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「新築タワマンの7割が空き家」というニュースの正体は、投機マネー・海外投資家の取得・二次相続が重なって、買っても住まない住戸が増えている状態です。ただし「7割」はある新築マンションの一例であり、すべてのマンションの平均ではありません。2026年7月現在、東京都千代田区が実施した居住実態調査で、2025年完成のある新築分譲マンションの登記情報を調べたところ、約7割で所有者が住んでいないとみられることが判明。区はこうした物件に引き渡しから5年間の転売禁止を業界へ要請し、話題になりました。
この記事でわかること
「空き家といえば地方の古い戸建て」というイメージが根強いですが、実は都心の新築マンションでも“住まない住戸”が静かに増えています。ここでは、話題になった千代田区のニュースをきっかけに、なぜこうした現象が起きるのか、そして購入・相続を検討する人が何に気をつければよいのかを、実用目線で整理します。

今回のニュースの核心は、完成したばかりの高額マンションで、所有者の多くが実際には住んでいないという実態です。千代田区が2025年7月に行った居住実態調査では、ある新築分譲マンションで登記上の住所と物件所在地が異なる(=所有者が居住していないとみられる)割合が約7割に達したと報じられました(出典:日本経済新聞)。
注意したいのは、「7割」は特定の一棟で確認された数字にすぎず、都心マンション全体の平均を示すものではないことです。数字だけが広まると実態を見誤ります。ただ、完売済みの新築でも入居率が5割に届かない例が報告されるなど、実際には人が住んでいない住戸が一定数存在するのは確かなようです。
背景には価格の高さもあります。千代田区の新築分譲マンションの平均価格は2025年時点で約2億8,000万円とされ、実際に住むためというより資産として保有する動機が働きやすい価格帯です。こうした状況を受け、千代田区は総合設計制度などで分譲された新築マンションについて、引き渡しから5年間の転売を禁止する特約の導入を業界団体に要請しました。ただし業界側は「合理性に欠ける」と消極的で、法的な拘束力もないため、実効性は不透明です。

住まない住戸が生まれる背景は、大きく「投機マネー」「海外投資家の取得」「二次相続」の3つに整理できます。順に見ていきましょう。
海外からの購入については、まず正確な統計を確認しておきましょう。国土交通省が2025年に初めて実施した調査によると、東京23区の新築マンションのうち海外に住む人が取得した割合は3.5%、都心6区でも7.5%で、区別の最高は新宿区の14.6%でした(出典:nippon.com)。これに対し、都心の高額物件に限った民間調査では外国人の購入比率が20〜40%に上るという指摘もあります。全体では1割に満たない一方、億ション層では比率が大きく跳ね上がる――この二層構造で理解するのが実態に近いでしょう。国籍そのものを問題にするのではなく、統計上の事実として押さえておくことが大切です。
次に二次相続です。都心の高額マンションであっても、相続を重ねるうちに「負動産」(負動産とは、持っているだけで税金や管理費の負担が続く不動産のこと)に近づくことがあります。少子化で相続する子の数が減り、長寿命化で相続時には子どもがすでに自分の持ち家を持っている、という構造があるためです。結果として「誰も住まないが手放しにくい住戸」が積み上がっていきます。
空室の増加には行政も手を打ち始めています。神戸市は有識者会議での検討を経て、人が住んでいないマンション住戸に課す独自の法定外税を検討しており、2026年の答申案ではタワマンだけでなく分譲マンション全体を対象に含める方向が示されました。住民票の有無で非居住かどうかを判定する案で、実施には市議会での可決と総務大臣の同意が必要です(出典:日本経済新聞)。制度の詳細は神戸「空室税」タワマン以外も|分譲マンション全体へで解説しています。

空室の多い建物を買う・相続するときに最も注意したいのは、率の低さに安心せず、その建物の管理・居住状態を個別に確認することです。空室が多いマンションには、いくつか共通するリスクがあります。
最大の懸念は、管理組合の意思決定が停滞しやすいことです。マンションは共同住宅のため、大規模修繕やエレベーター更新などの重要事項は区分所有者の合意が欠かせません。住んでいない所有者が多いと総会に人が集まらず、必要な工事の合意形成が進まないおそれがあります。修繕が滞れば建物の劣化や防災・防犯上の不安につながり、将来の資産価値や売りやすさにも影響します。「空き家=地方の戸建て」という思い込みとは裏腹に、空き家問題のもう一つの本丸は東京のマンションにある、という指摘もあるほどです。
費用面の負担も見逃せません。タワーマンションの大規模修繕は、高所作業に対応できる施工業者が限られることなどから、通常のマンションの2〜3倍のコストになるケースがあります。40〜50階クラスのエレベーター交換では1台約1億5,000万円に達した例も報じられており、積立金が不足していると住民の追加負担につながりかねません。修繕積立金の値上げが各地で続いている背景は、マンション修繕積立金の値上げが止まらない理由と自衛策で詳しく解説しています。
購入前に確認したいポイントは次のとおりです。
これらは重要事項調査報告書などで確認できます。なお、タワーマンションが次々と建つ背景や供給過多の論点については、タワマンはなぜ乱立する?高さ規制緩和の裏側もヒントになります。
相続の場面にも注意が必要です。使わないマンションを相続放棄しても、相続財産清算人が選任されるまでは管理義務が続き、管理費や修繕積立金、税金を請求されることがあります。相続放棄は原則として死亡を知った日から3ヵ月以内という期限もあり、特定の不動産だけを選んで放棄することもできません。早めに管理状態を把握し、売却や管理の引き継ぎを含めて検討しておくことが大切です。
今回のトレンドの要点を整理します。
マンションの購入や相続を判断するときは、「率」の数字だけで安心せず、その建物の管理状態を個別に確認することが欠かせません。判断に迷う場合は、管理組合の資料を取り寄せたうえで、不動産会社やファイナンシャルプランナー、相続に詳しい専門家に相談することをおすすめします。