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この記事でわかること
不動産投資ローンとは、投資用物件(アパート・マンション・一棟ビル等)の購入を目的とした事業性ローンのことです。自宅購入に使う住宅ローンとは審査基準・金利・融資可能額が大きく異なり、初めて不動産投資に挑戦するサラリーマンにとって最初の壁になりやすいポイントでもあります。
2026年は日銀の段階的な利上げにより投資用ローン金利が上昇傾向にあります。どの銀行に相談すればいいか、いくら借りられるか、審査に通るにはどうすればいいかを本記事で徹底解説します。

不動産投資ローンは住宅ローンと似て非なるものです。最大の違いは「借り手の返済原資が家賃収入であること」を前提に審査される点にあります。住宅ローンは申込者の給与から返済することが前提ですが、投資ローンは賃料収入+給与収入の両方を返済原資として評価します。
住宅ローンと不動産投資ローンでは、以下の5点が根本的に異なります。
項目 | 住宅ローン | 不動産投資ローン |
|---|---|---|
返済原資 | 給与・収入 | 家賃収入+給与収入 |
金利 | 変動0.3〜1.5%前後 | 変動1.5〜5%(金融機関による) |
融資上限 | 年収の6〜8倍が目安 | 年収の7〜10倍(物件収益次第) |
居住義務 | 申込者が住む義務あり | なし(第三者へ賃貸が前提) |
審査基準 | 信用力・収入が中心 | 信用力+物件の収益性も審査対象 |
住宅ローンで購入した物件を投資目的で賃貸に出すことは原則として契約違反になります。投資用物件には必ず不動産投資ローン(アパートローン・プロパーローン等)を利用してください。
不動産投資ローンには大きく分けて2種類あり、使うタイミングを間違えると資産拡大が止まることがあります。
アパートローンは、金融機関が定めた審査基準に沿ったパッケージ型ローンです。年収・勤続年数・物件種別などで機械的に審査されるため、基準が明確で申し込みやすいのが特徴です。融資上限が「年収の○倍まで」と決まっており、主に中古区分マンションや新築アパートを購入する初心者サラリーマン向けに使われます。代表的なのがオリックス銀行のアパートローンです。
プロパーローンは、銀行が物件・事業計画・申込者の属性を個別に精査して条件を決める融資です。審査基準は非公開で担当者との交渉・信頼関係が重要になります。アパートローンの枠を使い切ったあと、2棟目・3棟目の物件を購入するフェーズで活用するケースが多いです。
不動産取引の現場では「最初の1棟でアパートローンを使い切り、次に進めなくなった」という投資家の失敗談がよく聞かれます。どちらをいつ使うかという戦略を最初から意識しておくことが重要です(詳しくは後述)。
また、不動産投資ローンには「事業ローン」としての側面があることも覚えておいてください。住宅ローンが個人の消費行動(居住)を支援するローンであるのに対し、投資ローンは「事業を行って利益を上げるためのローン」という位置づけです。このため、審査時には申込者自身の信用力に加えて、「この事業(賃貸経営)で収益が上がるか」という視点で審査が行われます。銀行に融資相談をする際は、物件の収益計画や運営方針を明確に説明できるよう準備しておくことが大切です。

