外区まで面的に地価が押し上げられている点は、他の地方都市にはあまり見られない特徴です。ただし上昇率には区ごとに大きな差があり、内訳を見ずに「大阪市・福岡市はどこも同じくらい上がっている」と判断するのは早計です。次章から、上昇率の内訳を区・市単位で詳しく見ていきます。
ただし府県単位の平均だけを見ると、上昇の実態を見誤りやすい点には注意が必要です。大阪府の伸びを支えているのは大阪市中央区・浪速区・西区といった「キタ」「ミナミ」の一部エリアで、堺市や北摂・泉州の郊外部はそれよりだいぶ緩やかな動きです。福岡県も福岡市都心5区(博多区・中央区・早良区・西区・城南区)が数値を大きく押し上げる一方、北九州市・久留米市など県北部・南部の中核市はほぼ横ばいで推移しています。次章からは、この内訳を市区町村単位まで分解して見ていきます。全国47都道府県のランキングは2026年公示地価を徹底解説|全国47都道府県ランキングと上昇・下落エリアで確認できます。

大阪市24区のうち商業地の上昇率が最も高いのは浪速区(+15.53%)で、住宅地でも+10.9%と大阪市内トップクラスの伸びを記録しました。個別地点では中央区道頓堀1丁目(なんば駅前)が前年比+25.00%・950万円/㎡と、大阪府内で最も高い上昇率を記録しています(出典:ダイヤモンド不動産研究所「大阪府の公示地価・坪単価ランキング2026」)。
当サイトが大阪市24区のうち上昇率上位5区と堺市の公示地価データを独自集計した結果は下表の通りです。
区 | 住宅地平均(円/㎡) | 住宅地変動率 | 商業地平均(円/㎡) | 商業地変動率 |
|---|---|---|---|---|
浪速区 | 541,000 | +10.90% | 914,100 | +15.53% |
西区 | 956,000 | +10.55% | 1,810,225 | +14.44% |
福島区 | 542,714 | +8.29% | 1,247,813 | +14.98% |
中央区 | 772,667 | +8.40% | 4,651,536 | +14.73% |
北区 | 621,000 | +9.09% | 4,556,207 | +13.84% |
堺市堺区 | 192,300 | +3.64% | 411,500 | +6.28% |
浪速区は「ミナミ」の中心である日本橋・難波エリアを擁し、インバウンド観光客向け店舗・ホテル需要の急拡大が地価を押し上げています。商業地の最高価格地点は日本橋4丁目で1㎡あたり165万円に達しました(出典:国土交通省 地価公示、当サイト集計)。中央区は道頓堀・心斎橋・宗右衛門町といった大阪を代表する繁華街を含み、商業地の最高価格地点は宗右衛門町で1㎡あたり2,500万円と大阪市内で突出した水準にあります。前述の道頓堀1丁目(+25.00%)のように、個別地点では区の平均を大きく上回る上昇も見られ、なにわ筋線(2031年開業予定)に向けた先行評価も加わっています。
西区・福島区は「うめきた2期(グラングリーン大阪)」の開業効果が波及しているエリアです。JR大阪駅前の再開発により、隣接する西区・福島区でもマンション需要・オフィス需要が急拡大し、商業地はいずれも+14%台の高い伸びを記録しました。北区はうめきた2期そのものを含むエリアで、商業地平均単価455万6,207円/㎡と大阪市内でも中央区に次ぐ高水準です。堺市堺区は大阪府第2の都市として底堅い需要はあるものの、住宅地+3.64%・商業地+6.28%と大阪市中心部に比べると上昇幅は緩やかで、区によって明暗が分かれています。
地価の上昇は賃貸相場にも波及しており、当サイトの集計では大阪府の平均賃料は月額5万9,778円です。大阪市内の駅近エリアほど上振れが目立ち、国内外の投資家からの引き合いが強い状況です。投資目的で検討する場合、インバウンド依存度が高いミナミ(浪速区・中央区)と、再開発効果を享受しつつあるキタ隣接エリア(西区・福島区)とでは、期待できるリターンとリスクの中身が異なる点を押さえておきましょう。

大阪府全体の地価が上昇を続けている背景には、複数の要因が重なっています。第一にインバウンド需要の急回復で、円安を背景とした海外観光客の増加が、ミナミ(難波・心斎橋)を中心とした商業地需要を押し上げています。第二に大型再開発で、うめきた2期(グラングリーン大阪)の開業により、キタエリア一帯のオフィス・商業需要が拡大しました。第三になにわ筋線の開業計画(2031年予定)で、新駅周辺エリアでは先行的な地価上昇が続いています。実務上、多くのケースで見られるのは、こうした複数の上昇要因が同時並行で進んでいるため、大阪府の地価は一時的なブームではなく構造的な上昇局面にあるという点です。ただし、インバウンド需要への依存度が高いエリアほど、為替変動や国際情勢の影響を受けやすいという側面もあるため、購入・投資を検討する際はこの点も踏まえておく必要があります。

