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この記事でわかること
2026年6月16日、茨城県南部を震源とするマグニチュード5.5・最大震度5弱の地震が首都圏広域を揺らしました。大きな被害こそ報告されていないものの、この揺れを機に「自分が住んでいるマンションの耐震性は大丈夫なのか」と不安を感じた方は少なくないはずです。
特に注意が必要なのが、1981年5月31日以前に建築確認が下りた「旧耐震基準」のマンションです。Google Trendsによると、地震翌日の6月17日に「耐震診断」の検索需要が相対スケール71まで急上昇しており(3か月平均は37.6)、多くの方が自宅の耐震性を気にしていることがわかります。
この記事では、旧耐震マンションが持つ3つの大きなリスクと、今すぐできる耐震対策を解説します。

「旧耐震基準」とは、1981年5月31日以前に建築確認申請が受理された建物に適用された耐震設計基準のことです。旧耐震基準では「震度5程度の地震でほぼ倒壊しない」設計が要求されていましたが、1981年6月1日以降に施行された新耐震基準では「震度6強〜7の大地震でも倒壊しない」という、より厳しい基準が設けられています。
1981年という基準年は、1978年に発生した宮城県沖地震(M7.4)の教訓を踏まえた大幅な法改正によるものです。今回の茨城M5.5は震度5弱でしたが、首都直下地震では震度6〜7も想定されており、旧耐震マンションはこうした大規模地震への備えが不十分な設計になっている場合があります。
2026年現在で築45年超の建物がほぼ全て旧耐震基準に相当します。国土交通省の推計によれば、全国のマンションストックの約20%が旧耐震基準の物件です。東京23区内では、好立地に旧耐震マンションが多く残っているのも特徴的です。

旧耐震マンションの購入時に最初の壁となるのが、住宅ローンの審査が通らない(または条件が厳しくなる)リスクです。金融機関は旧耐震マンションを担保として評価する際、新耐震基準の物件より担保価値を低く見積もる傾向があります。
フラット35(住宅金融支援機構)は原則として旧耐震マンションへの融資を行っていません。民間銀行でも、耐震診断報告書の提出を求めたり、融資額の上限を下げたりするケースがあります。不動産取引の現場では「旧耐震マンションはキャッシュ購入か、頭金3〜4割以上を準備できる高属性の方でないと難しい」と言われるケースも少なくありません。
2022年の税制改正以降、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用には、原則として新耐震基準に適合していることが必要になりました。旧耐震マンションは基本的に控除の対象外となり、年間最大14万円(借入限度2,000万円×0.7%)の税制優遇を受けられません。
ただし例外があります。耐震診断・耐震改修工事を実施して「耐震基準適合証明書」を取得した場合は、住宅ローン控除の適用が認められます。証明書の取得には費用と時間がかかるため、購入前に確認しておくことが重要です。
旧耐震マンションは老朽化も進んでおり、建替えの必要性が高まっています。しかし区分所有マンションの建替えには、2024年の区分所有法改正後でも区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要です(詳細は老朽マンション建替えが「4分の3」で可能に!区分所有法改正で何が変わったを参照)。
オーナー全員の合意形成は現実的に非常に難しく、築50年超のマンションでも建替えが進まない事例が全国で相次いでいます。また、RC造の法定耐用年数は47年(国税庁基準)であり、旧耐震マンションの多くはすでにこの年数を超えているか、間近に迫っています。コンクリートの劣化によって修繕費用が膨らむリスクも見逃せません。

「自分のマンションが旧耐震基準かどうかを確認したい」という場合、まず確認するのは建築確認の取得日です。登記簿謄本や管理組合の書類で確認できます。1981年5月31日以前なら旧耐震基準に該当します。
次のステップが耐震診断の実施です。個人ではなく管理組合単位での申請が基本ですが、多くの自治体が耐震診断費用の一部または全額を補助する制度を設けています。たとえば東京都では「木造住宅以外の民間建築物の耐震診断助成制度」として、マンションの耐震診断費用の3分の2程度を補助(上限あり)しているケースがあります。まずは物件所在地の市区町村の担当窓口に問い合わせることをおすすめします。
診断の結果、補強工事が必要と判断された場合も、耐震改修促進法に基づく補助金制度が利用できます。工事費用は規模によって異なりますが、補助を受ければ区分所有者1戸あたりの負担を抑えられるケースもあります。管理組合に相談のうえ、長期修繕計画への組み込みを検討してみてください。
購入を検討している段階であれば、売買契約前に「耐震基準適合証明書」の取得可否を確認することで、ローン審査や税制優遇の見通しを立てることができます。旧耐震マンションは価格が割安な反面、上記の3大リスクがあることを十分に理解したうえで判断することが重要です。なお、過去に発生した津波・沿岸エリアの地震リスクについてはM8.2巨大地震で津波注意報!沿岸エリアの不動産リスクを徹底解説もあわせてご参照ください。
地震は予告なく訪れます。今回の揺れをきっかけに、ご自身が住むマンションや検討中の物件の築年数と耐震基準を一度確認してみることをおすすめします。旧耐震マンションの購入や売却を検討している場合は、宅建士や不動産の専門家にご相談ください。