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この記事でわかること
2026年4月1日、日本の区分所有法が25年ぶりに大改正され施行されました。改正のポイントは「老朽化マンションの建替えや売却を従来より少ない賛成で決定できるようにする」こと。施行から約2ヶ月が経過した現在、不動産市場での反響や具体的な変化について解説します。

区分所有法とは、分譲マンションなど「一棟の建物に複数の所有者がいる建物」を規律する法律です。今回の改正は、老朽化マンション問題を解決するために行われた25年ぶりの大改正で、法務省・国土交通省が共同で推進しました(出典:法務省「区分所有法改正」)。
改正の背景には深刻な数字があります。全国の分譲マンションは約713万戸(2024年末時点)に上る一方、築40年を超える物件はすでに約148万戸。さらに2035年には約445万戸が築40年超になると試算されています。しかし2025年3月末時点での建替え完了累計はわずか323件(約26,000戸)にとどまり、老朽マンションの再生が全く進んでいない状態でした。
その最大の原因が「全員同意に近い多数決要件の高さ」でした。旧法では建替え決議に区分所有者の5分の4以上の賛成が必要で、反対1人でも事実上頓挫するケースが多発していました。今回の改正はこの壁を大幅に引き下げるものです。

従来「5分の4以上」が必要だった建替え決議が、一定の条件を満たす場合は「4分の3以上」の賛成で決議できるようになりました。
適用される条件(いずれかに該当):
築40年超の多くの物件がこの条件に該当する可能性があります。5分の4(80%)から4分の3(75%)への緩和は「たった5%」に見えますが、100戸のマンションなら反対できる人数が20人→25人に増えることを意味します。少数の反対者が建替えを阻止し続けてきた問題が解消に向かいます。
従来、マンションの一括売却・一棟リノベーション・建物の取り壊しは、事実上「全員同意」が必要でした。今回の改正で、これらも5分の4の多数決(集会において区分所有者および議決権の各5分の4以上)で決議できるようになりました。
特に大きな変化は「一括売却」の選択肢が現実的になった点です。建て替え費用を捻出できない区分所有者が多いマンションでも、一棟まとめてデベロッパーへ売却するという出口が見えてきました。不動産取引の現場では、この改正以降、老朽マンションを購入して「一括売却を主導する」投資戦略への注目が高まっているとの声も聞かれます。
マンションの区分所有者が死亡・転居などで所在不明になった場合、旧法ではその人も「決議の母数」に含めなければなりませんでした。つまり、所在不明の所有者が多ければ多いほど、実質的な賛成率のハードルが上がっていました。
今回の改正で、裁判所が「所在不明」と認定した区分所有者を決議の母数から除外できる制度が新設されました。空き家・相続放棄物件が増える中で、この制度が老朽マンション再生を動かす最大の切り札になる可能性があります。

施行から2ヶ月が経過しても、実際に建替え決議が可決されたという事例はまだ表に出ていません。しかし、マンション管理組合向けの説明会・弁護士相談が急増しており、「動き出す準備」が静かに始まっています。
不動産保有者・投資家への示唆として、以下の点を整理しておくことをおすすめします。
一方で、建替えや売却が成立するには費用・権利調整・転居先確保など多くの課題が残るため、改正の効果が本格的に現れるのは2〜3年後になるとも指摘されています。
築40年超のマンションを保有している方や老朽マンション投資を検討中の方は、管理組合の動向と法改正の詳細を早めに確認しておくことをおすすめします。