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この記事でわかること
2026年の公示地価(令和8年地価公示)では、全国平均の上昇率がバブル崩壊後最高の2.8%を記録する中、愛知・岐阜・三重の中京圏でも着実な地価上昇が続いています。特に自動車産業を中心とした製造業エリアでは、EV化対応・工場移転・人口流入といった要因が地価に影響を与えており、エリアごとに明暗が分かれています。
この記事では、愛知・岐阜・三重の2026年最新地価データをもとに、注目エリアの特徴と今後の見通しを解説します。

2026年公示地価(国土交通省、令和8年3月発表)における愛知・岐阜・三重の全体動向は以下の通りです(出典:愛知県地価情報・三重県公示地価データ、取得日:2026-06-02)。
都県 | 住宅地平均変動率 | 商業地平均変動率 | 全国順位(住宅) |
|---|---|---|---|
愛知県 | +1.8% | +2.5%前後 | 47都道府県中7位 |
岐阜県 | +0.8%前後 | +1.2%前後 | 中位〜上位 |
三重県 | +0.52% | +0.8%前後 | 下位〜中位 |
愛知県は首都圏・大阪圏に次ぐ経済規模を持ち、住宅地の地価上昇率が全国7位と高水準を維持しています。岐阜・三重は全国平均を下回るものの、中心都市(岐阜市・四日市市)では上昇が続いています。
三県を横断的に比較すると、愛知県が最も高い上昇率・価格水準を維持しており、岐阜・三重は愛知に比べて割安なエリアが多く残っています。
都県 | 住宅地平均価格 | 変動率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
愛知県 | 132,100円/㎡ | +1.8% | トヨタ産業集積・名古屋都市圏 |
岐阜県 | 55,000円/㎡前後 | +0.8%前後 | 名古屋通勤圏・観光エリアの二極化 |
三重県 | 46,035円/㎡ | +0.52% | 工業エリア(四日市)と観光エリア(伊勢)が牽引 |

愛知県の2026年住宅地平均地価は132,100円/㎡(前年比+1.8%)。名古屋市内の高価格エリアだけでなく、豊田・岡崎・一宮など郊外工業都市でも上昇が見られます。
名古屋市の地価は引き続き上昇中ですが、特に人気が高いのは以下のエリアです。
愛知県の製造業の中核・豊田市は、トヨタ自動車の本社所在地であり、EV化に向けた工場投資が続いています。住宅地需要は安定しており、技術者・エンジニアの転入による需要が地価を支えています。岡崎市は豊田と名古屋の中間に位置し、交通利便性の高さから住宅需要が強く、2026年も緩やかな上昇が続いています。両市とも「自動車産業に依存した単一産業都市」という性格があるため、中長期的なリスク管理として産業多様化の動向を確認することも重要です。
名古屋市北部に隣接する一宮市・春日井市は、名古屋へのアクセスが良く、マイホーム購入層に人気があります。地価水準は名古屋市より割安感があり、子育て世代の移住先として注目されています。

岐阜県の2026年地価は全体としてプラス圏を維持しつつも、地域差が拡大しています。岐阜市・各務原市では上昇が続く一方、農村部・山間部では下落が続くエリアも見られます。
岐阜市は県庁所在地として行政・サービス業の拠点であり、JR岐阜駅・名鉄岐阜駅周辺は商業地価が上昇しています。住宅地は名古屋市内より割安なため、名古屋への通勤圏として注目されています。名鉄名古屋線で名古屋まで約30分というアクセスが評価されており、ファミリー層の流入が続いています。
各務原市は航空自衛隊・自動車部品工場が集積する工業都市。安定した雇用を背景に住宅需要が底堅い。大垣市は西濃地域の中心都市として、岐阜市から西側の工業エリアを支える役割を担っています。
飛騨・高山エリアは国内外の観光需要が高く、特にインバウンド(訪日外国人)向けの旅館・民泊需要で商業地価が上昇しています。ただし居住用の住宅地価は観光価格と連動せず、地域によって二極化しています。購入経験者からよく聞かれるのが「高山市内の土地は観光エリアと居住エリアで価格が全く異なる」という指摘です。観光業関連の事業用地と、生活拠点としての住宅地では用途が異なるため、混同しないようにしましょう。

三重県の2026年公示地価は住宅地+0.52%と全国平均を下回りますが、四日市市(+1.24%)・津市(+0.8%前後)など工業・行政拠点では上昇が続いています(出典:ダイヤモンド不動産研究所、取得日:2026-06-02)。
四日市市は石油化学コンビナートを中心とした重工業都市。半導体関連企業の工場誘致が進んでいる地域の一つで、雇用の安定が住宅需要を下支えしています。2026年公示地価は+1.24%と三重県内トップクラスの上昇率を記録しています。
三重県庁所在地の津市は行政・サービス業の拠点。地価は緩やかな上昇が続いています。松阪市は松阪牛で知られる農業・観光都市で、地価は横ばいから微増の傾向です。
伊勢神宮への参拝客・インバウンド需要を背景に、伊勢市の商業地価は上昇しています。住宅地は全国平均程度の上昇率ですが、観光業の好調が地域経済全体を底上げしています。

