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2026年7月10日閣議決定の令和8年版「土地白書」は、低未利用土地の利活用を特集しました。利用されていない土地の41.8%が「管理が行き届いていない」とされ、「行き届いている」の41.5%を上回っています。
この記事でわかること
「実家の土地を相続したが、住む予定も売る当てもない」という悩みは、いまや全国的な現象になっています。国は毎年6月から7月にかけて土地白書を閣議決定していますが、2026年版がわざわざ特集に据えたのが、まさにこの「使われていない土地」でした。地価が上がっているというニュースの裏で何が起きているのか、そして持ち主に何ができるのかを整理します。

低未利用土地とは、実際に利用されていない土地や、周辺の同じような土地と比べて利用の程度が著しく低い土地のことです。空き地や、使われないまま放置された古家付きの土地などが該当します。令和8年版土地白書は、この低未利用土地の増加を本年の特集に据えました。
白書が示した主な数値は次のとおりです。
指標 | 数値 |
|---|---|
地価公示(2026年1月1日時点) | 全用途平均・住宅地・商業地とも5年連続上昇 |
令和7年の土地売買による所有権移転登記件数 | 全国 約130万件(ここ10年ほぼ横ばい) |
令和7年の新設住宅着工戸数 | 約74.1万戸(前年比 -6.5%) |
令和8年度の企業の土地投資額計画 | 全産業 4兆2,879億円(前年度比 -14.7%) |
利用していない土地の管理状況 | 「管理が行き届いていない」41.8% /「行き届いている」41.5% |
出典:国土交通省「令和8年版『土地白書』について」(2026年7月10日閣議決定)。データ取得日:2026年7月22日
ここで読み取るべきは、地価は5年連続で上昇しているのに、土地取引の件数は10年間ほぼ横ばいだという点です。つまり値上がりしているのは動きのある一部の土地であって、動かない土地は動かないまま置かれています。実際、同じ県の中でも上昇する地点と下落する地点が同居していることは、山陰・山口の地価2026|松江+7%と津和野-4.8%の差で具体的に確認できます。
白書では利活用の事例として、空き家を滞在施設に改修したケース、元百貨店を段階的に再生したケース、商店街の空き店舗を活用したケース、団地内の空き店舗や空き住戸をコミュニティ拠点やアトリエに転用したケースなどが紹介されています。国の空き家対策の動きは空き家活用が変わる|国が36事業を採択・AI判定もでも取り上げています。

使っていない土地の出口は、大きく3つあります。売る、国に返す、民間業者に引き取ってもらう、のいずれかです。それぞれ条件と費用がまったく違います。
出口 | 主な条件 | 費用の目安 |
|---|---|---|
売る(低未利用土地の特例を使う) | 都市計画区域内・所有期間5年超・譲渡価額500万円以下(一定区域は800万円以下) | 仲介手数料等。譲渡所得から最大100万円を控除 |
国に返す(相続土地国庫帰属制度) | 相続・遺贈で取得した土地。建物がない等の要件を満たし承認されること | 審査手数料 14,000円/筆+負担金 原則20万円 |
民間業者に引き取ってもらう | 業者が引き受ける土地であること | 業者により大きく異なる(数十万円〜200万円程度の例) |
売る場合に使えるのが「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」です。都市計画区域内にある低未利用土地等を、譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超、譲渡価額500万円以下(市街化区域など一定の区域では800万円以下)で売却した場合、長期譲渡所得から最大100万円を控除できます。この特例は令和8年度税制改正で適用期限が延長され、2028年(令和10年)12月31日までの譲渡が対象になりました。申請には市区町村長の確認書類が必要です。
国に返す場合が、2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度です。相続や遺贈で取得した土地について、要件を満たすと承認を受けて国に引き取ってもらえます。費用は審査手数料が1筆あたり14,000円、承認後の負担金が原則20万円(土地の種目や面積により変動)です。2026年2月末時点で申請の累計は5,140件、実際に国に帰属した累計は2,542件となっています。なお、この制度を使うには相続登記が済んでいることが前提になります。相続登記の義務化については相続登記の期限迫る|2027年3月と過料10万円の回避策で解説しています。
民間業者に引き取ってもらう場合は、国庫帰属の要件を満たさない山林・原野・農地なども対象になりうるのが利点です。ただし費用は業者によって大きく開きます。

制度の存在を知っていても、実際の手続きでつまずくのはもっと手前の部分です。不動産取引の現場では、次の4点が判断を分けます。
もう一点、覚えておきたいことがあります。自分にとって負担でしかない土地が、他人から見れば価値のある土地に見えるケースは少なくありません。隣地の所有者にとっては土地を広げられる機会ですし、地元の事業者が資材置き場や駐車場として求めていることもあります。費用を払って手放す前に、地元の不動産会社に一度相談してみる価値はあります。
使っていない土地は、持っているだけで固定資産税と管理の手間がかかり続けます。土地白書が示したとおり、その多くが管理不全の状態に置かれているのが実情です。まずは自分の土地がどの出口に乗るのかを見極めることから始めてください。制度の適用可否や税額の判断については、税理士・司法書士など専門家への相談をおすすめします。