福岡県の商業地は2026年も11年連続で上昇(+5.2%)を記録しました。前年(+6.5%)からは伸び率が縮小したものの、依然として全国トップクラスの水準です。福岡市に限れば商業地は+9.0%・14年連続の上昇で、都心5区のうち早良区・西区が特に高い伸びを見せています(出典:福岡県「令和8年地価公示」)。
当サイトが福岡市7区のうち上昇率上位区と周辺市の公示地価データを独自集計した結果は下表の通りです。
区・市 | 住宅地平均(円/㎡) | 住宅地変動率 | 商業地平均(円/㎡) | 商業地変動率 |
|---|---|---|---|---|
早良区 | 270,934 | +7.39% | 729,811 | +10.15% |
西区 | 162,348 | +7.93% | 389,000 | +10.08% |
博多区 | 272,969 | +7.42% | 2,195,521 | +8.98% |
中央区 | 592,864 | +6.62% | 2,510,963 | +8.25% |
大野城市 | 159,881 | +5.05% | 329,333 | +6.85% |
太宰府市 | 94,858 | +4.89% | 311,500 | +9.82% |
春日市 | 168,643 | +4.08% | 367,500 | +9.23% |
中央区は「天神ビッグバン」プロジェクトの中心地であり、商業地最高価格地点は天神1丁目「One Fukuoka Building」で1㎡あたり1,240万円と、九州で最も高い水準を28年連続で維持しています(前年比+2.5%、出典:国土交通省 地価公示、当サイト集計)。博多区も「博多コネクテッド」の再開発が進み、博多駅前3丁目周辺を中心に商業地が高水準で上昇しています。
早良区・西区は福岡市内でもとりわけ伸びが大きいエリアです。早良区は西新エリアを中心に商業地+10.15%と福岡市内トップの上昇率を記録し、住宅需要も旺盛です。西区は姪浜駅南エリアを中心に住宅地+7.93%と福岡市内トップで、九州大学移転効果や海が近い住環境の人気を背景に、ファミリー層・学生層の流入が続いています。
福岡市中心部のベッドタウンである大野城市・太宰府市・春日市もそろって全国平均を大きく上回る上昇を見せました。大野城市は工業地+12.15%と高水準で、物流拠点としての土地需要も底堅く推移しています。太宰府市は観光需要とベッドタウン需要の両方を背景に商業地+9.82%、春日市も福岡市中心部へのアクセスの良さから商業地+9.23%と、いずれも高い伸びを記録しています。
賃貸相場も緩やかな上振れ傾向にあり、当サイトの集計では福岡県の平均賃料は月額5万1,895円です。特に福岡市中心部の駅・幹線道路沿いは、県外からの移住者や単身赴任者向けの需要が根強いエリアです。投資対象として福岡を検討する場合、再開発の恩恵を直接受ける都心区(中央区・博多区)と、人口流入という実需に支えられたベッドタウン(大野城市・太宰府市・春日市)とでは、期待できるリターンの中身が異なる点を理解しておきましょう。

福岡県の地価が11年連続で上昇している最大の要因は、人口動態にあります。福岡市は東京圏・大阪圏への転出よりも転入が多い数少ない政令指定都市であり、IT・スタートアップ企業の集積による高所得者需要が住宅地・商業地双方を下支えしています。もう一つの要因は大規模再開発で、天神ビッグバン・博多コネクテッドという2つの都心再開発プロジェクトが、それぞれ天神・博多駅周辺の商業地需要を押し上げています。さらに九州大学の移転(伊都キャンパス)や、周辺市への通勤・通学圏の拡大も、早良区・西区・大野城市など都心周辺エリアへの需要を後押ししている一因です。実務上、多くのケースで見られるのは、福岡県の商業地上昇率が前年(+6.5%)からやや縮小しているものの、11年という長期にわたり上昇基調が続いている点で、一時的なブームではなく構造的な上昇局面にあると評価できます。ただし、天神ビッグバン・博多コネクテッドの完成が近づくにつれて、再開発による押し上げ効果は徐々に一巡していく可能性があり、今後は人口流入という実需の持続力がより重要になってくると考えられます。

公示地価はあくまで毎年1月1日時点の標準地を対象にした評価額であり、実際の売買金額とは一定のズレが生じます。そこで当サイトでは、国土交通省「不動産情報ライブラリ」が公開する宅地取引の個別データを大阪市中央区・福岡市中央区について抽出し、2025年7〜12月期分を独自に集計しました。大阪市中央区は取引10件の㎡単価の中央値が114万5,000円、福岡市中央区は取引28件の中央値が61万円という結果になっています(出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ)。
この中央値を公示地価と突き合わせると、大阪市中央区(114万5,000円/㎡)は商業地平均(465万1,536円/㎡)には遠く及ばない一方、住宅地平均(77万2,667円/㎡)は上回っており、住宅地寄りの取引が中央値を形成していると推測できます。福岡市中央区(61万円/㎡)は住宅地平均(59万2,864円/㎡)とほぼ同水準で、大濠公園周辺のような住宅地取引が母集団の中心にあると考えられます。なお公示地価は毎年1月1日時点の調査であるため、上昇が続いているエリアでは発表から半年〜1年ほど実勢価格に遅れて反映される傾向があります。大阪市中央区・福岡市中央区のように短期間で伸びが大きいエリアほど、このタイムラグを踏まえて直近の取引データを確認しておくと、価格交渉の場で「今の相場感」とのズレに気づきやすくなります。取引事例を自分で調べたい場合は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で検索できます。