2026年以降の地価見通しについて、エリア別にポイントを整理します。中京圏全体では「製造業が集積し人口が増えるエリア」と「人口が流出しEV化の影響を受けるエリア」の二極化が今後さらに進む見通しです。

中京圏の不動産市場は、首都圏・大阪圏に比べて割安感があります。しかし、エリアによる二極化が進んでおり、購入・売却ともに慎重な判断が必要です。
不動産の一括査定については不動産一括査定サイトの選び方|注意点と賢く使うコツを解説をご参照ください。

2027年に品川〜名古屋間の開業を予定していたリニア中央新幹線は、静岡工区の問題により開業が延期されています。名古屋駅周辺の商業地価はリニア効果を先行織り込んでいましたが、開業延期による影響も出ています。最終的な開業時期が確定した段階で、名古屋駅周辺・中京圏全体の地価が再評価される可能性があります。
リニア延期の不動産市場への影響についてはリニア延期が不動産市場に与える影響|名古屋・品川エリアの今後もご覧ください。

中京圏では複数の再開発・インフラ整備が進んでおり、今後の地価に大きな影響を与える可能性があります。
名古屋駅周辺は大規模な再開発が計画されており、高層ビル・商業施設・ホテルの建設が進んでいます。リニア中央新幹線の名古屋駅延伸が実現すれば、品川〜名古屋間が約40分となり、東京圏との経済的一体化が進む見通しです。名古屋駅から半径5km圏内のオフィス・商業地価は引き続き上昇が見込まれます。
東海道新幹線・東海北陸自動車道が交差する岐阜羽島エリアでは、物流施設・工場の集積が進んでいます。電子商取引(EC)の拡大で物流需要が増加しており、倉庫・物流センター用地の需要が高まっています。
三重県は四日市を中心にデータセンターの集積地としての地位を確立しています。東芝・キオクシア(旧東芝メモリ)の四日市工場は半導体メモリの生産拠点であり、関連企業の集積が続いています。これが四日市市の雇用安定・住宅需要を支える主要因となっています。

地価上昇に連動して、中京圏の住宅・マンション価格も上昇傾向にあります。
2026年の名古屋市内新築マンションの平均価格は、立地・グレードにより異なりますが、都心部(中区・東区等)では5,000万〜8,000万円台が中心です。首都圏(東京23区の平均1億円超)と比較すると依然割安感があるものの、2020年比で20〜30%上昇しており、購入のハードルは上がっています。名古屋駅・栄駅から徒歩10分圏内のマンションは供給が限られており、高い需要が続いています。
不動産取引の現場では「名古屋は価格の伸びがゆるやかだが、今後の上昇余地がある」という見方と「金利上昇で購入層が絞られ、価格調整の可能性もある」という見方が交差しています。住宅購入を検討する際は、複数の視点からタイミングを見極めることが重要です。
名古屋圏の郊外エリアでは、新築一戸建ての価格が3,000万〜5,000万円台が中心です。土地の面積が首都圏より広く取れることが多く、ファミリー層には選択肢が多いエリアです。不動産取引の現場では「名古屋から30〜40分の郊外で、新築一戸建てが都内の半値以下で買える」という声は今もよく聞かれます。
新築価格の上昇を受け、中古住宅のリノベーション需要が拡大しています。愛知・岐阜・三重では空き家が多く、中古物件の価格は比較的抑えられています。政府の空き家対策強化(特措法改正・空き家バンク活用)も相まって、中古×リノベーションという選択肢が増えています。住宅取得の方法を比較したい方はマンションか一戸建てか|ライフスタイル別に選ぶ判断基準も参考にしてください。
中古住宅を購入する際は、ホームインスペクション(建物状況調査)の実施を強くおすすめします。旧耐震基準(1981年以前)の建物は耐震補強が必要な場合があり、リノベーション費用の算出前に建物状態を把握しておくことが重要です。