不動産投資ローンを扱う金融機関は大きく4つのカテゴリーに分かれます。それぞれ審査基準・金利・融資エリアが異なるため、自分の年収・属性・物件に合った金融機関を選ぶことが重要です。
みずほ銀行・三菱UFJ銀行・りそな銀行などのメガバンクは、金利の低さが魅力ですが、審査基準は最も厳しい部類に入ります。
りそな銀行は不動産投資家アンケートで上位の常連ですが、エリアや物件の種別によって対応方針が異なります。メガバンクは「他の銀行から既に融資を受けており、実績がある投資家」が交渉窓口になるケースが多いです。
不動産投資家の実態調査(933名アンケート・2025年下半期)では、融資が降りた金融機関ランキング1位が滋賀銀行(3年連続)、2位がオリックス銀行と、地銀・専門銀行が上位を占めました。
地方銀行・信用組合の特徴:
地銀は物件の所在地とローン申込者の居住地が銀行の営業エリア内にある場合に融資対象となることが多いです。エリア外物件は原則として融資を断られることがあるため、物件を選ぶ際は地銀のエリアも考慮しましょう。
不動産取引の現場では「まず地銀に相談して感触を確かめ、条件が合えばそのまま申し込む」というアプローチが実務上もっとも成功率が高いと言われています。
なお、地銀を選ぶ際の重要なポイントとして「投資用ローンの実績が豊富かどうか」があります。投資用ローンに不慣れな地銀・信用金庫では、担当者が社内稟議を通せない・審査基準が不明確といったケースがあります。その地銀が「不動産投資向け融資に積極的かどうか」を担当者との最初の面談で確認しておくことが大切です。また、年に数回の不動産投資セミナーを開催している銀行は、投資家を顧客として積極的に取り込もうとしているサインとも言えます。
日本政策金融公庫(国金)は、創業者・小規模事業者向けの政府系金融機関です。年収や属性が弱くても一定の事業計画があれば融資が受けやすいのが特徴です。
2025年下半期の融資実態アンケートでも第3位に入っており、初めての不動産投資で民間銀行の審査が難しい方や、フリーランス・自営業の方にとって有力な選択肢です。ただし居住用物件の購入には使えないため、用途を確認の上で相談してください。
セゾンファンデックス・AGビジネスサポート・L&Fアセットファイナンスなどのノンバンク系は、銀行で審査が通らなかった場合の選択肢となります。
2026年の日銀利上げの影響でノンバンク系の金利はさらに上昇傾向にあります。長期保有を前提とした場合は、金利コストが利回りを圧迫するリスクがあるため、あくまでも「ブリッジローン」や「短期活用」としての位置づけが現実的です。

不動産投資ローンの審査は「申込者の属性」と「物件の評価」の両面から行われます。どちらかが弱くても、もう一方が強ければ通ることがあるため、自分の強みがどこにあるかを把握することが重要です。
審査において最も重視されるのが申込者の返済能力です。
年収の目安:
職業・雇用形態:正規雇用のサラリーマンが最も評価されやすく、とくに上場企業・外資系・公務員・士業(弁護士・医師・税理士等)は有利です。勤続年数は最低2〜3年以上が必要で、転職直後は審査が通りにくくなることがあります。
融資可能額の目安:一般的に返済比率が35〜40%以内に収まることが融資通過の目安です。年収の7〜10倍が上限とされており、既存の住宅ローンや他のローン残高がある場合はその分が差し引かれます。
自己資金(頭金)の目安は物件価格の10〜20%です。フルローンも一部の金融機関・案件では可能ですが、自己資金ゼロは多くの地銀で審査を通過しにくくなっています。
自己資金の役割は「頭金として支払う」だけではありません。融資実行後も手元に生活費の3〜6ヶ月分+修繕費の積立分として現金を残しておくことが、金融機関への信頼醸成という観点でも重要です。
金融資産(預貯金・株式等)の保有額も評価されます。千葉銀行の場合、サラリーマン投資家に対して金融資産5,000万円を一つの目安として確認することがあります。すべての金融機関がこの水準を要求するわけではありませんが、金融資産が多いほど審査は有利です。
金融機関は物件の価値を独自に算出し、融資額の上限(担保評価額)を決めます。主な評価方法は2つです。
積算評価とは、土地価格と建物の再調達価格を基に算出する方法です。築古物件や地方物件は積算評価が低くなりやすく、融資が出にくくなる傾向があります。
収益還元評価とは、年間の家賃収入(ネット)を資本化率(キャップレート)で割って価値を算出する方法です。都市部の高稼働物件は収益還元評価が高くなる傾向があります。
多くの地銀は積算評価と収益還元評価の両方を加味して融資額を決定しています。物件の積算評価が低い場合でも、安定した稼働率と家賃収入があれば、収益還元評価でカバーできることもあります。
物件を購入する前に「この物件で銀行の積算評価がいくらになるか」を自分で試算しておくことが大切です。積算評価の計算式は「土地評価額(路線価×土地面積)+建物評価額(再調達価格×残存耐用年数÷法定耐用年数)」で算出できます。積算評価が物件価格の70〜80%以下になる場合は担保不足となるリスクがあるため、物件選びの段階から注意が必要です。
クレジットカードの支払い遅延・スマートフォンの割賦未払い・消費者金融への借入履歴は、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行協会)に記録されます。これらの「傷」があると、年収・自己資金が十分でも審査に通らないことがあります。
投資用ローンを申し込む前に、CICの情報開示(オンライン申請500円)で自分の信用情報を確認することを強くおすすめします。また、複数の金融機関に同時に審査申し込みをすると「多重申込」として信用情報に残り、審査に悪影響を与えることがあります。最初は1行ずつ順番に相談するのが原則です。
なお、審査において見落とされがちな点として「スマートフォンの端末代金(割賦払い)」があります。スマートフォンを分割払いで購入している場合、これはローンとして信用情報に記録されます。また、カーローンやカードローンの残高も返済負担率の計算に含まれるため、不動産投資ローンの申し込み前に可能な限り完済しておくことが理想です。

