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富裕層の相続対策として人気だった不動産小口化商品ですが、令和8年度税制改正により、2027年1月から相続税評価が「時価」ベースとなり、節税メリットは実質的に使えなくなります。2025年12月に公表された税制改正大綱で見直しが決まり、いま「駆け込み購入」の是非が話題になっています。
この記事でわかること
相続税の圧縮を目的に不動産を活用する手法は、これまで富裕層の生前対策の主役でした。なかでも、まとまった土地を持たなくても小口で参加できる不動産小口化商品は近年人気を集めていました。しかし令和8年度税制改正で、その評価方法にメスが入ります。何が変わり、いま何に気をつけるべきかを整理します。

不動産小口化商品とは、都心のオフィスビルなどの現物不動産を運営会社が小口に分割し、1口1,000万円程度から投資できるようにした金融商品です。人気の背景にあったのは、相続税評価額と実際の市場価格(時価)の大きな差でした。
不動産取引の現場では、現物不動産を相続する際、土地は路線価(時価の8割程度が目安、都心では時価の半分以下の地域もあります)、建物は固定資産税評価額で評価され、賃貸に出すことでさらに評価が下がります。小口化商品はこの仕組みを、大きな土地を持たない人でも享受できるようにした商品です。実質的な価値が数千万円ある商品でも、通達に基づく評価額は数百万円にとどまるケースがあり、利回りが低くても「相続税が下がるから」と購入する層が一定数いました。

結論から言えば、任意組合型・信託受益権型の不動産小口化商品は、取得した時期に関わらず「通常の取引価額」(時価に相当する金額)で評価されるようになります。市場価格と評価額の差を利用した圧縮ができなくなり、節税メリットは実質的に失われます。
ここで押さえておきたいのが、現物の賃貸不動産との違いです。現物の賃貸不動産については「取得後5年以内は時価評価」という、いわゆる5年ルールが導入されます。一方で小口化商品は5年ルールではなく、取得時期を問わず時価評価される点で、現物よりも厳しい扱いになります。過去に節税目的で購入し、現在保有している商品も対象になり得ます。適用されるのは、2027(令和9)年1月1日以後に相続・贈与で取得する財産からです。裏を返せば、2026年12月31日までの取得分は従来の評価方法が使えることになります。

「では2026年内に買えば安全か」と考えたくなりますが、そう単純ではありません。2026年内の取得でも、行き過ぎた節税は否認されるリスクが残るためです。
国税庁には「財産評価基本通達6項」(いわゆる総則6項)という規定があり、通達どおりの評価が著しく不適当と認められる場合には、時価で評価し直すことができます。実務上、専門家が口をそろえて指摘するのは、「今年中の取得なら絶対に安全とは言い切れない」という点です。加えて、小口化商品は利回りが低めで、途中で売却しにくい(流動性が低い)という性質もあります。節税だけを目的に慌てて購入すると、想定外のリスクを抱えることにもなりかねません。購入を検討する場合は、相続に詳しい税理士などの専門家に相談し、節税以外の投資妙味も含めて慎重に判断することをおすすめします。
相続対策は「評価を下げること」だけが目的ではありません。制度が変わるいまこそ、生前贈与や保険の活用も含め、専門家とともに全体最適の対策を立てることが大切です。ご自身のケースで何が有効かは、相続に詳しい税理士やファイナンシャルプランナーに相談してみてください。