中京圏の不動産市場には、首都圏・大阪圏とは異なる地域特性があります。
愛知・岐阜・三重は日本有数の「車社会」エリアです。駅からの距離よりも、幹線道路へのアクセス・駐車場の台数・商業施設への距離が土地の価値を左右することがあります。特に郊外エリアでは「電車が不便でも、車で15分以内にスーパー・病院がある」ことを重視する傾向があります。一方で、高齢化が進む将来を考えると「車が運転できなくなったときの生活利便性」も重要な視点です。徒歩・自転車でアクセスできる商業施設・医療機関の有無も土地選びの重要チェックポイントになっています。
名古屋市南部・伊勢湾岸エリア・木曽川下流域は、東南海地震による液状化・浸水リスクが高いエリアとして知られています。国土交通省の「重ねるハザードマップ」で確認するとともに、地盤調査を実施することを強くおすすめします。特に伊勢湾台風(1959年)の被害エリアと重なる地域は注意が必要です。
中京圏は工業地帯が多いため、工場跡地が宅地転用される事例があります。工場跡地には土壌汚染リスクがある場合があり、購入前に土壌汚染調査(フェーズI・フェーズII)の有無を確認することが重要です。土壌汚染が発覚した場合、浄化費用が数百万円〜数千万円かかる可能性があります。
名古屋市内・豊田市など主要エリアは引き続き底堅い動きが予想されますが、全体的には上昇ペースが緩やかになる見通しです。エリアによって明暗が分かれており、人口増加・雇用安定のエリアは上昇が続きやすく、人口減少エリアは下落リスクが高まっています。2026年は金利上昇による住宅購入需要の鈍化も一部見られており、不動産価格が急上昇するシナリオは考えにくい状況です。
愛知県特有の注意点として「道路の幅員」があります。愛知県内は幹線道路が多く、「2項道路」(幅員4m未満の狭い道路)に接する土地が一定数あります。このような土地は建て替え時にセットバック(道路を広げるための後退)が必要で、実際の建築面積が減少します。購入前に道路の幅員・接道条件を確認することが重要です。また、農地転用が必要な農地については、農業委員会の許可取得に時間がかかるため、スケジュール管理が必要です。
同程度の利便性のエリアを比較すると、岐阜市・津市・四日市市の住宅地は名古屋市郊外(春日井・一宮等)の約60〜80%の価格水準です。名古屋への通勤にやや時間がかかりますが、住宅購入コストを抑えられるメリットがあります。岐阜市は特に「名鉄・JR利用で名古屋まで20〜30分」という好立地にもかかわらず割安感があり、移住先として注目されています。
東京23区の平均地価は名古屋市の4〜6倍、大阪市の1.5〜2倍が目安です。同水準の利便性の住宅地で比較すると、名古屋市内は大阪市内より2〜3割割安な傾向があります。ただし、名古屋特有の「名駅(名古屋駅)周辺の超高価格」と「少し離れた郊外の割安地」という二極構造があり、エリア選びが重要です。
名古屋へのアクセスが確保されていながら地価が比較的割安なエリアとして、春日井市・犬山市・清須市などが挙げられます。ただし「割安」には理由(利便性・環境・将来性)があるため、購入前に現地確認と将来の人口動態リサーチをおすすめします。
工業雇用が安定している四日市市周辺が比較的有望です。伊勢市は観光業の活況を背景に民泊・旅館向け需要がありますが、居住用不動産としての需要とは性質が異なります。投資目的の場合は、地域の賃貸需要(入居者ターゲット)を事前に確認することが重要です。
2026年の中京圏地価を読む上で、特に注意すべき外部要因があります。
2026年は住宅ローンの変動金利が1%超、固定金利は3%超と上昇しています。住宅購入需要に一定の抑制効果が生じており、特に価格帯が高い名古屋市内の物件では買い控えの動きも見られます。ローン金利の動向が地価に与える影響を継続的にモニタリングすることが重要です。
トヨタ自動車はEV化への対応に注力していますが、中国・欧州メーカーとの競争は激化しています。中長期的に見てトヨタ・関連企業の雇用が変化した場合、豊田市・岡崎市・刈谷市などトヨタ関連の製造業都市の住宅需要に影響が及ぶ可能性があります。不動産を長期保有する場合は産業構造の変化にも注意が必要です。
内閣府の「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」が更新され、名古屋・三重・岐阜の一部エリアは津波・液状化・長周期地震動リスクとして評価されています。地震リスクへの関心が高まる中、ハザードマップの確認と地盤調査が不動産取引においてより重視されています。
中京圏の地価を自分で調べる際に活用できる公的情報源をまとめます。
国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」では、公示地価・基準地価・不動産取引価格情報を地図上で無料で確認できます。「この場所の実際の取引価格はいくらだったか」を調べるのに最適なツールです。
各県のウェブサイトでは、市区町村別の地価変動率一覧・高価格地点のランキングが公開されています。投資・購入判断の参考にしましょう。
実際の不動産取引事例を検索できるシステムです。「この駅周辺で1年以内にいくらで取引されたか」を確認でき、相場把握に役立ちます。
中京圏の地価動向は首都圏・大阪圏に比べて情報が少ない分、地元密着の不動産会社への相談が有効です。購入エリア選びの迷いは、まず実際に足を運んで街の雰囲気・通勤ルート・周辺施設を確認することで解消されることが多いです。データだけでなく「自分や家族がここで生活するイメージが持てるか」という感覚も大切な判断材料です。2026年の公示地価全国動向については2026年公示地価を徹底解説|上昇エリアと今後の見通しもあわせてご覧ください。