2026年は日銀が段階的な利上げを続けており、不動産投資ローンの金利環境が大きく変化しています。この局面での融資戦略を間違えると、せっかくの物件投資が収益を圧迫するリスクがあります。
2023年以前はマイナス金利政策下でアパートローンの変動金利が1.5〜2%台が主流でした。しかし2024年3月のマイナス金利解除を皮切りに、2025年12月には政策金利が0.75%まで引き上げられ、2026年6月には1.0%への追加利上げが有力視されています(出典:日本経済新聞「日銀・植田総裁 6月会合へ前向き」2026年6月6日)。
この影響でアパートローンの変動金利は0.5〜1%程度上昇しており、2026年6月時点では地銀の変動金利が2〜3%台、ノンバンク系で4〜5%台が一般的になっています。
実際のコスト増シミュレーション:融資額3,000万円・30年返済の場合、金利が2.0%から2.5%に上昇すると月々の返済額は約1万円増加します。10棟保有のオーナーであれば月10万円のコスト増になる計算で、利回り計算の見直しが必須です(出典:モゲチェック「不動産投資ローン金利動向」)。
不動産投資ローンにおける変動金利と固定金利の選択は、物件の保有戦略によって変わります。
住宅ローンと同様、不動産投資ローンでも変動vs固定の議論があります。詳しくは変動金利vs固定金利2026|日銀利上げ時代の住宅ローン選び方も参考にしてください(住宅ローンの記事ですが、金利判断の考え方は共通しています)。
投資用ローンにおける固定金利の一つの選択肢として「2〜5年の固定金利期間」を設定する地銀があります。たとえば千葉銀行では2年・3年・5年の固定金利プランを取り扱っており、固定期間終了後に金利を見直す仕組みになっています。金利が急騰した場合のリスクを一定期間ヘッジしつつ、市場の変化に対応できる柔軟性を持てる点がメリットです。ただし、固定期間終了後の金利が不明確なため、返済計画には余裕をもたせておく必要があります。
金利上昇局面では「調達コスト(ローン金利)」を下げることが収益防衛の第一歩です。同じ物件・属性でも銀行によって金利が0.5〜1%異なるケースは珍しくありません。
2026年の金利上昇局面で有利な銀行選びのポイント:

不動産投資の現場でよく聞かれる失敗は「最初の1棟で融資枠を使い果たし、次の物件が買えなくなった」というパターンです。融資は「借りられるから借りる」ではなく「次の投資に繋がるかどうか」を判断基準にすることが、資産拡大の鉄則です。
初心者がはまりやすい融資ミスのパターンを挙げます。
不動産投資を拡大していくには、アパートローンの枠を使い切った後にプロパーローンへ移行するロードマップを最初から描くことが重要です。
理想的な進め方:
詳しくは不動産投資の始め方|初心者が知るべきリスクと基礎知識もあわせてご確認ください。
不動産取引の現場では、金融機関の担当者との継続的な関係構築が融資成功の最大の秘訣とされています。具体的には:
プロパーローンで好条件を引き出している投資家の多くが、「銀行担当者に物件を見てもらい、一緒に現地調査した」というエピソードを持っています。融資は数字だけでなく、人間関係でも動くものです。
また、金融機関との関係構築において重要なのが「メインバンク」の設定です。普通預金口座を開設し、家賃収入の入金口座や返済口座として使うことで、取引データが蓄積されます。銀行は口座の入出金履歴から賃貸経営の安定性を確認できるため、次の融資申し込み時に「既存顧客」として有利に扱われるケースがあります。1棟目の融資を受けた銀行をメインバンクとして位置づけ、2棟目の相談もまずそこから始めることをおすすめします。

