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この記事でわかること
不動産の売買契約では、初めて聞く専門用語が次々と登場します。「重要事項説明書と売買契約書の違いは?」「手付金って返ってくるの?」といった疑問は、多くの購入・売却初心者が抱く共通の悩みです。この記事では不動産売買の現場でよく使われる契約書・取引関連の用語15選を、グループ別にわかりやすく解説します。
1. 重要事項説明書(じゅうようじこうせつめいしょ)
宅地建物取引業者(宅建業者)が、売買契約を締結する前に買主に対して交付・説明することが法律で義務付けられた書類です(宅建業法第35条)。物件の権利関係・法令上の制限・設備の状態・取引条件など、購入判断に必要な情報が網羅されています。内容を十分に確認しないまま署名すると、後のトラブルのもとになります。
2. 売買契約書(ばいばいけいやくしょ)
売主と買主が、物件の売買に関する条件(価格・支払方法・引渡し日・瑕疵担保条項等)を定めた法的効力を持つ文書です。重要事項説明書の内容説明後に締結します。一度署名・捺印すると原則として解除には手付金の放棄または倍返しが必要になるため、内容を細部まで確認することが重要です。
3. 手付金(てつけきん)
売買契約締結時に買主が売主に支払う金額で、通常は売買価格の5〜10%程度が相場です。手付金は「解約手付」の役割を兼ねることが多く、契約の意思表示と担保の意味を持ちます。残代金の支払い(決済)時に売買代金の一部に充当されます。
4. 解約手付(かいやくてつけ)
手付金の機能の一つで、相手方が契約の履行に着手する前であれば、買主は手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金を倍返しすることで、それぞれ無条件に契約を解除できる仕組みです。相手方の違約による損害賠償請求はできないため、解約手付による解除は「清算型の解除」とも呼ばれます。
5. 残代金(ざんだいきん)
売買価格から手付金を差し引いた残りの金額で、引渡し日(決済日)に支払います。住宅ローンを利用する場合は、ローンの実行と同じ日に金融機関から直接売主に支払われるのが一般的です。
6. 瑕疵担保責任 / 契約不適合責任(かしたんぽせきにん / けいやくふてきごうせきにん)
引渡し後に発覚した隠れた欠陥(雨漏り・シロアリ被害・地盤沈下等)について売主が買主に対して負う責任のことです。2020年4月の民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に名称が変更されましたが、不動産業界では旧名称で語られることも多くあります。責任期間や範囲は契約書に明記されるため、必ず確認してください。
7. 告知義務(こくちぎむ)
売主または仲介業者が、買主の購入判断に影響する重要事実(事故・欠陥・過去のトラブル・近隣環境問題等)を開示する義務です。告知義務を怠った場合は損害賠償の対象になる可能性があります。宅建業者の告知義務違反は行政処分の対象にもなり得ます。
8. 現状有姿(げんじょうゆうし)
「物件を現在の状態のまま引き渡す」という条件を意味します。売主が修繕や改修を行わずに引き渡すことを明示する条項で、中古物件の売買に多く見られます。引渡し後に発覚した欠陥の責任範囲を巡るトラブルになりやすいため、事前の内覧や検査(ホームインスペクション)が有効です。
9. 心理的瑕疵(しんりてきかし)
物理的な欠陥ではなく、自殺・事件・孤独死等の過去の出来事によって、買主が心理的に嫌悪感や不安感を抱く可能性がある状態のことです。国土交通省のガイドラインでは、こうした「事故物件」に該当する場合は告知義務の対象とされています。告知せずに売買した場合は損害賠償責任が生じる可能性があります。
10. 所有権移転登記(しょゆうけんいてんとうき)
売買成立後に、法務局で行う不動産の名義変更手続きです。売主から買主へ所有権が移ったことを公的に記録します。登記手続きは通常、司法書士が代行し、登録免許税がかかります。登記を行うまでは第三者に対して所有権を主張できないため、決済日当日に行うのが一般的です。
11. 抵当権(ていとうけん)
住宅ローンなどの借入金の担保として、金融機関が不動産に設定する権利です。ローンを返済できない場合、金融機関はこの権利を行使して不動産を競売にかけることができます。中古物件を購入する際は、売主のローン完済と抵当権抹消が決済当日に行われることを確認することが重要です。
12. 抵当権抹消(ていとうけんまっしょう)
住宅ローンを完済した後に、設定されていた抵当権を登記から消す手続きです。完済後は金融機関から「抵当権抹消書類」が交付されるので、司法書士に依頼して法務局で抹消登記を行います。抹消を怠ると不動産売却時にトラブルになることがあります。
13. 決済(けっさい)
売買代金の残金支払いと所有権移転登記・鍵の引渡しを一日で行う手続きのことです。通常は金融機関(銀行)の会議室等で、売主・買主・仲介業者・司法書士・金融機関担当者が集まって行います。住宅ローンを利用する場合は同日に融資実行も行われます。
14. 引渡し(ひきわたし)
売主が買主に物件の鍵・建物図面・設備取扱説明書等を手渡し、占有を移転することです。決済(残金支払い)と同日に行われるのが一般的です。引渡し後に発覚した不具合は原則として買主の負担になるため、事前に設備の動作確認を行うことをおすすめします。
15. 融資特約(ローン特約)(ゆうしとくやく)
住宅ローンの本審査が否決された場合に、手付金を全額返還して契約を無条件解除できる特約のことです。多くの住宅購入の売買契約に盛り込まれており、買主を保護する重要な条項です。ただし、特約の適用期限(審査結果の期限)が設定されているため、期限内に手続きを完了させることが必要です。
重要事項説明書は「この物件とはどういう物件か」を説明する書類で、宅建士が契約前に口頭で説明する義務があります(宅建業法35条)。一方、売買契約書は「この条件で売買することに合意する」という法的拘束力を持つ合意文書です。順番としては「重要事項説明→内容確認→売買契約書に署名」という流れになります。内容に疑問があれば、署名前に宅建士や弁護士に確認することをおすすめします。
手付金は売買契約書の締結時(通常は重要事項説明の直後)に支払います。金額は物件価格の5〜10%が相場で、100〜500万円程度になることが多いです。返金されるかどうかはケースによります。①融資特約(ローン特約)が適用された場合は全額返金されます。②売主都合でキャンセルした場合は手付金の倍額が返金されます。③買主都合でキャンセルした場合は手付金は没収されます(解約手付の仕組み)。
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の期間は、契約書に定められます。民法では、買主が不適合を知った時から1年以内に売主に通知することが必要です。ただし、不動産業者が売主の場合は宅建業法により引渡しから2年以上の担保責任期間が義務付けられています。個人間売買の場合は責任範囲を契約書に明記することが重要で、「現状有姿・免責」とされることも多いため注意が必要です。詳細は弁護士や宅建士にご相談ください。
不動産の契約書は専門用語が多く、初めてでは理解が難しい部分もあります。署名・捺印は内容を十分に理解してから行いましょう。疑問点があれば、仲介業者の宅建士や弁護士、司法書士にその場で質問することをためらわないでください。安心した取引のために、信頼できる専門家のサポートを活用しましょう。