大阪府と福岡県は上昇要因がまったく異なるため、購入・売却いずれの場合も、エリアごとの特性を踏まえた判断が重要です。
大阪・福岡とも上昇率の高さばかりが強調されがちですが、実際に伸びているのは浪速区・中央区、福岡市中央区・博多区といった限られたエリアです。同じ市区内でも立地条件ひとつで査定額の差は大きく、1社の査定結果や1つのポータルサイトの相場情報だけを鵜呑みにするのは避けたいところです。大阪はインバウンド動向、福岡は再開発の進捗と人口流入という、それぞれ異なる事情を理解した地元業者に相談できるかどうかが査定精度を左右します。複数社への相談と公示地価・実勢データの突き合わせを組み合わせて、納得のいく判断につなげてください。
今回は大阪・福岡の2府県に絞って深掘りしましたが、名古屋・中京圏の地価動向は愛知・岐阜・三重の地価2026|中京圏製造業エリアの最新動向と注目エリア、関西の京都・神戸は京都・神戸の地価2026|関西住宅市場と注目エリア解説で詳しく解説しています。47都道府県を横断した順位は2026年公示地価を徹底解説|全国47都道府県ランキングと上昇・下落エリアにまとめています。
インバウンド観光需要の急回復と、うめきた2期(グラングリーン大阪)・なにわ筋線といった大型再開発・インフラ整備が重なっているためです。2026年公示地価では商業地+8.17%(浪速区は+15.53%)と全国トップ水準の上昇を記録しました。
福岡県商業地は2026年で11年連続の上昇となりましたが、前年(+6.5%)からは伸び率が縮小しています。天神ビッグバン・博多コネクテッドの完成が近づくにつれて再開発による押し上げ効果は一巡していく可能性があり、今後は人口流入という実需の持続力が上昇継続のカギを握ります。
上昇率で比較すると、2026年公示地価は大阪府(商業地+8.17%)が福岡県(商業地+5.00%)を上回っています。ただし福岡県は11年連続、福岡市に限れば14年連続の上昇と、長期にわたり安定して上昇が続いている点が特徴です。
国土交通省「不動産情報ライブラリ」を使えば、市区町村単位の公示地価を地図上で無料閲覧できます。エリアを絞り込んで比較したいときに使いやすいツールです。実勢価格(実際の取引価格)を知りたい場合も、同じサイトの取引事例検索から確認できます。
当サイトが2025年7〜12月期のREINFOLIB実取引データを集計した結果では、大阪市中央区の宅地(土地)取引価格の中央値が114万5,000円/㎡、福岡市中央区は61万円/㎡でした。大阪市中央区の方が高水準で、これは公示地価の商業地平均を比べても同様の傾向です(大阪市中央区465万1,536円/㎡、福岡市中央区251万963円/㎡)。
名古屋を含む中京圏(愛知・岐阜・三重)は愛知・岐阜・三重の地価2026|中京圏製造業エリアの最新動向と注目エリア、関西の京都・神戸は京都・神戸の地価2026|関西住宅市場と注目エリア解説で詳しく解説しています。全国の地価動向は2026年公示地価を徹底解説|全国47都道府県ランキングと上昇・下落エリアをご参照ください。
投資用不動産として保有する場合、大阪と福岡ではリスクの質が異なります。大阪はインバウンド需要への依存度が高く、為替の変動や訪日客数の増減が収益を左右しやすいエリアです。福岡は人口流入という実需に支えられているとはいえ、天神ビッグバン・博多コネクテッドの完成後は再開発効果そのものが一巡するため、その後も賃貸需要が維持されるかを見極める必要があります。いずれの府県も、公示地価の上昇率だけで判断せず、賃貸需要の厚みと将来の人口動態を合わせて確認したうえで投資判断を行うことをおすすめします。
天神ビッグバンは福岡市が天神地区で進めている大規模な都心再開発プロジェクトで、容積率緩和による高層ビルへの建て替えを促進し、オフィス・商業機能を強化する取り組みです。うめきた2期(グラングリーン大阪)は大阪駅前の梅田貨物駅跡地を再開発した大型プロジェクトで、公園や商業施設、オフィス・住宅棟が段階的に開業しています。いずれも周辺エリアの地価上昇を牽引する主要因の一つとなっています。
大阪は再開発とインバウンドが牽引する短中期型、福岡は人口流入に支えられた長期持続型と、上昇のメカニズムはまったく異なります。府県単位の平均だけを鵜呑みにすると実態を見誤りやすいため、浪速区・中央区、福岡市中央区・博多区・早良区のように、区や市の単位まで踏み込んで相場を確認することが欠かせません。賃貸需要や今後の人口動態も合わせて見極めたうえで、気になるエリアが固まったら地元の不動産会社にも相談してみることをおすすめします。