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2026年8月の首都圏新築分譲マンション平均価格は9,770万円で、4カ月ぶりに1億円を下回りました。ただし主因は7月に単月最高を記録した反動と、発売戸数が前年同月比12.4%・前月比46.9%減という供給の落ち込みです。
この記事でわかること
不動産経済研究所が2026年9月17日に発表した8月の首都圏新築分譲マンション市場動向で、平均価格が9,770万円となり、4月以来4カ月ぶりに1億円を下回りました。テレビや新聞では「1億円割れ」という見出しが並び、値ごろ感が戻ったように見えるかもしれません。しかし中身を見ると、7月に記録的高騰を演出した港区の大型物件供給が一巡した反動に加え、発売戸数の急減・契約率の低下・在庫の積み上がりという、必ずしも歓迎できない材料が重なっています。数字の裏側を確認していきましょう。

結論から言えば、8月の首都圏新築分譲マンションは平均価格・㎡単価ともに前年同月比で下落しました。1戸当たり平均価格は9,770万円(前年同月比555万円・5.4%ダウン)、1㎡当たり単価は144.4万円(同14.4万円・9.1%ダウン)です。
エリア | 8月の平均価格 | ㎡単価 | 前年同月比(価格) |
|---|---|---|---|
首都圏 | 9,770万円 | 144.4万円 | −5.4% |
東京23区 | 1億3,821万円 | 212.2万円 | +0.1% |
東京都下 | 6,678万円 | 96.1万円 | +2.5% |
神奈川県 | 7,309万円 | 108.0万円 | +10.6% |
埼玉県 | 6,840万円 | 98.6万円 | +15.6% |
千葉県 | 6,702万円 | 94.8万円 | +9.1% |
出典:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向(2026年8月)」(2026年9月17日発表)
注目したいのは、首都圏全体の平均価格が下がる一方で、東京23区の平均価格は1億3,821万円と前年同月比でわずかに上昇(+0.1%)している点です。都心の高額物件の値位置自体は下がっておらず、下落は主に神奈川・埼玉・千葉の価格上昇ペースが穏やかだったこと、そして高額な23区物件の供給戸数そのものが減ったことによる構成変化が影響しています。市場全体の流れは上半期マンション市場総括|高値圏停滞で売り時は?でも解説しています。

1億円割れの主因は、価格そのものが実需の水準まで下がったことではなく、7月に平均を押し上げた特殊要因が一巡し、かつ8月の供給量自体が大きく絞られたことです。
8月の首都圏発売戸数は1,140戸で、前年同月比12.4%減・前月(7月2,145戸)比では46.9%減という急ブレーキがかかりました。地域別では東京23区が478戸(前年同月比30.7%減)、神奈川県が140戸(同37.8%減)と大幅に減少しています。都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)に限ると217戸・平均1億8,113万円で、前年同月(145戸・平均2億4,211万円)と比べても供給・価格ともに縮小しました。
7月に平均を1億6,493万円まで押し上げたのは港区の大型・高額物件の集中供給という一時的な要因でした(詳細は前回記事で解説)。8月はその反動に加えて高額物件そのものの供給が細ったため、平均値が急速に下がって見えているというのが実態です。実務の現場では「単月の発売戸数と平均価格はセットで見る」のが基本で、供給が減った月の平均下落を単純に「値下がり」と読むのは早計です。

価格以上に注目すべきなのが契約率です。首都圏全体の初月契約率は61.1%で、前年同月比4.0ポイント・前月(69.5%)比8.4ポイントのダウンとなりました。不動産経済研究所は一般に契約率70%を好不調の目安としており、8月はその水準を下回っています。
エリア | 初月契約率 | 前年同月比 | 発売戸数 前年同月比 |
|---|---|---|---|
首都圏 | 61.1% | −4.0pt | −12.4% |
東京23区 | 72.4% | +8.1pt | −30.7% |
東京都下 | 15.0% | −57.7pt | −1.7% |
神奈川県 | 69.3% | +7.5pt | −37.8% |
埼玉県 | 53.9% | +5.6pt | +17.2% |
千葉県 | 70.0% | −6.4pt | +100.8% |
出典:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向(2026年8月)」(2026年9月17日発表)
際立つのは東京都下で、初月契約率が前年同月比57.7ポイントも下落し15.0%にとどまった点です。発売戸数自体は前年並み(173戸・1.7%減)にもかかわらず売れ行きが鈍く、供給と需要のミスマッチが起きているとみられます。一方、東京23区は供給が3割減った代わりに契約率が72.4%まで改善し、埼玉・千葉は供給が増えても契約率50〜70%台を保っています。同じ「1都3県」でもエリアごとの需給差はこれだけ大きく、首都圏全体の平均だけでは実態をつかめません。

在庫の積み上がりも見逃せません。8月末時点の販売在庫数は6,610戸で、前月末(6,597戸)比13戸増と、3カ月連続の増加になりました。前年同月末(5,715戸)と比べると895戸多く、売れ残りが緩やかに積み上がっている状況がうかがえます。
供給側は9月の発売戸数を1,500戸程度と予測しており、前年同月(1,908戸)・前々年(1,830戸)を下回る水準です。デベロッパー各社が高騰した建築費に見合う価格を維持しようと供給を絞る一方で、契約率は伸び悩み、在庫は増える——という「価格は高止まりだが売れ行きは鈍い」局面に入りつつあると読めます。フラット35登録物件は909戸(全体の79.7%)で、住宅ローン利用を前提とした実需層向けの物件が引き続き主流であることも確認できます。中古市場でも成約件数の減少が続いており、詳細は中古マンション成約4カ月連続減|動かない今の相場で解説しています。

「1億円割れ」の見出しだけで安心せず、自分の検討エリアの需給に置き換えて考えることが重要です。具体的には次の3点を実行してください。
在庫が増えている局面では、売り出し当初の価格から時間が経つほど値引き余地が生まれるケースもあります。焦って高値づかみをしないためにも、複数物件・複数月のデータを比較する姿勢が欠かせません。
2026年8月の統計上の平均価格は9,770万円で、4月以来4カ月ぶりに1億円を下回りました。ただし東京23区の平均は1億3,821万円で前年同月からわずかに上昇しており、都心の物件価格自体が下がったわけではありません。
建築費や人件費の高騰で採算の合う開発案件が絞られていることに加え、7月に大型物件の供給が集中した反動で、8月は前月比46.9%減という急減となりました。東京23区・神奈川県では前年同月比でも3割以上の減少です。
販売在庫数は8月末で6,610戸と3カ月連続で増加しており、供給に対して契約が追いついていない物件が積み上がっている可能性があります。特に東京都下は契約率が15.0%まで落ち込んでおり、注意が必要です。
建築費上昇が続く限り新築価格が大きく下がる可能性は高くありませんが、契約率が鈍いエリアでは条件交渉の余地も出てきています。市場全体ではなく自分の検討エリアの在庫・契約率で判断することが重要です。その判断を金額に置き換える方法は今買う vs 1年待つ|金利上昇局面の住宅購入タイミングを試算で試算しています。
市場全体の方向感を確認したい方は2026年不動産価格の見通し|三極化する市場の読み方と売買タイミングもあわせてご覧ください。数字の見出しに一喜一憂せず、エリアごとの需給を確認したうえで、無理のない資金計画を立てることが失敗を防ぐ一番の近道です。