実際にどのくらいの融資が受けられるかを、年収と物件種別のパターン別に試算します。あくまで目安であり、金融機関・物件の状況によって大きく異なります。
年収600万円のサラリーマンが東京郊外の中古区分マンション(物件価格2,000万円)を購入するケースです。
年収600万円台では、まずコンパクトな区分マンションからスタートするのが現実的です。詳しい利回りの考え方は不動産投資の利回りとは|表面・実質の計算式と目安を参照してください。
年収800万円の上場企業勤務サラリーマンが、地方都市の中古木造アパート(物件価格5,000万円・8室)を購入するケースです。
中古アパートは築年数によって積算評価が低くなる点に注意が必要です。築古アパート投資の始め方|高利回りのメリットとリスク・成功の秘訣も参考にしてください。
年収1,200万円の高属性サラリーマンが東京23区内の中古鉄筋コンクリートマンション(物件価格1.5億円・10室)を購入するケースです。
一棟物件はサラリーマン属性と組み合わせて節税効果も期待できます。サラリーマンが不動産投資を始める前に知るべきことや不動産投資の確定申告ガイド|青色申告・経費・減価償却の基礎もご参照ください。

不動産投資ローンの審査に通過するための具体的なアクションを7つ紹介します。いずれも投資経験者から「これが実際に効いた」と語られる実務上の対策です。
これら7つの対策の中でも、特に効果が高いと言われているのが「信用情報の事前確認」と「自己資金20%の準備」です。不動産取引の現場で融資相談に携わっているプロの多くが「信用情報に問題がある状態で申し込んでも通らない」「自己資金ゼロでは銀行の担当者も社内稟議を通せない」と口をそろえています。物件探しと同時並行で、半年〜1年前からこの2点を準備しておくことが、スムーズな融資実行への近道です。
また、融資に強い不動産会社や不動産投資専門のFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することも選択肢の一つです。融資に積極的な銀行の情報を持っていたり、担当者を紹介してもらえる場合もあります。ただし、手数料や紹介費が発生する場合があるため、条件を必ず確認してから利用してください。
一般的な民間銀行では年収500万円以上が一つの目安ですが、日本政策金融公庫や一部の信用金庫・ノンバンクであれば400万円前後でも対応可能なケースがあります。年収よりも物件の収益性・自己資金・勤続年数の組み合わせで判断されることが多いため、まずは地銀の担当者に相談することをおすすめします。
組めますが、返済負担率の計算に住宅ローンの返済額も含まれるため、借入可能額が減少します。すでに住宅ローンが残っている場合は、年収に対する既存返済の割合(返済比率)が40%を超えないように計画を立てることが重要です。金融機関によっては住宅ローンの残高が多いことを理由に投資用ローンを断るケースもあるため、複数行に相談して条件を比較してください。
物件の積算評価が高く、申込者の属性(年収・勤続年数・信用情報)が優れている場合に限り、フルローン対応の金融機関が存在します。ただし2026年の金利上昇局面では銀行の審査が厳格化しており、フルローンのハードルは高くなっています。自己資金を10〜20%用意する方が、金利条件の改善・審査通過率向上・手元資金の余裕確保の観点から有利です。
同時申し込みは避けることをおすすめします。金融機関が融資審査を行う際に信用情報機関に照会を行いますが、この照会履歴が短期間に複数残ると「多重申込」として評価され、審査に悪影響を及ぼすことがあります。まず1行に非公式相談をして手応えを確認してから正式申し込みするのが基本です。
審査に落ちた場合は、落ちた理由を明確にすることが先決です。信用情報に問題がある場合は情報が消えるまで待機、年収が低い場合は収入アップを待つ、物件の積算評価が低い場合は別物件を検討するなど、対策は原因によって異なります。担当者に「なぜ審査が通らなかったか」を率直に聞いてみることも改善の手がかりになります。また、別の金融機関や政策金融公庫への相談も選択肢として検討してください。
不動産投資ローンについて、本記事で解説した内容をまとめます。
不動産投資ローンは「どの銀行に相談するか」「どの順番で融資を使うか」という戦略次第で、資産拡大のスピードが大きく変わります。まずは地銀の担当者に非公式相談から始め、複数の金融機関を比較することをおすすめします。不動産投資の全体像についてはまず不動産投資の始め方|初心者が知るべきリスクと基礎知識からご確認ください。